【最新】コンサルの残業・ワークライフバランスの実態を徹底解説

本サイトのコンテンツにはPRが含まれています。
コンサルタントの残業・ワークライフバランス

コンサルティングファームへの転職を検討している方の中には、コンサルタントのワークライフバランスや残業の実態について関心を抱いている方も少なくないでしょう。 「コンサルタントは徹夜や休日出勤が当たり前」「過酷な労働環境で体調を崩す人もいる」など、コンサルティングの仕事の厳しさについて耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。

確かに、一部のコンサルティングファームやチームでは、現在でも長時間労働が常態化しているケースが存在するかもしれません。また、コンサルティングという職種の特性上、プロジェクトが難航した際には、クライアントに対して期待に応える価値を提供するために、ある程度の無理が必要となる可能性があるのも事実です。

しかしながら、社会全体で働き方改革が推進される中、近年多くの大手コンサルティングファームでは長時間労働の撲滅とワークライフバランスの改善に向けた取り組みが積極的に行われています。 本記事では、コンサルティングファームへの転職を検討している方に向けて、コンサルティングファームにおける最新のワークライフバランスや残業の実態について詳細に解説していきます。

気になるトピックへジャンプ!

目次

コンサル業界における残業時間はどのくらい?

コンサルティングファームの残業時間の実態について、まず詳しく見ていきましょう。大手口コミサイトによると、大手コンサルティングファームの平均残業時間は企業によって異なり、36時間~100時間超までとなっています。回答者の役職(ランク)の構成比などがデータに影響を与えている可能性があるため、この数字をそのまま鵜呑みにすることはできませんが、コンサルティング業界では月に50時間以上の残業が珍しくないことが窺えます。

ただし、本データには数年前のものも含まれているため、近年の全体的な傾向としては上記の数値よりも残業時間が減少していると推測されます。その背景にある理由については、後ほど詳しく説明します。

企業名平均残業時間(回答者)
マッキンゼー・アンド・カンパニー74時間
ボストン・コンサルティング・グループ69時間
A.Tカーニー61時間
ローランド・ベルガー101時間
アクセンチュア40時間
デロイトトーマツコンサルティング60時間
PwCコンサルティング52時間
アビームコンサルティング42時間
ベイカレント・コンサルティング36時間
引用:「エンゲージ 会社の評判」2024年8月時点

なぜコンサルは残業が多くなりやすいのか?

そもそもなぜコンサルタントは深夜労働や休日出勤などの残業が多くなりやすいのでしょうか?

 コンサルタントの残業が多い理由として、以下の点が挙げられます。

  • 難しい課題に対して短期間で解決策を提示する仕事
  • 資料作成へのこだわり
  • クライアントとの関係性
  • 成果主義の評価体系

コンサルの残業時間が長くなる理由#1
難しい課題に対して短期間で解決策を提示する仕事

コンサルタントの仕事は、クライアントが自社だけでは解決が難しい課題に直面した際に、外部の専門家として短期間で解決策を提示することです。そのため、「業界を何十年も経験しているようなクライアントと議論ができるレベルまで知識を短期間でキャッチアップすること」や、「足を使ってクライアントが把握していない情報を収集すること」、「極限まで考え抜いた施策を提案すること」などが求められます。

しかも、それを少人数のチームでスピーディにやり遂げなければなりません。つまり、仕事の内容自体が、残業時間が発生しやすい性質を持っているのです。

コンサルの残業時間が長くなる理由#2
資料作成へのこだわり

また、コンサルタントはシステム開発案件でない限り、何かモノを提供するわけではないため、成果物は資料となります。そのため、パワーポイントのスライドなどの資料の細部に非常にこだわります。 言葉遣い、文章の分かりやすい構造化、論理性、図の細かな見た目、ストーリーとしての分かりやすさなど、細部まで丁寧に作り込まれます。

スタッフレベルの場合、マネージャーやパートナーなどの上司と資料の内容がなかなかすり合わず、何度もフィードバックを受けて修正するため、自然と作業時間が長くなってしまいます。 また、管理職であるマネージャーなどの場合、メンバーの作業が最後まで水準に達しなかった際は、自分で巻き取る必要が出てきます。

コンサルの残業時間が長くなる理由#3
クライアントとの関係性

コンサルタントは、クライアントと密に関わりながらプロジェクトを進めていきます。そのため、クライアントの都合や要望に合わせて、会議のスケジュールが夜遅くや休日になることもあります。 また、プロジェクトの進捗状況によっては、クライアントからの突発的な依頼や変更要求に対応しなければならないこともあるでしょう。クライアントとの信頼関係を維持するためには、柔軟に対応することが求められます。 

コンサルの残業時間が長くなる理由#4
成果主義の評価体系

多くのコンサルティングファームでは、成果主義の評価体系が採用されています。つまり、プロジェクトの成果や顧客満足度が評価に直結します。 そのため、コンサルタントは高い成果を出すことにコミットし、時間を惜しまずに働く傾向があります。特に、若手のコンサルタントは、評価を上げるために残業を厭わない場合もあるでしょう。 

このような背景から、コンサルティングファームは残業が多い業界とされてきました。 しかし、近年社会的な働き方改革の流れの中で、コンサルティングファームも長時間労働の見直しを迫られ、働き方が変わり始めています。

コンサルティングファームを取り巻く働き方改革の流れ

コンサルティングファームの働き方改革の背景には大きく3つの事象があります。

  • 2019年4月1日施行の「働き方改革関連法」
  • 人材獲得競争の激化
  • ファームの大規模化に伴う多様な人材の存在

コンサルティングファームを取り巻く働き方改革の流れ#1
2019年4月1日施行の「働き方改革関連法」

「働き方改革関連法」では様々な改正が行われましたが、コンサルティングファームの働き方改革・残業削減に最も影響を与えているのは「時間外労働の上限規制」です。

働き方改革関連法の改正前後の変化
働き方改革関連法 施行前

そもそも、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働者に時間外労働をさせる場合や法定休⽇に労働させる場合には、「労使協定(36(サブロク)協定)の締結」と「所轄労働基準監督署⻑への届出」が必要とされています。

働き方改革関連法施行前は、36協定で定める時間外労働について、厚⽣労働⼤臣より上限基準値が告示されていましたが、それを超過しても特に罰則はありませんでした。また、特別条項付きの36協定を締結すれば、実質的に上限なく時間外労働を⾏わせることが可能となっていました。

働き方改革関連法 施行後

働き方改革関連法の施行により、「時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とする」ことが法律によって明確に定められました。

また、特別な事情がある場合に特別条項によって時間外労働を設定する際には、①年720時間、②複数月平均80時間(2か月~6か月平均が全て80時間以内)、③単月100時間未満(休日労働を含む)、を限度とすることが法律で規定されました。さらに、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年間6か月までと制限されました。

そして、これらの規定に違反した場合には、罰則(6か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦)が科される可能性があります。

参考:厚生労働省

この法改正により、コンサルティングファームにおいても従来のような長時間労働が難しくなり、働き方の見直しを迫られる状況となっています。

コンサルティングファームを取り巻く働き方改革の流れ#2
人材獲得競争の激化

近年、コンサルティング市場の拡大に伴い、多くのファームが急速な成長を続けています。その結果、優秀な人材の獲得競争が激化し、人材エージェントに支払う仲介手数料も高騰しています。コンサルティングファームにとって、採用費用は無視できない大きなコストとなっており、既存社員の離職率を低く抑えることの重要性が高まっています。

このような状況の中で、働き方改革に取り組むファームが増加しています。長時間労働が常態化している職場環境では、優秀な人材の確保や定着が難しくなります。特に、若い世代の間では、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっています。働き方改革を推進し、魅力的な職場環境を整備することは、人材獲得競争を勝ち抜くための重要な戦略の一つとなっているのです。

コンサルティングファームを取り巻く働き方改革の流れ#3
ファームの大規模化に伴う多様な人材の存在

前述のとおり、コンサルティング市場の拡大に伴い、大手コンサルティングファームは数千名ものコンサルタントを抱えるほどに大規模化しています。かつては数十人~数百人規模だった頃は、「若いうちから成長するためなら、激務もいとわない」といった価値観を持つ人材が多くを占めていました。

しかし、ファームの規模が拡大するにつれ、「長期的にコンサルタントとしてキャリアを築きたい」「子育てと仕事を両立しながらコンサルタントとして活躍したい」など、多様なバックグラウンドや価値観を持つ人材が在籍するようになりました。

ファームが持続的に成長していくためには、このような多様な人材が力を発揮できる職場環境の整備が不可欠です。そのため、働き方改革の一環として、有給休暇の取得促進、育児休業制度の充実、子育て支援策の強化など、様々な取り組みが行われるようになりました。

コンサルの残業時間や残業代の変化

前述した背景から、コンサルティングファームにおいても2019年ころから働き方改革が本格的に進み始めました。 多くのコンサルティングファームでは、もともと「みなし残業制度」が導入されており、月に50時間などのみなし残業時間が設定されています。

みなし残業制度とは?

みなし残業制度とは、あらかじめ一定時間の残業を見込み、その時間分の残業代を基本給に含めて支払う制度のことです。この制度の下では、実際の残業時間が事前に定められたみなし残業時間を超えた場合、超過分について別途残業代を支払う必要があります。

みなし残業制度制度の下では、実際の残業時間がみなし残業時間を超えた場合、超過分について残業代を受け取ることができます。しかし、働き方改革以前のコンサルティングファームでは、みなし残業時間を超えた残業が発生しても、実際に残業時間を申請して残業代を受け取る社員は多くなかったという印象です。

元大手コンサルファーム コンサルタントのコメント

”昔はあまり残業代をつけていませんでした。クライアントに請求しているフィーに見合った価値を、勤務時間内に出せなかったという自分の実力不足で残業しているので、残業代を請求しようとは思っていませんでした。また、そもそも仕事が忙しくて、残業時間など勤務時間をいちいち細かく報告したり、登録したりするのが面倒だったということもあります。

加えて、コンサルティングファームの給与水準が高かったため、残業代にそれほど執着がなかったということもあるかもしれません。さらに、残業代を申請すると、その分プロジェクトコストに加算され、プロジェクトの収益に影響するため、マネージャーやパートナーに対して申し訳ないという気持ちもありました。”

しかし、前述のとおり、法律による時間外労働の違反に対する厳しい取り締まりを受け、近年特に大手コンサルティングファームでは労働時間の管理が厳格化されています。

ある大手コンサルティングファームの例

現在、ある大手ファームでは、管理職より下の役職であるメンバー層の残業時間が45時間を超えないよう厳しく管理され、みなし残業分の時間を超過したり、深夜残業や休日出勤をする場合には申請と承認が必須となっています。(実施した場合は残業代が支払われる)

このような取り組みにより、メンバー層の残業時間は大幅に削減されてきています。メンバーの残業に関しては、問題発生時には管理職以上へのペナルティが設けられるなど、本気度が伺えます。

一方、マネージャー以上の管理職は、基本的に残業時間は管理対象外で、残業代も出ない(休日出勤や深夜稼働は割増賃金あり)ケースが多いようです。メンバー層の残業規制強化に伴い、溢れた仕事の一部をマネージャーが巻き取るなどの状況も発生しているとの声もあり、マネージャーの長時間労働改善はまだ道半ばなのかもしれません。ただし、マネージャーについても青天井というわけではなく、健康管理の観点から80時間程度などに収めるケースが大半のようです。

以上のように、コンサルティングファーム全体で残業削減の動きが見られ、特にメンバー層については残業時間が厳しく管理され、削減されつつあります。

元大手コンサルファーム コンサルタントのコメント

”ファーム全体として残業時間は削減されていますが、プロジェクトの状況によっては長時間の残業が必要となるケースも依然としてあるのが実情です。しかし、現場で活躍するコンサルタントの多くは、「クライアントに支払っていただいている高額なフィーに見合った価値を提供したい」という想いを持っており、単に労働時間が短くなればいいと考えているわけではありません。
また、労働時間の制限が強化された結果、より短い時間でいかに成果を出すかが厳しく問われるようになってきています。加えて、残業削減によって生まれた余剰時間を自己研鑽に充てている人とそうでない人との間で、実力の差が拡大していることも否めません。”

コンサルにおけるその他の働き方改革

コンサルティングファームでは残業削減のほかに、有給取得奨励や子育て支援の充実、フレキシブルな勤務体系の整備など、様々な働き方改革が進められています。

例えばBIG4の一角であるPwCコンサルティングでは以下のような制度が整備されています

PwCコンサルティングの取り組み

休暇制度の充実

年次有給休暇入社初年度から(最大)20日間の有給休暇の付与、5日間のリフレッシュ休暇が付与される。
特別有給休暇年次有給休暇とは別に特別休暇を用意。
結婚休暇、子女結婚休暇、忌引休暇、災害休暇、交通遮断休暇、特別試験休暇、ボランティア休暇(1年度に1日間)、出産休暇、配偶者出産休暇、育児・介護特別休暇(有給15営業日・無給5営業日)、子の看護休暇(1年度に5日間)、傷病休暇(最大有給40日間※勤続3年以上の場合)

柔軟な働き方

フルリモートワーク制度介護や配偶者の赴任帯同などを理由に、「出社義務のないフルリモートワーク」や「居住地を限定しない遠隔地リモートワーク(ただし国内に限る)」が可能。
コアなしフレックスタイム制度スタッフが時間や場所にとらわれずに能力を最大限発揮できるよう、コアタイムを設けないコアなしフレックスタイム制度を導入。7:00〜22:00の間で、一人ひとりが就業する時間を設定可能。
フレキシブル・ワーク・アレンジメント(短時間勤務制度)育児・介護のための短時間勤務(時短・短日勤務)だけでなく、通学やボランティア活動などのための短時間勤務が可能。これにより、「週3日勤務」(短日勤務)や「1日5時間勤務」(時短勤務)といった柔軟な働き方を推進。
フレキシブル・ライフ・デザイン休職従来の育児・介護のための休職制度に加え、海外留学、配偶者の海外赴任への帯同などのための一定期間の休職が可能。

育児サポート

出産特別休暇妊娠~産後1年まで、5日間の有給休暇(半日単位)が取得可能。配偶者の場合、出産立ち会いなどのために、出産予定日(出産日が予定日からずれた場合には出産日を基準とすることも可)以降6カ月以内に連続3日以内の休暇(1日単位)が取得可能。
育児特別休暇育児休業取得可能期間の末日までに、父母ともに連続15営業日までの有給休暇を取得可能。
育児休業父母ともに子が2歳に達するまで休職が可能
ベビーシッター費用補助父母ともに子が小学校入学までの期間、在宅保育サービスの入会金の全額、利用料金の半額(上限設定あり)を負担。
保活コンシェルジュサービス保活情報やノウハウ、心理的サポートが受けられる保活コンシェルジュサービスを導入し、産休育休からのスムーズな現場復帰をサポート。
提携保育園中央区銀座の民間保育施設と提携し、保育園に空きが出た際にお子さんが入園できる支援制度
大手町事務所内託児所民間保育施設直接契約し、お子さんが契約枠内(10枠)で利用できる事務所内託児所を用意
復職者支援セミナー育児休暇を終え復帰するファームメンバーに、社内の現状や支援体制のガイダンス、ワーキングペアレンツ同士のネットワーク作りを実施

他のBIG4であるデロイトやEYなどでも似たような制度が整備されています。

大手コンサルファーム 元コンサルタントのコメント

マネージャー(男性)であっても3か月~半年程度のパタニティリーヴ(育休)を取得した方をたくさん知っています。復職後の短時間勤務制度なども充実しており、子育てをしながら働ける環境がかなり整備されてきている印象です。

コンサル業界における働き方改革の今後

日本全体で人材不足が加速する中、市場拡大が見込まれるコンサルティング業界では、優秀な人材を獲得・リテンションするために、より働きやすい環境整備の流れが続くでしょう。

その一環として、調査・分析や資料作成などの時間を要する業務の自動化により、コンサルティング業務自体の負荷軽減が図られていくと考えられます。

実際に、アクセンチュアでは「Project PRIDE」と呼ばれる社内の働き方改革プロジェクトを実施し、以下のようなテクノロジーを活用した業務削減に取り組んでいます。

  1. PRIDE Tool Box:生産性向上に繋がるツールやコツの提供
  2. 管理業務効率化のチャットボット、プロジェクト概要登録の自動化RPAの開発
  3. 生産性向上に長けた社員から学ぶ「時間の達人ショートVTRシリーズ」
  4. グローバル60万人超の社員の知見と事例が集積されたデータベースの活用促進
  5. PRIDEポータルサイト強化:目指す姿や好事例などPRIDEに関する情報の掲載
  6. 全社員と遠隔でもコラボレーション可能なツールの徹底活用

さらに、「18時以降の会議原則禁止」「短日・短時間制度の導入、在宅勤務制度の全社展開」など多岐にわたる施策を実施した結果、「管理職未満の1人あたり残業時間が、1日平均1時間未満に減少」「離職率がProject PRIDE実施前の約半分に」「女性比率が22.1%から37.9%へ向上」などの成果が出ています。

参考:アクセンチュア Project PRIDE

今後、生成AIの活用により業務負荷の削減がさらに促進されることが想定され、コンサルタントの働き方により大きな変化が生じる可能性が高いです。

また、短期間のキャッチアップによる業務負荷の高さを解消するため、より専門性を細かく定義し、早期に専門人材化を目指す動きが加速する可能性もあります。実際に、新卒をあらゆる業界やサービス領域にアサインするPool制から、初期から所属部門を決めて早期の専門性獲得を目指すファームも出てきています。

まとめ

結論として、ここ数年でコンサルティングファームにおける働き方改革は急速に進展しており、残業時間の大幅な減少や多様な働き方の実現が図られています。これまで、子育て世代の方などを中心に、コンサルティングファームでの働き方がワークライフバランス上の懸念となり、転職に踏み切れないケースも見られました。しかし、現在では働き方改革が進んだことで、そのような懸念は徐々に解消されつつあります。

もし、コンサルティングファームへの転職を検討しながらも、働き方への不安からためらっている方がいらっしゃるのであれば、ぜひエージェントなどに相談し、ワークライフバランスを考慮した働き方ができるファームを探ってみることをおすすめします。各ファームの取り組みを詳しく知ることで、自身のライフスタイルに合った働き方ができる環境を見つけることができるでしょう。

\ カンタン30秒! /

目次