コンサルティングプロジェクトの進め方・流れを徹底解説

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コンサルティングプロジェクトの進め方・流れ

コンサルティングプロジェクトの流れは、大きく「提案フェーズ」と「デリバリーフェーズ」に分けられます。本記事では、各フェーズにおけるコンサルタントの動きを詳しく解説します。

目次

提案フェーズの流れ

提案フェーズ
提案フェーズ
提案フェーズ

提案フェーズ1
依頼や相談を受ける

コンサルティングファームでは、パートナーやシニアマネージャー、マネージャーなどの上位役職者が新規案件の提案を主導します。新規案件の獲得経路は多岐にわたり、売り込みやセミナーを通じた問い合わせ、既存クライアントや知人からの紹介など様々です。

しかし、大手ファームの場合、国内の主要事業会社との強固なリレーションを持っていることが多いため、アカウント担当のコンサルタント(通常はインダストリーチームに所属するパートナーやマネージャークラス)が、既存クライアントの役員層とのコミュニケーションや進行中のプロジェクトを通じて新たな経営課題を把握します。

そして、必要に応じてファーム内の専門領域を持つコンサルタント(通常はサービスチームに所属するパートナーやマネージャークラス)に相談した上で、クライアントとの初期的なディスカッションの場を設けるのが一般的です。

このディスカッションでは、事前に収集した情報をもとに、他業界や他社の事例紹介、解決策の仮説提案などを行いながら、クライアントの反応や関心度を探ります。これにより、本格的な提案の可能性や提案時の方向性を見極めていきます。

大手コンサルティングファームの体制(インダストリー×サービス)とは?
コンサルティングファームの組織構造

大手コンサルティングファームの多くは、「インダストリー」「サービス」という2つの軸に沿って部門・チームを編成しており、これらが協働してプロジェクトチームを構成します。

インダストリー軸では、自動車、消費財、エネルギー、金融、保険、ヘルスケア、産業材、公共、TMT(テクノロジー・メディア・通信)などの各業界に特化した専門チームが存在します。マネージャークラス以上のインダストリーチームのメンバーは、通常、担当クライアントを持ち、クライアントとの関係構築や様々なプロジェクトへの横断的な関与を行います。

一方、サービス軸では、戦略、人事・組織、マーケティング・セールス、経理・財務、IT・デジタル、サステナビリティ等の専門領域ごとのチームが組成されています。サービスチームは、業界を問わず、特定の領域において専門的なサービスを提供します。サービスチームは、インダストリーチームから新規提案の引き合いを受けることも多いため、マネージャークラス以上のメンバーは、自身の専門領域において社内でも広く認知されることが重要となります。

インダストリーチームとサービスチームが緊密に連携することで、業界とサービス領域の両面での専門性を担保し、クライアントに提供する価値を最大化することができます。

提案フェーズ2
コンペ

クライアント側の方針や社内説明責任、コスト削減の目的等により、コンペ形式で提案が行われるケースも少なくありません。コンペでは、RFP(Request for Proposal)と呼ばれる提案依頼書が候補となるコンサルティングファームに送付され、各社が期限内に提案書を提出し、プレゼンテーションを行います。

RFPへの働きかけ

コンペの前段階からアプローチを行い、プロジェクト立ち上げのきっかけを作ったにも関わらず、クライアント側の事情によりコンペを実施せざるを得ない場合はよくあります。このような状況では、RFPの内容にアドバイスを行いながら、自社に有利な提案要件や評価基準を盛り込むように働きかけることもあります。

なお、提案書には通常以下のような内容が含まれています。

よくある提案書の内容

  • プロジェクトの背景や目的
  • プロジェクトのアプローチ
  • 初期仮説(課題・施策)と検証論点
  • プロジェクトスケジュール
  • 成果物一覧・イメージ
  • コンサル・クライアント間での役割分担(Role & Responsibility)
  • プロジェクト体制
  • プロジェクトメンバーの経歴
  • コンサルティング会社の実績や強み
  • プロジェクトの金額・契約条件

RFPを受け取ったコンサルティングファームは、RFPの内容だけでは、クライアントの抱える課題やプロジェクトの全体像を正確に把握できず、適切な提案書を作成できない可能性があります。そのため、プレゼンテーションや提案書の提出前に、クライアントとの会議を数回設定し、ディスカッションを通じて提案書の方向性を固めることが一般的です。

提案書の作成を担当するマネージャーは、プロジェクトチームの体制提案金額の調整を推進します。参画メンバーの選定に際しては、各チームにアサイン候補者の確認を行い、社内のアサイン管理チームに若手メンバーの確保を依頼するなど、適切な人材配置を行います。

提案金額の調整では、プロジェクトチームに参画するマネージャーやパートナーの売上や稼働率に関する目標、個人的な思惑などを考慮しながら、競合他社の存在も踏まえて、コンペに勝利するための最適な金額を設定します。この過程では、各メンバーの利害関係を調整し、プロジェクトの採算性と受注可能性のバランスを取ることが求められます。

提案金額では売上や利益率が厳しい場合、チームの投資枠(将来的に大きな案件に繋がる可能性がある場合、一定の売上や利益率の低下を許容し、案件を獲得するための投資資金)の活用を検討します。

こうした体制や提案金額の調整は意外と大変で、特に既存案件のデリバリーが忙しい時期には、マネージャーは非常に多忙になります。

提案フェーズ3
案件受注・メンバーアサイン

提案が成功し、案件を受注した後は、プロジェクト開始に向けた準備を始めます。マネージャーは、参画するメンバーの確定と確保に取り組みます。多くの場合、マネージャーは同じ部門・チームに所属するシニアコンサルタントなどに提案書の作成段階から協力を求めており、そのメンバーがそのままプロジェクトにアサインされることも少なくありません。

また、社内の法務チームに契約書のチェックを依頼し、契約準備を進めます。NDA(秘密保持契約)が締結された段階で、クライアントから事前に必要な社内資料などの情報を入手します。

プロジェクトメンバーは、社内のナレッジや関連情報の収集、デスクトップ調査などを行い、キックオフミーティングに向けた準備やプロジェクトの初期タスクを進めていきます。

デリバリーフェーズの流れ

デリバリーフェーズ
デリバリーフェーズ
デリバリーフェーズ
デリバリーフェーズ
デリバリーフェーズ
デリバリーフェーズ

デリバリーフェーズ1
キックオフミーティング

キックオフミーティングは、プロジェクトの関係者が一堂に会する重要な会議です。参加者には、プロジェクトオーナーである経営陣や役員層、担当の部課長、クライアント側のメンバー、ヒアリング対象者、アドバイスを提供するクライアントの他部署のメンバー、関連するベンダーなどが含まれます。

キックオフミーティングでは、プロジェクトのゴールや目的、進め方、各関係者の役割などを再確認します。この場で、プロジェクトの全体像を共有し、関係者間の認識を合わせることが重要です。また、プロジェクトの成功に向けて、各関係者のコミットメントを得ることも目的の一つです。

キックオフミーティングでは、以下のような内容が議論されます:

一般的なキックオフミーティングの議題

  1. プロジェクトの背景と目的
  2. プロジェクトの範囲と期待される成果物
  3. プロジェクトのスケジュールとマイルストーン
  4. プロジェクトチームの体制と各メンバーの役割
  5. コミュニケーションの方法とルール
  6. 質疑応答・依頼事項の確認

キックオフミーティングのタイミングで、プロジェクトメンバー間の親睦を深め、円滑なコミュニケーションを促進するために、社内やクライアントとの懇親会を設定することもあります。

デリバリーフェーズ2
調査・分析

デリバリーフェーズが始まると、最初に立てた仮説や論点設計を基に、本格的な調査・分析を進めていきます。この段階で最も重要なのは、客観的かつ正確に事実を整理することです。調査・分析には様々な手法がありますが、主なものは以下の通りです。

  1. 定量調査:アンケートやデータ分析を通じて、数値的な傾向や関係性を明らかにします。
  2. 定性調査(消費者インタビュー):対象者に直接インタビューを実施し、深層的な意見や感情を探ります。
  3. クライアント社内インタビュー:クライアント企業の関係者から情報や意見を収集します。
  4. 専門家インタビュー:対象分野のエキスパートから知見やアドバイスを得ます。
  5. 文献・レポート調査:関連する文献やレポートを収集・分析し、情報を整理します。
  6. デスクトップ調査(インターネット情報):インターネット上の情報を収集・分析します。

調査で明らかになった論点の検証結果に応じて、仮説を洗練させながら、顧客が抱える課題やその根本的な原因について洞察を深め、事実や示唆を体系的に整理していきます。そして、クライアントとの定期的なディスカッションを通じて、認識の共有や合意形成を図ります。クライアントとは週に1〜2回の定例ミーティングを設定し、情報共有と議論の場を持つことが一般的です。

デリバリーフェーズ3
中間報告

中間報告の段階では、調査・分析を通じて明らかになった事実や課題を共有し、プロジェクト後半の施策検討の方向性について、プロジェクトオーナーである経営層や役員クラスと合意形成を図ることが目的となります(ただし、プロジェクトの内容や設計によって中間報告の位置づけは異なります)。

この時点では、調査資料なども含めると膨大な量のスライドが作成されていることがよくありますが、経営層への報告では情報を絞り込み、重要なポイントのみを数枚から十数枚のスライドにまとめることが一般的です。

なお、中間報告を円滑に進めるために、報告の前にクライアント側のプロジェクトオーナーとのミーティングを設定したり、クライアント側の担当者にプロジェクトオーナーへの事前の情報提供を依頼したりすることはよくあります。

また、方針や施策の決定、実行において障害となる可能性のあるクライアントの他部署メンバーとも、事前にミーティングやワークショップを開催することもあります。これらの関係者をうまくプロジェクトに巻き込み、合意形成を図ることで、プロジェクトの推進における潜在的な障害を未然に防ぐことができます。

デリバリーフェーズ4
最終報告

最終報告の目的は、プロジェクトの成果として導き出された方針や施策の方向性、実行に向けたスケジュール、想定される課題やリスクとその対応策、コスト、期待効果などを詳細に提示し、施策の実行について承認を得ることです。提案には、具体的な行動計画やリソースアロケーション、期待される成果や ROI などを盛り込み、経営層が意思決定を行うために必要な情報を網羅的に提供することが求められます。

最終報告の場で提案が承認されることは、クライアント企業の重要な意思決定に直接的に貢献したことを意味します。これは、コンサルタントとして大きな喜びと達成感を感じる瞬間です。クライアントから感謝の言葉をいただくこともあり、そのような瞬間は大きなやりがいを感じます。

デリバリーフェーズ5
継続提案

プロジェクトが終盤に近づいてくると、コンサルティングファーム側は継続提案の可能性について探ります。基本的には、プロジェクトを検討している中で、派生した別論点や施策実行やシステム要件定義・開発フェーズに関する提案を作成することになります。

継続提案の検討には、通常、マネージャー以上のメンバーが集まり、継続案件のテーマや体制などを議論します。

また、クライアント側の予算確保に時間がかかり、プロジェクトの間が空いてしまうと、プロジェクトチームの一時的な解散を余儀なくされるなど、クライアントとコンサルティングファームの双方にとってデメリットが生じる可能性があります。そのため、スムーズな継続案件の獲得に向けて、予算確保や契約締結のプロセスを円滑に進められるようクライアントにも働きかけていきます。

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