Interviewee Profile
新卒で大手保険会社に入社後、最初の3年間は顧客の保険請求対応業務に従事。その後の1年半は、海外子会社の経営管理を行う部署にて、海外現地法人の予実管理や新規拠点設立支援業務を担当。30代を目前に控え、ビジネスパーソンとしての市場価値を高めるために、大手総合コンサルティングファーム(BIG4の1社)の金融セクターへ転職。現在、転職後4年目を迎え、プロジェクトデリバリーの現場をリードしている。
30代を目前にキャリアへの不安・不満から、
コンサルティングファームへの転職を検討
―簡単に経歴を教えてください
新卒で大手保険会社に入社し、計4年半在籍しました。最初の3年間は、顧客の保険請求対応業務に従事していました。残りの1年半は、海外子会社の経営管理を行う部署に異動し、海外現地法人の事業進捗や予実差の分析を行い、レポートを作成して役員に報告する業務を担当しました。また、新規海外拠点の設立に際して、法人設立手続きを行う業務なども担当していました。
もともとキャリアへの不安・不満などがあり、転職については考えていましたが、30代を目前に控えたタイミングで、コンサルティングファームへの転職を決意しました。いくつかのコンサルティングファームに応募する中で、大手総合コンサルティングファーム(BIG4の1社)の金融セクターチームから内定をもらい、転職することになりました。現在は、コンサルタントとして4年目を迎え、プロジェクトの現場業務をリードする役割を担っています。
―コンサルティング業界への転職を考えたきっかけや理由は何ですか?
保険会社での勤務を続ける中で、いくつかの転職への動機が生まれました。
まず正直に言うと、保険業界特有の頻繁な転勤に対する不満がありました。仕事やプライベートなどのライフプランを考える上で、転勤の多さは大きな障壁となります。私は都内での生活を好んでいたため、転勤のない業界への転職を強く望んでいました。
また、キャリアの選択肢の少なさに対する不安感もありました。保険業界に関する知見は身についたものの、そのキャリアを活かせる選択肢は限られており、保険代理店か他の保険会社への転職しか選べないと感じていました。加えて、大手保険会社の1社に在籍していたため、他の大手への転職でない限り、給与の下落も避けられない状況でした。しかし、保険業界では新卒採用を重視する傾向があるため、大手4社間での転職は簡単ではありません。そのような現実を直視する中で、強いキャリアの閉塞感を抱いていました。
そのような状況下で、保険業界の知見が評価されうるコンサルティングファームの金融セクターチームへの転職を、1つの有力な選択肢として考えるようになりました。銀行や保険会社はコンサルティングファームの主要なクライアントでもあるため、保険業界での実務経験は評価される可能性がありました。実際、転職エージェントに登録したところ、エージェントからも同様の理由でコンサルティングファームを勧められることが多かったです。
コンサルティングファームへの転職は、経験やスキルを身につけてキャリアの幅を広げられることに加えて、基本的に転勤がなく、年収のアップも期待できる魅力的な選択肢でした。
―コンサルティング業界への転職に際して、不安はなかったのですか?
もちろん、不安はありました。特に、コンサルティング業界の働き方に対するネガティブなイメージは強くありました。私の知り合いにもコンサルティング業界で働く人がいましたが、その人の働き方を見ていると、非常に長時間労働で、ワークライフバランスを崩しているように感じられました。そのため、自分もそのような働き方を強いられるのではないかという懸念がありました。
また、コンサルティング業界での経験が全くなかったため、コンサルタントとしてのスキルや適性に対する不安もありました。私は保険業界での実務経験はあるものの、コンサルタントとして必要とされる分析力、問題解決力、コミュニケーション能力などが自分に備わっているのか、が分かりませんでした。
コンサル転職に強いエージェントを使わなかったため、
業界研究や選考対策では苦労
―転職活動はどのように進めましたか?
私は転職活動を始めるにあたって、まず5つ以上のハイクラス転職エージェントに登録しました。当初はコンサルティング業界以外にもIT業界など、幅広い選択肢を検討したいと考えていたため、エージェントを通じて、様々な業界の情報を提供してもらおうと考えました。最終的には、登録したエージェントの1社を通じて現在のコンサルティングファームから内定を得ることができました。
未経験からコンサルティング業界へ転職する方は、コンサル転職に強いエージェントを利用しているイメージがありますが、当時の私はコンサルティング業界に特化したエージェントは利用しませんでした。しかし、今振り返ると、コンサル特化のエージェントを利用すべきだったと感じています。
そのため、私がコンサルティングファームに転職した後、同じ保険会社にいた同僚からコンサルティング業界への転職について相談された際は、コンサル特化エージェントの利用を強くおすすめしました。特化型のエージェントは、コンサルティング業界特有のケース面接対策などのサポートを手厚く行ってくれるからです。
その同僚は、私のアドバイスを受けてコンサル特化エージェントを活用し、私とは別のBIG4ファームへの転職を成功させました。
―転職活動中に特に苦労したことはありましたか?
転職活動中、私が特に苦労したのは書類選考の段階でした。後から知ったのですが、当時一部のコンサルティングファームは採用を絞っていたこともあり、いくつかのファームの書類選考で落とされてしまいました。
私が利用していたエージェントは、コンサルティング業界に特化したエージェントではありませんでした。そのため、コンサルティング業界の採用動向に関する情報が不足していました。結果的に、企業研究から選考対策まで、全てを自分で行わなければならず、業界全体の採用動向を把握することが難しかったです。
今思えば、コンサル特化のエージェントを利用していれば、採用動向などの重要な情報を得られ、応募タイミングや応募先を調整するなどして、書類選考での失敗を減らせたかもしれません。業界特化型のエージェントは、その業界の採用トレンドや各社の採用方針などについて深い知見を持っているため、より的確なアドバイスやサポートを提供してくれる印象です。
―コンサルティングファームの選考はどのように進みましたか?
選考プロセスとしては、書類選考後に、3回の面接が行われました。
1回目の面接は、金融セクターのマネージャークラスの方が担当してくださいました。2回目はパートナークラスの方との面接で、最後は人事担当者との面接となりました。
面接では、保険業界に関する知見を積極的にアピールすることを心がけました。例えば、テレマティクス保険などの最新トピックについて自分の考えを述べたり、保険ビジネスについての見解を示したりしました。面接に臨む前に、これらのテーマについて、改めて自分の考えを言語化して整理しておいたことが功を奏しました。
無事に内定をもらい、年収も前職よりアップしたので満足でした。入社時期については、前職での引継ぎに2ヶ月ほどの時間をとらせてもらえたので、スムーズに転職できました。
―未経験からのコンサル転職を成功させるうえで大切だと思うことは何ですか?
未経験からコンサルティング業界への転職を成功させるうえで、私が重要だと考えるのは「話し方」の部分です。事業会社出身の人材は、普段の仕事の中で、話し方にあまり意識が向きづらいところがあります。
しかし、面接官を務めるコンサルティングファームのマネージャーやパートナークラスの人たちは、日々の業務で大企業の管理職や役員といった多忙な人々に対して、限られた時間内で分かりやすく提案をすることが求められており、話し方に非常にこだわりを持っています。転職面接では、そういった人たちにポテンシャルを感じてもらえることが非常に重要です。
「結論から端的に話す」「構造化して話す」「因果関係を明確にする」「粒度感を揃えて話す」など、を意識して面接に臨むことで、コンサルタントとしての素養の高さをアピールすべきだと思います。
入社後にスキル面で苦労も、早期にキャッチアップ。
所属チーム変更によるキャリアチェンジも実現。
―入社後のプロジェクト経験などを教えてください。
入社後、私は最初の2年間を金融セクターで過ごし、その後ファイナンスを専門とするチームに異動しました。
金融セクターでは、生命保険会社や銀行などの金融機関をクライアントとして、会社の統合プロジェクトにおけるPMO、事業戦略検討、RPA導入の計画策定(TO-BE業務の作成)などに携わりました。
ファイナンス部門に移ったきっかけは、金融セクターにいた時に大手金融機関のコスト削減プロジェクトに関わったことでした。そのプロジェクトには、PMOチーム、ファイナンスチーム、ITチームがあり、私は当初PMOチームのメンバーでした。そのプロジェクトの継続が決まり、次のフェーズに移る際に、ファイナンス領域に興味があるかという打診があり、自分としてもやってみたいと思ったので、ファイナンス部門に移ることにしました。
実は、金融セクターのチームで働いている際、どんなテーマのプロジェクトに行くのか全く分からないことが悩みとしてありました。あるときはコスト削減、その次はアンチマネーロンダリングなど、様々なテーマのプロジェクトにアサインされる可能性があります。コンサルティング業界に転職した理由の1つが、キャリアの幅を広げることであったため、様々なプロジェクトに関与できることは良い面もあった一方で、30代に向けて一つの軸を作りたいという気持ちもありました。そのため、ファイナンスに軸足をおいて、専門性を高める方が良いのではないかと考えました。
ファイナンス部門では、財務計画・分析(いわゆるFP&A領域)に携わっています。海外では専門部署を置くことも多いですが、日本では経営企画部などが管理会計業務として担当していることが多いです。
具体的なプロジェクトとしては、予算策定、実績管理、レポーティングなどの管理会計の高度化に取り組んでいます。あるべき予算策定・管理の方針策定や業務プロセス整備、AnaplanなどのEPM(Enterprise Performance Management)ツールの導入などを行い、クライアントの予算計画精度の改善や、実績収集スピードの向上などを促進しています。
―入社後に苦労したことはありましたか?
入社当初は、エクセルなどのツールに関するスキルがほとんどなかったため、かなり苦労しました。上司からの指示を理解するのが難しく、例えば「○○についてIF文を組んでデータを作成しておいて」と言われても、具体的に何をどうすればいいのか分からないということもよくありました。
ただ、私はたまたま手取り足取り教えてくれる先輩に恵まれたので、何とかキャッチアップすることができました。コンサルティング業界は、中途入社の場合、研修があまり充実していないファームも多いです。そのため、分からないことは分からないと素直に認めて、そこからいかに自分で素早くキャッチアップするかというマインドセットが非常に重要だと感じています。
―コンサルティングファームに転職して良かったと感じますか?
コンサルティングファームに転職して本当に良かったと感じています。特に、ロジカルシンキングやプレゼンテーションなど、コンサルティングのコアスキルを身につけられて良かったです。これらのスキルは汎用性が高く、どの業界でも通用する「ポータブルスキル」だと思います。そのため、将来的にコンサルティング業界を離れることになっても、キャリアの可能性が広がったと感じています。
また、収入面でも、保険会社に残っていた場合と比べて、確実に年収が上がっています。
さらに、コンサルティングの経験を通じて、自分が特に興味を持てる領域としてFP&A(財務計画・分析)を見つけられたことにも満足しています。コンサルティングファームは、会社内で手を挙げれば異動のチャンスがあるため、外に転職しなくても、社内でキャリアを模索する余地があります。
特に私が在籍しているようなBIG4の総合系ファームでは、あらゆる業界・テーマに特化したチームがあるため、様々なキャリアパスを探ることができます。
2か月の育休取得など、ワークライフバランスを保ちながら
メリハリをつけて働けている
―ワークライフバランスはどうですか?
ワークライフバランスは部門によって異なりますが、私が所属しているファームは全体的にそれほど悪くないと感じています。もちろん、事業会社と比べれば残業は多い傾向にありますが、徹夜で働くようなことは経験したことがありません。
プロジェクトによっては遅くなることもありますが、現在のプロジェクトでは平均して19時くらいには退社できています。早く上がれる日だと17時30分に退社することもあります。忙しい時期でも22時までには仕事を切り上げられるので、メリハリをつけて働けていると思います。
また、私自身、子供が生まれた際に育児休暇を取得しました。休暇取得の相談を半年ほど前からプロジェクト内で始めましたが、全く断られることなく、2ヶ月間の休暇を取ることができました。評価にも影響はありませんでしたし、むしろ育休を取得しやすい社風だと感じています。実際、現在私が参画しているプロジェクトのマネージャーも、6ヶ月間の育児休暇を取得しています。
総じて、事業会社よりもコンサルティングファームの方が、育児休暇を長期間取得しやすいイメージがあります。特に最近はファームが働き方改革を推進しており、ワークライフバランスを大切にしながら、キャリアを積んでいくことができる環境になってきていると感じます。
―今後のキャリアについてどのように考えていますか?
現在の目標としては、マネージャーへの昇進を目指しています。そこからは、さらなる年収アップを狙って他のコンサルティングファームに移るか、自分のスキルを活かせる事業会社の経営企画・FP&A部門への転身も選択肢として考えています。コンサルティングの仕事自体は嫌いではないので、じっくりと自分のキャリアを見つめ直し、次のステップを決めたいと思います。
―未経験から転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
未経験からコンサルティング業界への転職を考えている方には、転職の目的や原動力をしっかりと整理しておくことをおすすめします。
具体的には、数年後にどのような姿になっていたいのか、そのためにコンサルティングファームでどのようなスキルを身につけたいのかを明確にしておくことが大切です。そうすることで、転職の目的や原動力が明確になり、面接でのアピールポイントも見えてくるはずです。
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