近年、グローバル化や企業数の増加により、市場はモノやサービスで溢れかえっています。さらに、インターネットを通じた情報発信の増加に伴い、消費者は膨大な情報にさらされているため、いかに優れた商品やサービスであっても、ターゲットとする顧客に効果的に訴求することが難しくなっています。
このような状況下において、企業はマーケティングへの投資を拡大しています。特にデジタルマーケティング領域への投資が増加しており、矢野経済研究所の「デジタルマーケティング市場に関する調査」によると、国内のデジタルマーケティング市場(CRM、MA、DMP、CDP、ABM、動画制作ツールなど)は、2023年の3,167億円から2026年には4,157億円まで拡大すると予測されています。
一方、マーケティング戦略の策定と実行においては、実践的な知見に基づくノウハウの活用が非常に重要であり、自社の人的リソースのみでは対応が困難なケースも少なくありません。そのような場合、マーケティングに精通したコンサルティング会社に支援を依頼し、専門家のアドバイスを活用することで、より効率的かつ効果的なマーケティング活動を展開することが可能となります。
本記事では、マーケティングコンサルタントに依頼できる支援やマーケティングコンサル会社を選ぶ際のポイントについて詳しく解説します。
マーケティングコンサルタントに依頼できる支援
マーケティング・CX戦略
マーケティングコンサルティング会社の支援を受けることで、市場・自社・競合分析に基づく、STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)やMM(マーケティング・ミックス)と呼ばれる4P(プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション)の最適な組み合わせについて、客観的な戦略方針を策定することが可能です。
また、近年では自社起点での戦略策定だけでなく、顧客視点に立った体験設計(カスタマー・エクスペリエンス)が非常に重要視されています。マーケティングコンサルタントと協力することで、自社の顧客ペルソナを設計し、現状とあるべきカスタマージャーニーを比較しながら、より優れた顧客体験を実現するための戦略方針を策定できます。
さらに、マーケティング戦略・施策の効果を検証するためのKPI設計やマーケティング業務を推進するための組織設計など、マーケティング・CX戦略を策定する上での専門的なアドバイスを受けることができます。
マーケティング・CX戦略領域におけるサービス例
- STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の検討
- MM(マーケティング・ミックス)の検討
- ペルソナ・カスタマージャーニーにもとづくTo-Beの顧客体験(CX)設計
- マーケティングKPIの策定
- マーケティング組織設計
マーケティングリサーチ
マーケティング戦略策定やコミュニケーション戦略、プロダクト設計などのインプットとして重要な定量・定性調査に関する支援を依頼することも可能です。調査サンプル数や調査項目等の設計から、オンライン調査画面の作成・配信、グループインタビューの調整、調査の実施、調査結果のサマリと示唆出しまでを一貫して依頼できます。
大規模な調査パネルを持つ調査会社に直接依頼するパターンと、調査会社の選定・活用も含めて対応してくれるコンサルティング会社に依頼するパターンが考えられます。 自社で分析などが可能な場合は、調査の実施のみを調査会社に依頼することも選択肢の一つですが、分析の工数が確保できない場合やクラスター分析、回帰分析、ベイズ統計などの高度な分析が必要な場合は、マーケティングコンサルティング会社に依頼することをお勧めします。
マーケティングリサーチにおけるサービス例
- 定量・定性調査などによるマーケティングリサーチ
- トップオブマインド分析(純粋想起・助成想起など)
- ブランドイメージ調査
ブランディング
企業のブランディングについて支援が必要な場合も、マーケティングコンサルティング会社に依頼することができます。ブランディングの前提となるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定、ブランドアイデンティティの設計、企業内でのMVV浸透度や従業員満足度を測定し施策を検討するインナーブランディング、社外での企業イメージを向上させるアウターブランディングなどについて、専門的な立場からのアドバイスを受けられます。
コンサルティング会社の中には、自社でクリエイティブディレクターやデザイナーを抱えていたり、信頼できる提携先を持っていたりするため、ロゴやノベルティの作成、ウェブデザインや動画制作まで含めて支援してもらえる場合もあります。
ブランディングにおけるサービス例
- MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定
- ブランドアイデンティティの策定
- インナーブランディング施策の検討
- アウターブランディング施策の検討
コミュニケーション戦略
企業の対外的なコミュニケーション全般の戦略について相談することができます。オンライン・オフラインを含めた統合的なコミュニケーション戦略の設計、マスメディアやOOH(屋外広告)の活用戦略などについて、コンサルタントからアドバイスを受けられます。
さらに、企業やサービスに関する話題をうまくバズらせて認知を一気に拡大するために、メディアとのリレーション構築や取り上げられやすい話題づくりなども含めた広報・PR戦略について相談できるコンサルティング会社もあります。
コミュニケーション戦略におけるサービス例
- 統合コミュニケーション設計(チャネル横断でのコミュニケーション戦略設計)
- マスメディア戦略策定
- OOH(屋外広告)戦略策定
- 広報・PR戦略策定
デジタルマーケティング
デジタルを活用したマーケティングは今やどの企業にとっても避けられないテーマです。マーケティングに強いコンサルティング会社に支援を依頼することで、様々なデジタルマーケティング領域の支援を受けることができます。
デジタル広告については、リスティング広告、ディスプレイ広告、アフィリエイト広告、SNS広告のターゲティング設定から運用改善まで支援を依頼できます。また、SNSの企業アカウント運用改善やインフルエンサーマーケティングの活用などについて相談し、場合によっては運用を代行してもらうこともできます。
さらに、オウンドメディアを活用したコンテンツマーケティングやSEO対策、マーケティング動画の企画・制作、ウェブサイトやアプリのUI/UX改善、Eコマースのコンバージョン率改善などに対応しているコンサルティング会社も数多くあります。
近年、B2B領域でもデジタルマーケティングの活用が進む中、オンラインセミナーやホワイトペーパーを活用したリードジェネレーションからリードナーチャリングまで、B2Bマーケティング全般の支援に特化したコンサルティング会社も存在します。
デジタルマーケティングにおけるサービス例
- デジタル広告の運用改善
- SNSマーケティングの運用改善
- インフルエンサーマーケティング活用
- オウンドメディア(コンテンツマーケティング)の運用改善
- SEO対策
- 動画マーケティング活用
- ウェブ・アプリのUI/UX改善
- Eコマースの運用改善
- B2Bデジタルマーケティング(リードジェネレーション・リードナーチャリング)
マーケティングソリューション
デジタルマーケティングを効果的に活用していくためには、マーケティングソリューションが必要不可欠です。営業管理のSFA、顧客管理のCRM、自動でリードナーチャリングを行えるMAなど、様々なマーケティングソリューションが存在しており、その導入や運用においてはプロフェッショナルであるコンサルタントの活用が有効です。
また、昨今の個人情報保護・Cookie規制の潮流の中で、1st Party Cookieや企業が保有する顧客情報の活用を見越してCDP/DMPを導入する企業も増えています。このようなソリューションの導入・運用設計においてもコンサルタントの支援は非常に有効です。
マーケティングソリューションを適切に選定し、効果的に活用することで、顧客データの一元管理、マーケティング施策の自動化、データに基づく意思決定などが可能となります。
マーケティングソリューション活用におけるサービス例
- SFA(Salesforceなど)導入・運用改善
- CRM導入・運用改善
- MA(Marketing Automation)導入・運用改善
- CDP/DMP(Customer Data Platform/Data Management Platform)導入・運用改善
- BI(Business Intelligence)導入・運用改善
データマーケティング
ビジネス取引やコミュニケーションのオンライン化が進む中で、データを活用したマーケティングに取り組む企業も増えています。データマーケティングを効果的に推進することで、顧客一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズされたアプローチが可能となり、顧客満足度の向上やロイヤルティの強化、最終的な売上拡大につなげることができます。また、データに基づく意思決定により、マーケティング投資の効率化と収益性の改善も期待できます。
例えば、One to Oneマーケティングと呼ばれる手法は、「Right Target = 正しい相手」に「Right Timing = 適切なタイミング」で「Right Channel = 最適なチャネル」を通じて「Right Message = 正しいメッセージ」を届けるための戦略方針やソリューション導入であり、コンサルティング会社の支援によって最新の潮流を押さえた取り組みが可能となるでしょう。
また、AIを活用した需要予測やプライシング設計、オンライン・オフラインの広告を横断した効果最大化を目指すMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)による予算配分の最適化など、データを活用した取り組みにおいては、データマーケティングに強みを持つコンサルティング会社に支援を依頼する企業も少なくありません。
データマーケティングにおけるサービス例
- One to Oneマーケティングの戦略策定
- AI等を用いた需要予測の導入支援
- MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)による広告予算配分の最適化
次世代MarTech活用
生成AIを活用した広告クリエイティブの制作およびインハウス化、XR/VR/ARを活用した新たな顧客体験の実現、メタバース空間での商品販売、ニューロマーケティングを活用した商品開発など、次世代技術を活用したマーケティングの取り組みが進んでいます。
次世代MarTechを積極的に取り入れることで、競合他社との差別化を図り、革新的な顧客体験を提供することが可能となります。また、AIやXR技術などを活用することで、マーケティング業務の効率化や高度化を実現し、新たな価値創出につなげることができるでしょう。
これらの最先端技術を活用したマーケティング手法は、まだ実績が少なく、ノウハウも確立されていない領域が多いため、専門的な知見を持つコンサルタントの支援を受けることが効果的な導入と活用につながります。
次世代MarTech活用におけるサービス例
- 生成AIのマーケティング活用
- XR / VR / ARのマーケティング活用
- ニューロマーケティング
マーケティングコンサルタントを選ぶ際のポイント
- 実績豊富な会社に依頼する
- 実践知を持つコンサルタントに依頼する
- 複数社を比較する
実績豊富な会社に依頼する
依頼したい課題について豊富な実績を持つコンサルティング会社を選ぶことが重要です。提案を受ける際に、自社と同じ業界での実績があるか、類似の課題を抱えていた企業に対してどのようなアプローチをとったのかなどを具体的にヒアリングし、そのコンサルティング会社の実績や実力を見極めましょう。
関連する業界や課題に対する深い理解と豊富な経験を持つコンサルタントは、貴社の状況に合わせた効果的なソリューションを提案し、スムーズな導入と運用をサポートしてくれるでしょう。また、過去の成功事例から得られたベストプラクティスやノウハウを活用することで、高い成果を期待できます。
実績を確認する際には、単に案件数だけでなく、課題解決の質や顧客満足度なども考慮することが大切です。
実践知を持つコンサルタントに依頼する
コンサルタントが理論や知識だけでなく、実際にマーケティングに取り組んで成果を出した経験があるか、実務経験に基づく知見を持っているかを確認することが重要です。マーケティングは実践が非常に重要な分野であるため、実践知を持つコンサルタントに支援してもらうことが大切です。
実践知を持つコンサルタントは、理論的な知識だけでなく、実際の現場で通用する戦略や施策を提案してくれます。また、課題に対する深い理解と実践的なアプローチにより、スムーズな導入と運用をサポートし、目に見える成果を導いてくれるでしょう。
コンサルタントの実践知を確認する際には、過去の案件での具体的な役割や貢献、成果などについて詳しく聞くことが有効です。また、コンサルタント自身がマーケティング関連の実務経験を持っているかどうかも重要なポイントです。
実践知豊富なコンサルタントは、机上の空論ではなく、貴社の状況に合わせた現実的かつ効果的なソリューションを提供してくれるはずです。理論と実践のバランスが取れたコンサルタントを選ぶことで、マーケティング活動の成果を最大化することができるでしょう。
複数社を比較する
複数のマーケティングコンサルティング会社に提案を依頼し、比較検討することをおすすめします。各社によって、提案のアプローチや仮説、ソリューションに違いがあるはずです。その違いを分析することで、各社の強みや担当コンサルタントの実力を見極めることができます。
複数社を比較する際には、以下の点に注目しましょう:
- 課題に対する理解度と仮説の質
- 提案されたソリューションの具体性と実現可能性
- 提案内容の独自性と革新性
- コンサルタントの専門性と実践知
- プロジェクトの進め方と体制
- 費用対効果と ROI(投資収益率)
また、提案書だけでなく、直接コンサルタントと話す機会を設けることも重要です。実際に会って話をすることで、コンサルタントの人柄やコミュニケーション能力、貴社との相性などを確認できます。
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