人事・組織コンサルティング会社を活用するメリットや選び方

人事・組織コンサル会社に依頼できること

企業経営において、HR(Human Resource)領域の重要性がますます高まっています。

人手不足の加速や外資系企業等との人材獲得競争の中で、採用難易度は上昇の一途をたどっています。転職が当たり前となった時代において、すべての企業が中途採用による人材獲得に取り組み始めており、今後もこの流れは加速していくでしょう。ベンチマーク調査に基づく適切な報酬水準の設計、採用市場における認知度・好感度を高めるための採用ブランディング、従業員満足度調査やEmployee Success施策、社員一人ひとりのキャリアアップを支援するタレントマネジメントなど、様々な取り組みが求められています。

また、DX化が推進され、新たな技術が次々と登場する中で、社員のリスキリングも経営課題の1つとなっています。評価制度や人材配置も含めた包括的な検討が必要とされています。

さらに、働き方改革の潮流の中で、リモートワーク環境の整備や労務管理方法の改善、フレックスワークやワークシェアリングプログラムの制度設計なども求められます。

加えて、2023年度から義務化された人的資本の情報開示対応なども必要不可欠です。

このように、企業はHR領域において様々な経営課題を抱えており、社内の人的リソースだけでは十分に対応しきれないケースも少なくありません。そのような状況下で、人事・組織コンサルティング会社を活用することは有効な手段の1つです。

本記事では、人事・組織コンサルティングに依頼できる支援内容人事・組織コンサルティング会社を選定する際の重要なポイントについて詳しく解説します。

目次

人事・組織コンサルタントに依頼できる支援

人事戦略・組織戦略

人事・組織コンサルティング会社では、企業の人事戦略および組織戦略の立案と実行を支援します。経営戦略と連動した人事戦略の策定、組織風土の改革、DX時代に適応した組織構築、人的資本経営の推進、HR Techの活用、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、グローバル人事戦略の立案など、様々なテーマについて専門的な知見とベストプラクティスを提供します。

人事制度設計では、報酬制度、評価制度、キャリアパス、育成制度など、企業の戦略と整合性のある人事制度の設計と導入を支援します。組織風土改革では、組織診断、従業員エンゲージメント調査、リーダーシップ開発、チェンジマネジメントなどを通じて、組織風土の改革を推進します。

2023年に義務化された人的資本経営について、人事・組織コンサルティング会社は人的資本の可視化、人材投資の最適化、人的資本情報の開示支援など、人的資本を重視した経営の推進をバックアップします。

また、人事・組織コンサルティング会社は、デジタル時代に適応した組織設計、アジャイル型組織への移行、デジタル人材の育成と獲得を支援します。さらにAI、ビッグデータ、クラウドなどのテクノロジーを活用したHR領域の業務効率化と高度化の構想策定と導入支援も行います。

加えて、ダイバーシティ推進を重視する企業が増える中で、人事・組織コンサルティング会社は女性活躍推進、多様な人材の活用、インクルーシブな組織づくりなど、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を支援します。

また、グローバルにビジネスを展開する多国籍企業などに対して、人事・組織コンサルティング会社はグローバル人材マネジメント、現地化の推進、グローバル共通の人事制度設計など、グローバル企業における人事戦略の立案と実行を支援します。

\ 人事戦略・組織戦略におけるコンサルティングテーマ例 /

  • 人事制度設計
  • 組織風土改革
  • DX組織構築
  • 人的資本経営
  • HR Tech構想策定
  • ダイバーシティ推進
  • グローバル人事戦略

人事組織アセスメント・サーベイ

人事・組織コンサルティング会社では、人事・組織に関する各種アセスメントやサーベイを実施し、客観的なデータに基づいて現状を把握、課題を特定し、改善策を提案します。

人事・組織アセスメントでは、組織診断、人事制度の評価、人材マネジメントの成熟度評価など、人事・組織全般に関する包括的なアセスメントを実施し、強みと改善点を明らかにします。例えば、エンゲージメントサーベイや従業員意識調査では、従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や会社への愛着)や職務満足度、組織風土などを調査し、組織の状態を可視化します。そして調査結果に基づいて、人事・組織コンサルティング会社がエンゲージメント向上や組織活性化のための施策を提案します。

また、DX/ITスキルアセスメントでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に必要なITスキルやデジタルリテラシーを評価し、スキルギャップを特定、人材育成計画の策定や外部人材の獲得戦略立案を行います。

さらに、報酬・給与ベンチマーク調査では、業界や職種、地域などを軸に、報酬水準や給与制度に関するベンチマーク調査を実施します。自社の報酬水準の妥当性を検証し、競争力のある報酬制度の設計に役立つ情報を得ることができます。

これらのアセスメントやサーベイを通じて得られた客観的なデータは、人事戦略の立案や組織課題の解決に非常に有益です。人事・組織コンサルタントは、その専門的な知見を活かして調査設計から実施、結果の分析と考察まで一貫して支援し、データに基づく人事・組織マネジメントを推進してくれます。

\人事組織アセスメント・サーベイにおけるコンサルティングテーマ例 /

  • 人事・組織アセスメント
  • エンゲージメントサーベイ/従業員意識調査
  • 人材アセスメント
  • DX/ITスキルアセスメント
  • 報酬・給与ベンチマーク調査

IPO/M&A人事

IPOやM&Aといった企業の重要な節目においては、人事・労務面での対応が非常に重要になります。人事・組織コンサルティング会社では、IPOやM&Aに際して発生する人事課題の解決を支援しています。

人事・労務デューデリジェンスでは、対象企業の人事・労務の状況を詳細に調査し、リスクや課題を洗い出します。労働法規の遵守状況、人事制度の整備状況、労使関係の状況などを確認し、IPOやM&Aの障壁となり得る人事・労務面での問題点を特定、対応策を提案します。

IPOに向けては、上場企業として求められる人事ポリシーや労務規定の整備が必要です。人事・組織コンサルティング会社は、就業規則、人事諸規定、コンプライアンス関連規定などを再点検し、不備や不足があれば改定・新設を支援してくれます。また、役員報酬の設計も重要な課題の一つです。適切な報酬水準の設定、インセンティブ制度の導入などを通じて、コーポレートガバナンスの強化を支援してくれます。

また、M&Aにおいては、買収後の人事制度統合(PMI:Post Merger Integration)が重要なテーマとなります。買収企業と被買収企業の人事制度の違いを分析し、統合シナリオを策定します。人事・組織コンサルティング会社は、報酬水準の調整、人事制度の再設計、組織・拠点の再編など、スムーズな統合を実現するための施策を立案・実行を支援します。

\IPO/M&A人事におけるコンサルティングテーマ例 /

  • 人事・労務デューデリジェンス
  • 人事ポリシー・労務規定整備
  • 役員報酬設計
  • 人事制度統合(PMI)

HR Tech導入・活用

近年、人事領域においてもテクノロジーの活用が急速に進んでおり、HR Tech(Human Resources Technology)の導入・活用に取り組む企業が増えています。人事・組織コンサルティング会社では、HR Techの導入と活用を支援し、人事業務の効率化と高度化を推進します。

人事KPI・ダッシュボードの設計では、人事の重要指標(KPI:Key Performance Indicator)を定義し、それらを可視化するためのダッシュボードを設計します。採用、育成、評価、報酬、エンゲージメントなど、各領域におけるKPIを設定し、データの収集・分析・報告のプロセスを確立することで、人事マネジメントの基盤を強化します。

ピープルアナリティクスは、人事データを活用した高度な分析手法です。採用、配置、育成、評価、報酬など、様々な人事データを統合的に分析することで、人材マネジメントの課題を特定し、データドリブンな意思決定を支援します。人事・組織コンサルタントは、ピープルアナリティクスの手法を用いて、人事施策の効果検証や人材配置の最適化、リテンション施策の立案などを支援します。

タレントマネジメントシステムは、社員の能力や経験、スキル、キャリア志向などの情報を一元的に管理するためのシステムです。人材情報の見える化を通じて、適材適所の配置や戦略的な人材育成を実現します。コンサルタントは、自社に最適なタレントマネジメントシステムの選定・導入を支援し、運用定着に向けたサポートを提供します。

HR Techの導入・活用は、人事業務の生産性向上だけでなく、データに基づく戦略的な人材マネジメントを可能にします。一方で、HR Techの導入には、現状の人事業務の棚卸しや業務プロセスの見直し、システム間の連携など、様々な課題があります。人事・組織コンサルタントは、その豊富な経験と知見を活かし、HR Tech導入・活用のロードマップ策定から、システム選定、業務プロセス改革、運用定着までを一貫して支援してくれます。

\HR Tech導入・活用におけるコンサルティングテーマ例 /

  • 人事KPI・ダッシュボード設計
  • ピープルアナリティクス
  • タレントマネジメントシステム

労務環境整備

人事・組織コンサルティング会社では、企業の労務環境の整備と改善を支援します。働き方改革の推進、多様な働き方の実現、従業員のウェルビーイングの向上などを目的に、労務関連の制度設計や環境整備に関するコンサルティングサービスを提供します。

例えば、フレックスタイム制や裁量労働制などの柔軟な労働時間制度の導入では、自社の実情に合った制度設計と就業規則への反映、運用ルールの策定などを支援します。リモートワーク環境の整備では、テレワークに関する規定の整備、情報セキュリティ対策、コミュニケーション基盤の構築など、効果的なリモートワーク環境の実現をサポートします。

福利厚生の設計では、従業員のニーズや企業の人材戦略を踏まえて、魅力的な福利厚生制度の設計を支援します。健康増進、ワークライフバランス、自己啓発支援など、多様な福利厚生メニューの導入と運用をサポートし、従業員エンゲージメントの向上と人材の定着を図ります。

また、労務リスクの予防と対応も重要な支援領域です。人事・組織コンサルティング会社は労務コンプライアンスの徹底、ハラスメント防止体制の構築、労務トラブルへの対応など、労務リスクマネジメントの強化をサポートします。

\労務環境整備におけるコンサルティングテーマ例 /

  • フレックス等の労務規定導入
  • リモートワーク環境成否
  • 福利厚生設計
  • 労務リスクガバナンス

人材育成・研修

人事・組織コンサルティング会社では、企業の人材育成・研修の企画と実施を支援します。経営戦略や人事戦略と連動した人材育成体系の構築、階層別・職能別研修の企画・運営、次世代リーダーの育成、管理職のマネジメント力強化、若手社員の早期戦力化など、様々な人材育成テーマについてコンサルティングサービスを提供します。

人材戦略の策定では、経営ビジョンや事業戦略を実現するために必要な人材像を明確化し、その育成方針と施策を立案します。研修の企画・実施では、Off-JTだけでなく、OJTやジョブローテーションなども含めた多様な育成施策を設計し、体系的な人材育成プログラムを構築します。

次世代リーダーの育成・選抜では、将来の経営幹部候補となるハイポテンシャル人材の早期発掘と重点的な育成を支援します。アセスメントやコーチングを活用し、個別の育成計画を策定・実行することで、次世代リーダーの計画的な育成を図ります。

管理職のマネジメント力強化では、管理職に求められるスキルや行動特性を明確化し、それらを向上させるための研修プログラムを設計・実施します。部下の育成、パフォーマンスマネジメント、コミュニケーションなど、マネジメントに必要な能力の開発を支援します。一方で、若手社員の早期戦力化では、新入社員研修や若手向け研修の企画・運営を支援します。社会人基礎力やビジネススキルの習得、自己理解の促進、キャリア意識の醸成などを目的とした研修プログラムを提供し、若手社員の速やかな戦力化を図ります。

また、Eラーニングコンテンツの開発も支援します。自社の人材育成ニーズに合わせたオリジナルのEラーニングコンテンツを制作し、効率的かつ効果的な学習機会を提供します。

\人材育成・研修におけるコンサルティングテーマ例 /

  • 人材戦略の策定
  • 研修
  • 次世代リーダー育成・選抜
  • 管理職のマネジメント力強化
  • 若手の早期戦力化
  • Eラーニングコンテンツ開発

採用

人事・組織コンサルティング会社では、企業の採用戦略の策定と採用活動の実行を支援します。採用KPIの設計、人材要件の明確化、選考プロセスの最適化、面接官・リクルーターの育成、採用ブランディングの強化など、採用に関する様々な課題解決とパフォーマンス向上を支援します。

採用KPIの設計では、採用活動の目標設定と進捗管理に用いる指標を定義します。応募数、選考通過率、内定承諾率、早期離職率など、採用の各フェーズにおけるKPIを設定し、データドリブンな採用マネジメントの基盤を構築します。また、人材要件の策定・選考設計では、事業戦略や組織構成、職種特性などを踏まえて、採用すべき人材像を明確化します。その人材要件に基づいて、選考基準や選考方法を設計し、最適な選考プロセスを構築します。

採用活動のレビューでは、現行の採用プロセスを診断し、課題や改善点を特定します。応募者の動向分析、選考結果の分析、内定者・入社者へのヒアリングなどを通じて、採用活動の効果検証と改善策の立案を行います。また、面接官・リクルーターの強化では、採用担当者のスキル向上と面接の質の向上を図ります。面接スキルトレーニング、採用面接の評価基準策定、面接結果の振り返りと改善など、面接官・リクルーターの育成を支援します。

さらに、採用ブランディングでは、自社の魅力や強みを効果的に伝えるための採用広報戦略を立案します。採用Webサイトの改善、ソーシャルメディアの活用、採用イベントの企画など、優秀な人材に選ばれるための採用ブランディング施策を提案・実行します。

\採用におけるコンサルティングテーマ例 /

  • 採用KPI設計
  • 人材要件策定・選考設計
  • 採用活動レビュー
  • 面接官・リクルーター強化
  • 採用ブランディング

人事・組織コンサルティング会社を選定する際のポイント

\ 人事・組織コンサルティング会社を選定する際のポイント /
  • 実績が豊富な会社を選ぶ
  • 実践知を持つコンサルタントがいる会社を選ぶ
  • 複数の会社を比較する

実績が豊富な会社を選ぶ

人事・組織コンサルティング会社を選定する際には、まず会社の実績を確認することが重要です。同業他社や同規模の企業における人事・組織領域のコンサルティング実績を持っているか、課題解決に向けた具体的な成果を上げているかなどを確認します。

特に、自社と類似した課題を抱える企業での実績があるコンサルティング会社は、自社の状況を深く理解し、効果的なソリューションを提供してくれる可能性が高いでしょう。また、コンサルティング会社の web サイトやケーススタディなどから、過去のプロジェクト事例や顧客からのフィードバックを確認することも有益です。

実践知を持つコンサルタントがいる会社を選ぶ

人事・組織領域のコンサルティングでは、理論的な知識だけでなく、実践的な知見やスキルを持つコンサルタントの存在が非常に重要です。人事マネジメントや組織開発の実務経験を持ち、現場での課題解決に携わったことのあるコンサルタントは、机上の空論ではない、実効性のあるソリューションを提供してくれるはずです。

コンサルタントの経歴や専門領域、過去のプロジェクト実績などを確認し、自社の課題解決に必要な実践知を備えているかを見極めましょう。また、コンサルタントとのミーティングや提案プレゼンテーションの場を設け、その知見やアプローチを直接確かめることも重要です。

複数の会社を比較する

複数のコンサルティング会社に提案依頼を出し、比較検討することをおすすめします。各社の提案内容を比較することで、課題に対する理解度、ソリューションの具体性、アプローチの独自性などを評価し、自社にとって最適なパートナーを選定することができます。

また、提案書だけでなく、コンサルタントとの直接の対話を通じて、コミュニケーションスタイルや人柄、自社との相性なども確かめることが大切です。複数社の比較を通じて、単なる知識や手法の提供だけでなく、伴走型で自社の組織変革を支援してくれる信頼できるパートナーを見出しましょう。

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