【リアル解説】SIer・SEからITコンサルへの転職の実態・注意点
SIerやITベンダーで働いている方の中には、コンサルティングファームへの転職に興味がある方も多いのではないでしょうか。SIerからコンサルティングファームへ転職すると、年収アップやキャリアの広がりなど、様々なメリットがあります。
本記事では、SIerからコンサルティングファームへの転職を検討している方向けに、転職実態やSIerとITコンサルの違い、注意点などについて詳しく解説します。
SIerからITコンサルタントへの転職実態
SIerからコンサルティングファームへの転職は可能か?
結論から述べると、SIerからコンサルティングファームへの転職は可能です。
むしろ、コンサルティングファームはSIer出身者を積極的に採用しており、他業界からのコンサル転職と比較すると、転職できる可能性は高いです。
なぜSIer出身者が求められているのか?
近年、コンサルティングファームがシステム開発領域へと事業を拡大していることが、SIer出身者の需要増加の背景にあります。ご存じの方も多いと思いますが、AccentureやBig4(デロイト、PwC、EY、KPMG)などの大手コンサルティングファームは、システム開発分野への進出を加速させています。
例えば、従来コンサルティングファームは新規事業の立ち上げ支援において、事業計画の策定やサービス設計までを担当していました。しかし現在では、必要なシステムの開発からサービスのローンチまでを一貫して支援することが主流となっています。さらに最近では、リリース後のグロースや保守運用までもサポート範囲に含まれるようになってきました。
コンサルティングファームは、企業買収を通じて子会社にエンジニアを抱える流れにありますが、同時にビジネスとITの橋渡しができる人材を社内に確保する必要性が高まっています。そこで、技術的なバックグラウンドを持つSIer出身者が、そのような役割を担う人材として注目され、採用ターゲットとなっているのです。
SIer出身者の強み
コンサルティングファームにおいて、SIer出身者が持つ大きな強みの一つは「IT技術への深い理解」です。この強みは、様々なプロジェクトで活かされます。
SIer出身者の強みを表す具体的な例
具体的な例として、ある日系大手企業のクライアント(事業部門)が抱える課題を考えてみましょう。このクライアントは、集客や見込み顧客への継続的なアプローチに問題を抱えていました。その解決策として、AIシミュレーション機能やコミュニティ機能を備えた新しいウェブサービスの企画・開発が決定されました。
このプロジェクトには、コンサルティングファームから戦略コンサルタントとITコンサルタントが参画します。戦略コンサルタントは事業計画やサービス内容の検討を担当し、ITコンサルタントはサービス開発に向けた要件定義やシステムアーキテクチャーの検討を担当します。
このようなプロジェクトでは、データベース、ネットワーク、セキュリティなどのITインフラに関する知見が求められることが多くあります。例えば、「AIシミュレーションの同時ユーザー数の想定値から、どの程度のサーバーリソースを用意すべきか」や「ユーザーの申込フォームについてどのようなXSS対策を講じるべきか」といった、システムインフラストラクチャーに関する問い合わせが情報システム部から寄せられます。
こうした技術的な議論を情報システム部門の方々と深く行えるのは、SIer出身者ならではの強みだと言えるでしょう。SIer出身者は、IT技術に関する豊富な知識と経験を持ち合わせているため、クライアントの情報システム部門とスムーズにコミュニケーションを取りながら、プロジェクトを進めていくことができるのです。
SIer出身者が活躍するコンサルティングファームは?
SIer出身者が活躍しているファームとしては、大手総合コンサルティングファームが代表的です。
- アクセンチュア
- Big4(デロイト、PwC、EY、KPMG)
- アビームコンサルティング
- ベイカレントコンサルティング
- IBMコンサルティング
他にも設立から数年で従業員数1,000名以上まで拡大した「Dirbato」などは、技術力のある人材を積極的に採用しており、SIer出身者が多く活躍しています。
SIerとITコンサルタントの違い(役割や業務内容、求められるスキルなど)
ITコンサルタントはクライアントの課題解決や意思決定をITの観点から支援する
比較観点 | SIer(PMやSE) | ITコンサルタント |
---|---|---|
役割 | システムの設計、開発、テスト、保守等を実施する | クライアントの課題解決や意思決定をITの観点から支援する |
目的 | システム開発の完了 安定的な保守・運用 | クライアントのビジネス目標(売上拡大やコスト削減等)の達成 |
主な業務 | 設計 開発 テスト 保守・運用 | 主に上流工程 要件定義 ツール/ベンダー選定 プロジェクトマネジメント |
参画プロジェクト | 国内の守りのIT案件が中心 | 攻めのIT案件にも関与(新規事業立ち上げに伴うシステム開発など) 外資やBig4等ではグローバルな大規模案件への参画機会もある |
クライアント | 情報システム部が中心 | 情シスだけでなく、事業部門がクライアントになることも多い 重要案件ではCxOが最終報告先 |
求められるスキル | ITインフラ等の特定領域における深い技術知見 | 幅広いIT知見 ビジネス的な戦略思考 高度なプロジェクトマネジメントスキル 意思決定を支援できる資料作成スキル |
SIerからITコンサルタントに転職すると、より上流の案件を担当し、ビジネス的な思考が求められるようになります。また、事業部門主管の「攻めのIT案件」やグローバルな大規模案件に参画する可能性も高まります。
ITコンサルタントは、クライアントのビジネス目標達成のための手段としてITを捉えます。単なるツール導入やシステム開発の完了ではなく、ビジネス課題の解決に主眼を置き、高い視点からITを捉えることが求められるのです。
ITコンサルタントの仕事のイメージ
ITコンサルの仕事はなかなかイメージがつきづらいという方も多いと思います。ここでは、コンサルティングファーム出身の筆者が、実際のプロジェクト経験をもとにITコンサルタントの仕事を解説します。
プロジェクト例:
- 大企業がB2Cの新規事業を立ち上げ
- 大手総合コンサルティングファームから、業界コンサルタント、戦略コンサルタント、ITコンサルタントがチームを組んで参画
ITコンサルタントの役割:
- 新規事業のサービス内容や顧客のデジタル導線について、ITの観点から実現性やより良い方法をアドバイス
- 新規事業のサービスを実現するための全体的なITアーキテクチャーの検討
- 利用するシステム・ツールを選定するためのRFP作成(ビジネス要件・システム要件整理)
- RFP回答をもとに各システム・ツールを評価
- ビジネスサイドが作成している事業収支計画に、システム開発や保守・運用コストを反映
- 収支計画に合わせて、要件の優先度付けなどを行い、ビジネス観点からもシステム要件を精査
- システム開発・テストスケジュールの作成
- システム開発のプロジェクトマネジメント
- 予期していなかったトラブル・仕様変更等によってスケジュール・コストに影響が出てくる中で、クライアントと折衝して、優先順位付けなどを行い、いかに当初のスケジュール・コストを守れるかがポイント
- リリース後の保守運用設計
現在のコンサルティング案件では、デジタルが関係ない案件はほぼ皆無です。クライアントは、単に企画するだけでなく、アイデアを実現するところまでEnd-to-Endで支援してほしいというニーズを持っています。そのため、ビジネス要件をシステムに落とし込み、アイデアを実現していくITコンサルタントの存在は欠かせません。
ITコンサルタントは、ビジネスとITの両方の知識を活かし、クライアントの新規事業立ち上げや業務改善を支援する重要な役割を担っているのです。
ITコンサルは第三者の中立的な立場でシステムやツールを選定できる?
ITコンサルタントの役割の一つに、クライアントにとって最適なシステムやツールを中立的な立場で選定することがあります。理想的には、ITコンサルタントはクライアントの利益を最優先に考え、公平な評価を行うべきです。
しかし、実際には特定のシステムやツールに注力しているコンサルティングファームも存在します。これには様々な理由が考えられますが、例えば、そのシステムやツールに関する知見者や開発者の人員が充実しているケースなどが挙げられます。こうした場合、完全に中立的な立場でシステムやツールを選定することが難しくなる可能性があります。
したがって、ITコンサルタントとして中立的な立場で働くことにこだわる方は、エージェントなどを通じて、検討の自由度が高いコンサルティングファームを選ぶことが重要です。
ITコンサルタントのワークライフバランス事情
ITコンサルタントは、一般的に激務のイメージがあるため、ワークライフバランスについて気になる方も多いでしょう。特に家庭がある方にとっては、子育てや家事などの時間も必要となるため、最も重要なポイントの一つと言えます。
結論からいうと、ITコンサルタントのワークライフバランスは、大手ファームを中心に大きく改善されてきています。2019年に施行された働き方改革関連法の影響により、コンサルティングファームでは急速に長時間労働の見直しが進んでいます。特に大手ファームでは、スタッフ層における厳密な36協定の遵守などが推進されています。
筆者がコンサルティングファームに入社した当時は、みなし残業時間が100時間となっていましたが、現在そのファームではスタッフ層について月間残業時間が40時間を超えることは原則認められていません。もちろん、過渡期であるため、マネージャー以上の管理職の状況はあまり改善されていないという面があったり、プロジェクトの状況によっては長時間労働が発生してしまうこともあります。しかし、業界全体としては確実に改善の方向に向かっています。
ただし、コンサルティングファームによってワークライフバランスへの取り組み方は異なります。転職を考える際は、エージェントなどを通じて、各ファームの働き方についてよく確認することをおすすめします。また、プロジェクトの性質上、繁忙期と閑散期があることも理解しておく必要があります。
\ カンタン30秒! /
SIerからITコンサルへ転職するメリット
SIer出身者がコンサルティングファームへ転職するメリットとしては以下の2点が挙げられます。
- キャリアの幅が拡がる
- 年収がアップする
メリット1:キャリアの幅が拡がる
「SIerとITコンサルタントの違い」で前述した通り、ITコンサルタントに転職すると、役割や業務内容、求められるスキルなどが変化します。コンサルティングファームでの様々なプロジェクト経験を通じて、「システム・技術について詳しい人材」から、「ITを活用してビジネス課題を解決できる人材」へと評価が変わります。これにより、SIerでのキャリアに比べて、より幅広い可能性が開けます。
ITコンサルタントとしての経験は、将来的には以下のようなキャリアパスにつながる可能性があります:
- コンサルティングファームでのマネージャー職や経営層
- 事業会社でのIT戦略の立案や推進を担う役割
- スタートアップ企業での事業立ち上げや経営
- 独立してのコンサルタント業
メリット2:年収がアップする
ITコンサルタントに転職すると、基本的に年収がアップします。大手総合コンサルティングファームの場合、転職後数年で年収1,000万円を実現するのはそれほど難しいことではありません。
なぜITコンサルへ転職すると給料が上がるのか?
SIerとコンサルティングファームとで人月単価が大きく異なるからです。大手コンサルティングファームの場合、新卒入社したばかりの一番下のランクのコンサルタントでも、200万円/月以上の単価となります。ランクが上がればさらに単価は上がり、マネージャーなどは300~500万円/月となることが一般的です。
一方、SIerの場合、経験豊富なベテランであっても、SE1人の単価が100万円~150万円程度にとどまります。この単価の差が、給与の差につながっています。
ただし、単価ほどには仕事の大変さや業務の難易度に差があるわけではありません。コンサルティングファームが高単価でプロジェクトを受注できている背景には、ブランド力も影響していると考えられます。
SIerからコンサルタントへ転職する際の注意点
(やめとけと言われる理由)
SIerからITコンサルタントに転職後、苦労する人は少なくありません。特にSEだった方は、以下の2点で苦労することがあります。
- 指揮型PMOのスタンスでプロジェクト推進できていない
- 意思決定を支援する資料作成ができない
指揮型PMOのスタンスでプロジェクト推進できていない
一般社団法人 日本PMO協会によると、PMOのアプローチには3種類あります。
支援型PMO | プロジェクトマネジャーからの支援依頼があった際、プロジェクトマネジャーに適切な助言または具体的な支援を実施するアプローチ。 |
---|---|
管理型PMO | 各種プロジェクト情報を収集し、これらの情報を管理するとともに、プロジェクト情報に関して問題がある場合は改善を求め、改善までの状況の管理を実施するアプロ―チ。 |
指揮型PMO | プロジェクトに問題が発生している場合など、直接プロジェクトに介入し、プロジェクトマネジャーならびにプロジェクトメンバーに対して指揮するアプロ―チ。 |
SIer出身の方は、技術の知見があり、プロジェクトの進め方も理解していて、WBSなども問題なく引けます。しかし、プロジェクトで課題が発生した際に、適切にプロジェクトマネジメントができず、遅延が発生し、プロジェクトが炎上してしまうことがあります。
その原因として、受け身のPMOである「支援型PMO」となってしまっているケースがあります。コンサルティングファームが担う複雑なプロジェクトでは、複数のITベンダーなどが関与し、それぞれが担当領域(サブプロジェクト)を受け持つことは珍しくありません。そのようなプロジェクトにおいて、「支援型PMO」のスタンスで仕事をしてしまうと、それぞれの担当PMから支援依頼があった時だけ対応する形となってしまいます。遅延リスクを認識していても、自ら積極的に解決には動かず、問題提起もしない。結果的に、クライアントから見えないところで問題を抱え込み、蓋を開けてみるとスケジュールに大きな影響があり、遅延してしまうのです。
ITコンサルタントとしてプロジェクトを推進する場合、指揮型PMOになる必要があります。クライアントと同じ視点に立ち、プロジェクトのQCDに影響を与えうる課題を積極的に探し、自ら解決をリードすることが求められます。他社が絡んでいる問題の場合、手を出せる範囲は限られますが、それでもその問題が解決するまで、解決策を一緒に探し、必要な折衝や調整を行う必要があります。
こういったPMOとしてのスタンスの違いにうまく適応できず、炎上したタイミングでコンサル経験の長いメンバーが介入して、一気に問題解決を図るようなことになってしまうのです。SIerからITコンサルタントへ転職する際は、PMOとしてのスタンスの違いを理解し、指揮型PMOとしての働き方を身につけることが重要なポイントの一つと言えるでしょう。
意思決定を支援する資料作成ができない
SIerからITコンサルタントへ転職する際の苦労点として、一つ目の「指揮型PMOのスタンス」にも関連しますが、プロジェクトを前に進める上で必要な資料作成に苦労する方も多いです。
SIerでは、技術的な資料作成や、システム開発のプロセスに関する資料作成が中心となります。一方、ITコンサルタントは、プロジェクトのQCD(Quality、Cost、Delivery)に影響を与える課題が発生した際に、その課題の原因や解決策を論理的に整理し、クライアントに提案できる資料を作成する必要があります。意思決定に必要な情報を適切に選択し、わかりやすく資料にまとめる能力が求められるのです。
具体的には、以下のような資料作成が求められます:
- 課題の原因分析と解決策の提案資料
- プロジェクトの進捗状況や課題、リスクなどを整理した定例報告資料
- 複数の選択肢を比較検討し、最適な方策を提案する意思決定支援資料
- プロジェクトの予算や工数、スケジュールなどを整理した計画資料
これらの資料は、技術的な内容だけでなく、ビジネス的な観点からの分析や提案も含める必要があります。また、クライアントや社内の意思決定者に向けて作成するため、論理的な構成や明快な表現が求められます。
SIer出身者の中には、こういった資料作成に慣れておらず、苦労する方が少なくありません。ITコンサルタントとして成功するためには、技術力だけでなく、課題分析力、論理的思考力、コミュニケーション力などのスキルを身につける必要があります。
\ カンタン30秒! /
SIerからITコンサルへの転職に不安を感じている方へ
転職活動の中で不安・疑問を解決しましょう
SIerからITコンサルへの転職について理解が深まるにつれて、「本当にやっていけるのだろうか」「ワークライフバランスが悪化して家庭に影響が出ないだろうか」など、様々な不安や疑問が生じるのは自然なことです。
これらの不安・疑問は、転職活動の中で解決していくことが重要です。
転職エージェントを利用すれば、過去にSIerから転職した方々の事例を聞くことができます。転職後にどのような苦労があったのか、どのように活躍しているのかなど、実際の経験談を参考にすることで、自分の不安や疑問に答えを見出せるかもしれません。
また、興味のある会社の選考が進む中で、社員との面談設定を依頼することもおすすめです。コンサルティングファームは、候補者の入社意欲を高めたいと考えているため、面談設定の依頼に快く応じてくれることが多いです。例えば、セキュリティの領域で経験を積んできた方は、SIerのセキュリティ畑出身の社員との面談を設定してもらい、苦労した点や強みとなる経験・スキル、ワークライフバランスの実態などを直接聞いてみると良いでしょう。
コンサルスキルの習得に不安を感じている方は、中途研修が充実しているファームを選ぶという方法もあります。一般的にコンサルティングファームの中途研修は数日程度の簡単なものが多いですが、中には2週間~1か月程度丁寧に研修を実施しているファームもあります。
家族の不安も払拭してあげることが大切
SIerからコンサルティングファームへ転職する際は、自分の不安や疑問を解消するだけでなく、家族の不安も払拭してあげることが大切です。コンサルティングファームは一般的に激務のイメージが強いため、配偶者や両親が不安を感じることも少なくありません。
転職の決断に際しては、以下のような点を家族にしっかりと伝え、不安や疑問を解消しておきましょう:
- コンサルティングファームに転職したい理由
- 転職することで得られるメリット
- 転職先のワークライフバランスの実態
特に子育てをしている方などは、最初はある程度ハードワークになる可能性があることを伝え、サポートを依頼しておくことも重要です。コンサルタントとして適切にメンタル面を保ちながら活躍するためには、家族の理解と支えが不可欠です。
多くの人が挑戦し、乗り越えてきた道
本記事では、コンサルティングファームで働く現実を出来る限り具体的に伝えることを意識しているため、不安を感じた方もいるかもしれません。しかし、あまり恐れる必要はありません。これまでに、少なくとも数百人以上のSIer出身者がコンサルティングファームへ転職し、活躍してきたでしょう。多くの人が挑戦し、乗り越えてきた道なのです。
SIerからITコンサルへの転職の進め方・準備
ここまで読んでいただいている方は、ITコンサルの実態や現実を理解したうえで、転職に興味を持っているのではないでしょうか。ここからは、SIerからITコンサルへの転職を成功させるためのポイントを解説していきます。
まずは、ITコンサルへの転職活動の進め方や準備について整理しましょう。
Step1:コンサル転職に強いエージェントに登録する
いきなり転職エージェントに登録するの?と思う方も多いかもしれませんが、まず最初にエージェントに登録して、色々なサポートを受けるのが最も効率的です。SIerの方は現職の業務で忙しいことが多いため、効率的に転職活動を行うことが重要です。
コンサル転職に特化したエージェントに登録すると、以下のようなメリットがあります:
- コンサルティング業界の基礎知識や採用動向、企業の特徴などを教えてくれるため、業界研究や企業研究の手間を省くことができる。
- 自己分析のサポートや職務経歴書の添削を行ってくれるため、1人で準備するよりも効率的。
- 面接スケジュールの調整など面倒な雑務をお任せできる。
- 各ファームごとのWEBテストや面接対策を用意しており、想定問答集の提供や模擬面接のサポートなどを受けられる。
- 内定獲得後の給与交渉や入社時期調整なども、ファームとの間に入って調整してくれる。
こうしたサービスが無料で使えるので、積極的に活用すべきです。もちろん転職エージェントも営利企業なので、あまり志望度の高くない企業を積極的に紹介してくることもあります。相性がよいエージェントを見つけるためにも複数のエージェントに登録しましょう。
\ カンタン30秒! /
Step2:職務経歴書を作成する
職務経歴書を作成します。端的に述べると、論理的かつ分かりやすい文章にすること、数字をもとに実績を伝えることがポイントです。
職務経歴書の作成については、こちらの記事でポイントをまとめています。
Step3:選考対策を行う
コンサルティングファームでは、通常の事業会社とは異なるケース面接などが行われることもあるので、しっかりと準備をすることが必要です。
選考対策については、こちらの記事でポイントをまとめています。
Step4:選考を受ける
自分が興味のあるファーム、転職エージェントがおすすめしてくれたファームの選考を受けます。
面接の場は、候補者側からも労働環境などを確認する場です。もちろん質問によっては、エージェントを通じてうまく確認した方がよいこともありますが、選考を通じて不安や疑問を解決しましょう。
Step5:条件調整・内定受諾する
内定をもらったファームと給与や入社時期などについて条件調整を行います。最終的に最も良いと感じたファームへ内定受諾し、転職活動を終えます。
以上が、SIerからITコンサルへの転職活動の基本的な流れです。エージェントを上手に活用しながら、自分のキャリアビジョンに合ったファームを見つけていくことが重要です。転職準備には時間と労力を要しますが、新たなキャリアステージへの第一歩として、しっかりと取り組んでいきましょう。
SIerからITコンサルへの転職を成功させるには?
SIerからITコンサルタントへの転職を成功させるためには、以下の2つの重要なポイントを押さえておく必要があります。
- 年齢ごとの人材要件を理解して選考に臨む
- プロジェクトマネジメント力をアピールする(PM経験が無い場合は顧客折衝力)
年齢ごとの人材要件を理解する
ITコンサルティングファームへの転職では、年齢によって求められる人材要件が大きく異なります。
20代の場合、主にポテンシャル採用となるため、論理的思考力、コミュニケーション力、プロフェッショナルマインドなどがコンサルタントとして活躍できるかどうかの判断材料となります。SIer時代に仕事に真摯に取り組み、技術的な学びを深めてきたことをアピールすることが重要です。
30代になると、マネジメント経験が求められ始めます。SIer時代に部下のマネジメントを通じて成果を出した経験や、特定の技術領域やパッケージに関する深い知識・経験が必要とされます。即戦力としてのスキルが問われるようになります。
年齢ごとの人材要件を理解し、自身の経験・スキルを適切にアピールすることが転職成功の鍵となります。
プロジェクトマネジメント力をアピール
SIer出身者にとって、プロジェクトマネジメント力は強力な武器になります。大規模で複雑なプロジェクトをQCD(品質、コスト、納期)を守りながら推進した経験は、コンサルティングファームでも高く評価されます。クライアントやチームメンバー、下請けベンダーとのコミュニケーションを通じてプロジェクトを成功に導いた実績は、転職の可能性を大きく高めてくれるでしょう。
一方で、SEなどプロジェクトマネジメントの経験がない場合は、顧客との折衝・調整力をアピールしましょう。現職で直面した課題を、クライアントや社内外のメンバーと協力しながら解決に導いた経験から得た学びや独自の方法論を言語化し、面接で伝えられると良いでしょう。
資格って武器になる?
資格の取得だけでITコンサルタントの選考を通過できるわけではありませんが、資格を持っていることで有利になる可能性はあります。現職での実績や経験を積むことが最も重要ですが、資格は自身のスキルや知識の証明にもなります。
例えば、以下のような資格はITコンサルタントの方が持っていることが多いです。
- PMP®(Project Management Professional)
- PMOスペシャリスト認定資格
- プロジェクトマネージャー試験
- ITストラテジスト
- 応用技術者試験
- SAP認定コンサルタント資格などの有名パッケージ/SaaSの資格
英語って必要?
実はグローバルファームであるBig4や外資系のAccentureでも、英語力は必須ではありません。英語が不得意なコンサルタントも多く存在します。しかし、英語力があれば、グローバルプロジェクトへのアサインの可能性が広がり、より興味深い案件に参画できるチャンスが増えます。
SIerからコンサルへ転職する際におすすめのエージェント
MyVision(マイビジョン)
会社名 | 株式会社MyVision |
---|---|
設立 | 2022年6月 |
- 有名コンサルティングファームの元コンサルタントや人事担当者など、
経験豊富で優秀なエージェントが在籍していること - 外資系戦略ファームや大手総合ファームなど、
国内のほぼすべてのコンサルティングファームへの転職支援が可能であること - 独自の面接対策資料や元コンサルタントによる模擬面接など、
他社には見られない手厚いサポートを提供していること
\ 未経験からのコンサル転職に強い /
アクシスコンサルティング
会社名 | アクシスコンサルティング株式会社 |
---|---|
設立 | 2002年4月 |
- 20年以上の歴史と10,000名以上の転職支援実績を通じて培ってきた、
コンサルタント転職に関する豊富なノウハウを有すること - 取り扱う求人の約77%は非公開求人であり、
アクシスコンサルティングにしか存在しない独自の求人も含まれていること - キャリアアドバイザーの平均支援期間は3年以上と長く、利用者から高い信頼を得ていること
(中長期の支援が前提だから、無理に転職を勧めない)
\ 20年以上にわたるコンサル転職支援の実績 /
MWH HR Products
会社名 | MWH HR Products株式会社 |
---|---|
設立 | 2023年10月 20年以上の実績と経験を持つ人材エージェントの株式会社A・ヒューマン」と「AIMSインターナショナルジャパン株式会社」が合併 |
- 三井物産グループの信頼性を活かし、様々なコンサルティングファームの求人を取り扱い(三井物産の社内コンサルティングチームなど、独自性の強い求人も紹介)
- コンサル業界出身のアドバイザーによる、経験と知識を活かした質の高い支援
- 人材業界20年の実績を持ち、金融やコンサルのハイクラス求人を多数保有(平均決定年収800万円)
\ 金融・コンサル業界に強い、三井物産グループの人材エージェント /
JACリクルートメント
会社名 | 株式会社JACリクルートメント |
---|---|
設立 | 1988年3月 |
- 「オリコン顧客満足度®調査 ハイクラス・ミドルクラス転職」で6年連続総合1位の実績を誇る、高品質かつ手厚いサポートを提供していること
- 30年以上にわたる約43万人の転職支援で培ってきた企業とのリレーションにより、豊富な求人情報を保有していること(コンサル業界の公開求人だけでも数百件以上)
- 業界専任制を採用しているため、各業界に対する高い専門性と豊富な知識を蓄積していること
\ 30年以上にわたって約43万人のハイクラス転職を支援 /
ヤマトヒューマンキャピタル
会社名 | ヤマトヒューマンキャピタル株式会社 |
---|---|
設立 | 2017年10月 |
- コンサル転職では、事業再生ファームやFAS等への転職に強みを持っていること
- コンサルからPEやスタートアップ・PE投資先CxOへの転職支援も行っているため、経営のプロを目指すキャリアパスを見据えた転職相談が可能であること
- 業界的に経験者向けの求人が多い中で、未経験者でも応募可能な非公開求人を豊富に有していること
\ 事業再生ファーム・FAS転職に強み /
レバテックキャリア
会社名 | レバテック株式会社 |
---|---|
設立 | 2017年8月 |
- 「ITコンサル×Java」「ITコンサル×AWS」など、90のITスキルと掛け合わせた求人検索が可能
- IT業界に特化した10年の実績から、エンジニアが関心を持つ情報(開発環境の詳細、チームのスキルレベル、残業時間など)について、各社の踏み込んだ情報を提供
- 顧客満足度の高い「IT転職専門アドバイザー」による手厚いサポート
\ エンジニアからITコンサルへの転職に強み /
ビジョン・キャリア
会社名 | 株式会社ビジョン・キャリア |
---|---|
設立 | 2021年9月 |
- コンサルティンググループならではの、独自のネットワークにより、他社では取り扱いのない非公開求人が豊富なこと(※IT上流の求人のみで4,000件以上)
- 年収800万円以上のハイクラス求人が全体の8割となっており、転職後年収アップ率98%であること
- エンジニア・PM・ITコンサル出身など、IT人材を深く理解するアドバイザーがサポートしてくれること
\ ITコンサルへの転職支援に強み /
コトラ
会社名 | 株式会社コトラ |
---|---|
設立 | 2002年10月 |
- 約400社ものコンサルティングファームやFASの求人情報を保有しており、4,000件~5,000件のコンサルティング求人を紹介可能
- コンサルティング求人をさらに細分化し、戦略、業務、IT・DX、財務・M&A、組織・人事、マーケティングなどの詳細な専門性に絞って検索可能
- NIKKEI Human Resources Agent Awardsを受賞した優秀なアドバイザーなどが在籍しており、転職者は経験豊富なアドバイザーのサポートを受けられる
\ コンサル求人多数! 20~50代までのコンサル転職を支援 /
アサイン(ASSIGN)
会社名 | 株式会社アサイン(ASSIGN) |
---|---|
設立 | 2016年12月 |
- ビズリーチ主催の「日本ヘッドハンターサミット」コンサルティング部門MVP受賞者など、コンサルティングファーム出身のアドバイザーが多数在籍しており、業界や各ファームの採用動向に精通
- 初回の面談では案件紹介を行わず、スキルの棚卸しやキャリアプランの設計に重点を置き、丁寧な対応で転職活動を支援
- 求職者の経験と強みを生かすオーダーメイドの選考対策資料の提供や手厚い模擬面接の支援
\ 20~30代前半のコンサル転職に強い /
エージェント選びで悩んだら「BIZREACH」
ファームや一流ヘッドハンターからスカウトが届く
ハイクラス転職サイトBIZREACH
- コンサルティングファームへの転職支援に強い一流ヘッドハンターからスカウトが届く
- 大手有名コンサルティングファームや注目の新興系ブティックファーム等から直接オファーが届く
- 他の転職サービスでは出会えない、高年収層・ミドル層向けの希少なハイクラス求人が豊富(年収1,000万円以上の求人が3分の1位以上*1)
※2023年10月末時点
\有名コンサルファームや一流エージェントから直接スカウトが届く!/
ITコンサル転職後の過ごし方のポイント(最初の3か月)
ここでは、ITコンサルから内定をもらった場合に、転職後の最初の3か月をどう過ごすべきかを解説します。
結論からいうと、最初の3か月は全力で仕事に取り組んでください。
コンサルティングファームは噂好きの人も多いため、中途採用者のパフォーマンスについても社内で共有されていたりします。最初の3か月で、多少できないところがあっても仕事に真摯に取り組む姿勢を見せることで、周囲からの信頼を得ることができます。この最初の印象が、その後のキャリアを大きく左右する可能性があります。
上司や同僚から信頼され、自分の育成に積極的に関わってくれる存在を見つけられれば、ある程度の裁量を持って働くことができるようになります。また、興味深い案件にアサインしてもらえる可能性も高まります。
最初の3か月にすべてをかけてください。
SIerからコンサルへ転職。その後のキャリアは?
最後に、SIerからコンサルティングファームへ転職した方のその後のキャリアパスについて解説します。
キャリアパスは大きく分けて4つです。
- ファーム内でのステップアップ
- 他のコンサルファームへの転職
- 事業会社への転職
- フリーコンサルとしての独立
ファーム内でのステップアップ
まずはコンサルティングファーム内でディレクターやパートナーを目指すキャリアパスです。SIer出身でパートナーへ上り詰めた方は多くいらっしゃいます。パートナーになれば、日本を代表する企業のCIOの相談相手となり、ダイナミックで社会的インパクトのあるプロジェクトを責任者として主導するなど、非常に魅力的な仕事が待っています。また収入という意味でも、IT部門のパートナーは大規模プロジェクトを受注しやすいため、億単位の報酬となることも決してあり得ない話ではありません。
ただし、パートナーになれるのはごく一部の人であり、簡単な道のりではありません。
他のコンサルファームへの転職
コンサルティングファームに転職して、2~3年が経つとハイクラス転職サイトなどで、多数の転職スカウトを受け取るようになります。その多くが他のコンサルティングファームからのオファーであり、役職アップや年収アップの条件を提示されます。条件面で魅力を感じて転職する方もいれば、現職の上司や同僚と馬が合わないから転職するという方もいます。
ファームtoファーム転職について知りたい方はこちらの姉妹サイトの記事をご覧ください
事業会社への転職
コンサルティングファームでのITプロジェクト経験を活かし、外資系IT企業(GAFAやパッケージ・SaaS企業など)や日系企業へ転職するケースもあります。特に日系企業では、DX化の流れの中でIT人材の需要が高まっており、30代のITコンサルタントは引く手あまたの状況です。
フリーコンサルとしての独立
近年、大手コンサルティングファームからフリーコンサルとして独立する人が増加しています。ITコンサルタントは案件の引き合いが多く、単価も高いため、独立を選ぶ方が増えています。フリーランスのITコンサルタントに興味がある方は、こちらの姉妹サイトの記事も参考にしてみてください。
SIerからITコンサルへの転職で「よくある質問」17選
- ITコンサルに転職するのに最適な年齢は?
-
一般的に20代後半から30代前半が転職しやすいとされますが、個人の経験や能力によります。ただし、30代後半以降になるとMup(マネージャー以上のランク)での転職が求められることが多くなります。
年齢ごとに求められるスキルや経験についてはこちらをご覧ください。
- SIerでの経験は、ITコンサルでどのように活かせますか?
-
システム開発の知識や経験は、クライアントの技術的ニーズを理解し、適切なソリューションを提案する際に非常に役立ちます。また、PMとしてプロジェクト管理の経験がある場合は、PMOスキルを活かすことができます。
SIer出身者の強みがどのように活きるかは、こちらの具体例をご覧ください。
- ITコンサルに転職する際、最も重要なスキルは何ですか?
-
技術的知識に加えて、ビジネス課題を理解し解決策を提案する能力、クライアントとのコミュニケーション能力(折衝・調整)などが重要です。
- ITコンサルの年収は本当にSIerより高いのですか?
-
一般的にITコンサルの方が年収は高くなりますが、個人の能力や経験、所属する企業によって大きく異なります。例えば大手総合コンサルティングファームのマネージャーの場合、1,100~1,600万円程度となり、非常に高収入です。
- ITコンサルの仕事はハードワークですか?
-
プロジェクトの状況やタイミングによっては、ハードワークになることもあります。ただし、ワークライフバランスに配慮する企業も増えてきています。詳しくはこちらをご覧ください。
- SIerからITコンサルへの転職で、苦労する点は何ですか?
-
特にPMOスタイルの違いへの適応、経営層の意思決定を支援する資料作成などに苦労する方が多い印象です。詳しくはこちらをご覧ください。
- ITコンサルに必要な資格はありますか?
-
必須の資格はありませんが、PMPなどのプロジェクトマネジメント関連の資格や、各種ベンダー認定資格が評価されることがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
- ITコンサルでも、実際にコーディングをする機会はありますか?
-
アドバイザリー業務が中心となりますが、プロトタイプの作成や技術的な実現可能性の検証など、場合によってはコーディングを行うこともあります。
- ITコンサルに転職後、再びSIerに戻ることは可能ですか?
-
可能です。ITコンサルでの経験を活かして、SIerでより上位のポジションに就くケースもあります。特に最近はSIerがコンサル機能を強化する動きがあるため、より出戻りしやすくなっているでしょう。
- 英語力は必須ですか?
-
必須ではありませんが、グローバルプロジェクトに参加する機会が増えるため、英語力があるとキャリアの選択肢が広がります。
- ITコンサルでも長期的に同じクライアントと関わることはありますか?
-
ロジェクトの性質によっては長期的に同じクライアントと関わることもありますが、多くの場合は複数のクライアントと短期から中期的(長くても1年程度)に関わることが多いです。
- SIerでのプロジェクトマネージャー経験は、ITコンサルでどのように評価されますか?
-
高く評価されます。プロジェクト管理スキルはITコンサルでも重要で、特に大規模プロジェクトの経験は貴重です。ただし、ITコンサルタントになると、よりビジネス戦略的な視点も求められます。
ITコンサルタントとSIerの違いについてはこちらをご覧ください。
- ITコンサルに転職後、起業やフリーランスへの道は開けますか?
-
はい、特に最近は多くのITコンサルタントが経験を積んだ後、フリーコンサルとして独立しています。フリーコンサルの実態について知りたい方はこちらをご覧ください。
- SIerでの開発経験がないエンジニアでも、ITコンサルへの転職は可能ですか?
-
可能です。ただし、技術的な理解は必要です。インフラエンジニアやテスト担当者など、開発以外の経験者も、その専門性を活かしてITコンサルに転職できます。
- ITコンサルでの仕事は、技術の進化によってAIに取って代わられる可能性はありますか?
-
Iは確かにコンサルティング業界にも影響を与えていますが、クリエイティブな問題解決や人間関係の構築など、人間のコンサルタントの価値は依然として高いです。むしろAIを活用するスキルが重要になるでしょう。
- ITコンサルの仕事で海外勤務の機会はありますか?
-
海外駐在の機会は実はあまり多くはありません。一方で、グローバル案件によっては出張ベースで海外で働くケースもあります。
- SIerとITコンサルの両方の経験を持つことは、キャリア上どのようなメリットがありますか?
-
両方の経験を持つことで、技術とビジネスの両面から問題を捉えることができ、より高い課題解決力を持つ人材としてキャリアアップできます。
\ カンタン30秒! /