タイグロンパートナーズが語る、ポストコンサル転職の最新動向と成功のポイント

Interviewee|タイグロンパートナーズ株式会社 新山 雄俊 氏

高専電気工学科を経て長岡技術科学大学卒業、同大学院電子機器工学専攻修了。日系・外資系のエレクトロニクスメーカー/IT関連企業で15年以上にわたりエンジニア業務に従事。装置開発からキャリアをスタートし、生産技術や品質保証を経て、システムアーキテクト、開発PM、FAEマネージャー、事業開発シニアマネージャーを務める。その後、人材業界に転じ、主にミドル・ハイクラス層向けに、製造業、IT、エネルギー、商社、金融機関、コンサルティングと幅広い業界での支援実績を積む。英語堪能。

Big4や大手コンサルファーム出身の方を中心に、
スタートアップや事業会社、金融、他ファームへの転職を支援

―新山様のご経歴を教えてください。

私は大学院を卒業後、日系および外資系のエレクトロニクスメーカーやIT企業で、15年以上のキャリアを積んできました。職種としては、開発エンジニアやプロジェクトマネージャー、新規事業開発などに携わりました。これらの事業会社での経験を活かし、現在は人材エージェントとして、ハイクラス層の方々を中心にキャリア形成のご支援をしています。

―ポストコンサル転職では、どのような方を支援することが多いですか?

ファーム自体の人数規模が大きいこともあり、Big4や日系大手コンサルティングファームの方を支援することが多いです。一方で外資系戦略ファームの方やブティックファームの方をご支援することもあります。

職階についても、シニアコンサルタントからパートナークラスの方まで幅広くご相談を受けています。アナリストやコンサルタントの方からご相談いただくこともありますが、現時点ではシニアコンサルタントやMupの方が中心です。

―どういった業界や職種への支援が多いでしょうか?

当然、職階や出身ファームによって異なりますが、大きくは3つに分けられます。

1つはスタートアップ企業への転職です。SaaSプロダクトやITソリューションを開発・提供する会社の事業企画や経営企画ポジションへの転職が中心となります。

2つ目は、大手のIT企業やメーカー等への転職です。上場企業のCxOポジションなどもご紹介しています。

3つ目は、金融業界への転職です。弊社はもともと金融機関出身者が立ち上げていることもあり、銀行や証券、信託、PEファンドやベンチャーキャピタル(VC)への転職にも強みがあります。

また、コンサルティング会社からの転職という意味では、ファームtoファームの転職も支援しています。

―コンサルタントから特に人気のある転職先はありますか?

最終的には一人ひとりの希望や関心によって異なるため、一概に語ることは難しいですが、最近はスタートアップへの転職を希望される方が多い印象はあります。特にIPO前の会社が人気で、ストックオプション等のメリットを期待して、転職を検討されている方が目立ちます。

各業界経営層との繋がりを活かし、非公開求人を紹介。
転職希望者のスキルをもとに、企業側にポジション提案も

―御社のポストコンサル転職の支援体制や強みを教えてください。

弊社のコンサル業界チームは、私を含めて現在7名で構成されています。私以外のメンバーについては、日系大手や外資系のコンサル出身者、大手IT企業やメーカー出身者、組織人事コンサル出身者などが在籍しています。

事業会社への転職支援においては、様々な業界の経営層から直接求人ニーズを収集できている点が強みです。また、我々は単に顕在化した求人情報を収集するだけでなく、弊社に転職相談にいらっしゃるコンサルタントの方々のスキルセットをもとに、事業会社側に対して新たなポジションの提案も行っています。たとえ現時点で適切なポジションがなくても、事業会社の経営層との議論を通じて、コンサルタントの方々のキャリアに合った新たな転職機会を創出することを目指しています。

金融業界への転職支援に関しては、弊社では15年以上にわたり金融プロフェッショナルの方々のキャリアをサポートしてきた実績があります。過去に弊社の支援を受けて転職された方の中には、現在、金融業界で事業責任者としてご活躍されている方も多数いらっしゃいます。そうした方々との強固なネットワークを通じて、他社では入手困難な非公開求人情報を独自に収集しています。

また、ファームtoファームの転職支援においては、各コンサルティング会社の経営層やパートナークラスの方々と直接コミュニケーションを取れる関係性を構築しています。これにより、プロジェクトの詳細やファーム特有の文化など、リアルな情報をお伝えすることも可能です。

―他に御社の転職支援の強みはありますか?

例えば、戦略ファームの方でPEファンドやベンチャーキャピタルへの転職を希望する方がいますが、ファンド転職ではモデルテストを始め、ファンド独自の選考対策が必要となります。

弊社では、各ファンドの過去のモデルテストやケーススタディの情報を収集・蓄積しており、ご提供することが可能です。加えて、弊社には金融業界出身のメンバーも多く在籍しているため、LBOモデルテストの対応なども行っています。

ワークライフバランス、インセンティブ、提案内容の幅などに関する不満が
転職検討の主な理由

―コンサルタントの方が転職を相談してくる理由やきっかけはどういったものが多いですか?

人によって転職理由は様々ですが、よくある理由としては「プロモーションができなかった」、「業務の範囲をもう少し広げたい」などが挙げられます。

また、リモートワークが可能な会社への転職を希望する方も増えている印象があります。特にコロナ以降、フル出社に切り替えているコンサルティングファームも少なからずある中で、ワークライフバランスの改善を理由に、リモートワークができる会社への転職を検討する方が増えています。

マネージャーやシニアマネージャーの方については、現在の労働環境に不満を抱き、ご相談をいただくケースも少なくありません。若手の労働環境が改善される中で、Mupは依然としてハードワークが続いていることや、成果としてあげた数字(売上)に対するインセンティブのバランスなどに疑問を持たれるケースなどです。

監査法人のグループであるBig4に在籍される方が、サービス提供可能なクライアントや提案可能なソリューションへの制限に不満を持ち、提案内容で自由度の高いファームへの転職を希望することもあります。

―何歳位までポストコンサル転職は可能ですか?

転職先の業界によって異なります。例えばファンドやVCについては30代前半が1つの区切りです。その他の金融機関や事業会社でいうと、40代後半でも募集がかかることはあります。それより上の年齢になると求人を探すのが難しくなってきますが、それでも募集しているケースはあるので、弊社では50代の方のご支援をすることもあります。

専門としているインダストリーやサービスによっても状況は異なります。例えば、ITコンサルをやっている方は、PM/PMOのスキルという意味で汎用性が高いため、比較的、業界・業種の選択肢が広く、年齢が上がっても転職先を見つけやすいという特徴があります。

ポストコンサル転職のハードルが上がる中で、
ファーム時代の取り組みや転職後に”何を成し遂げたいか”が重要

―コンサルタントが事業会社へ転職する際の難しさはありますか?

ポストコンサルといっても、事業会社の経験がある方とない方で異なります。

事業会社の在籍経験がある方は、ある程度、事業会社特有の雰囲気や業務の流れ、仕事の進め方をイメージできていることが多いです。一方で、コンサル業界以外の経験がない方は、事業会社において実際にどのように業務を進めればよいのか、入社後に周囲とのコンフリクトを避けるためにどう振る舞うべきかなどに苦戦される方もいます。

―新卒でコンサルファームに入社した場合などは、事業会社での働き方のイメージが湧きづらい印象です。

ポストコンサル転職では、転職先で役職が付くケースも少なくありません。そのため、転職先の経営陣や役職者の方との相性が重要となります。弊社では、いきなり選考に進んでいただくのではなく、まずは転職先の経営陣の方々とカジュアルに話をし、相手の人間性や求めている人材像などを確認していただくところから始めるようにしています。そうしたカジュアルな話し合いを重ねる中で、フィット感の強い企業が見つかった場合に、実際の選考を受けていただく流れを作っています。

―コンサル出身者が他業界や他職種に転職する際にどのような経験やスキルをみられていますか?

転職先の企業によって求められる経験やスキルは異なりますが、特にジュニア層の方は、プロジェクトマネジメントや会計知識(財務三表への理解等)、そして、「新しいことにどれだけチャレンジしてきたか」が重視されることが多いです。つまり、与えられたプロジェクトをこなすだけでなく、プロジェクトから得た知見をその後の仕事にどのように活かしているのかが見られています。

また、現在は事業会社側にもコンサル出身者が既に在籍していることが多く、コンサル出身者が選考を担当するケースも増えています。そのため、実際にどのようなプロジェクトを経験しているのかという「実力」と、コンサルでの経験を活かして転職先で「何を成し遂げたいのか」という点がシビアに見られています。

コンサル出身者が徐々に増えていく中で、2〜3年前と比べるとポストコンサル転職のハードル自体は上がっている印象があります。

ファームtoファームの転職では、
大手ファームからブティックファームへの転職が増加

―ファームtoファームの転職も増えている印象がありますが、最近の傾向を教えてください

近年、大手コンサルティングファームからブティックファームへの転職が増加しています。Big4や日系大手ファームで活躍されている方は、ある程度年収の上限が決まっていることが多いため、新たなチャレンジを通じてインセンティブを得たいという考えから、ブティックファームへの転職を選ぶケースが見られます。

ブティックファームの中には、チームビルディングの途上段階にありながら、今後の上場を目指しているようなフェーズにある会社が数多く存在します。そういったファームの一員となり、会社の成長に貢献することを目指して、大手からブティックファームへ転職する方も増えています。

また、最近はコンサルティング事業だけでなく、事業投資を行っているファームも存在します。大手のコンサルタントの中には、実業にも関与したいという思いから、そういったブティックファームへ転職するケースも増加傾向にあります。

大手からブティックファームへの転職については、ジュニアからパートナーの方まで幅広い層でニーズがあると感じています。

―ブティックファームから大手ファームへの転職はいかがでしょうか?

ブティックファームから大手ファームへの転職は、大手からブティックファームへの転職と比べると、そこまで多くはないという印象です。

ブティックファームから大手ファームへ転職する場合、ブティックファームでの実績やプロジェクト経験の親和性が求められるため、転職のハードルは比較的高くなります。ただし、大手ファームではワークライフバランスの整備が進んでいるため、ブティックファームでのビジネス立ち上げに奔走してきた方から「年収を維持しつつ、ワークライフバランスを改善したい」というご相談をいただくケース等では、大手ファームをご紹介することがあります。

また、大手ファーム間の転職も当然ありますが、このケースではエージェントを介さず、リファラルで転職する方が多いという印象があります。

ポストコンサル転職を成功させるには「準備」が非常に重要

―ポストコンサル転職を成功させるために重要なことを教えてください。

とにかく「準備」に尽きるといえます。

まず必要な準備として、転職先の業界および企業について深く理解することが挙げられます。インターネット上の情報だけでなく、実際にその会社で働く人から話を直接聞いたり、転職エージェントを活用して情報を収集したりするなど、自ら情報を取りに行く姿勢が重要です。

次に、ご自身のキャリアプランを戦略的に策定することも非常に重要です。現在コンサルティングファームで働きながら、将来的に事業会社へ転職し事業推進に携わりたいのであれば、今後どのようなスキルや知見を身につける必要があるのか、そのためにどの程度の自己投資が可能なのかといった点を包括的に検討する必要があります。

さらに、マインドセットの面での準備も欠かせません。コンサルタントはプロジェクトベースで働くため、ファーム内の人間関係が希薄な方もいらっしゃいます。一方で他業界に転職する場合、通常は特定のチームで一定期間、一緒に働くことになります。そのため、チームワークの中でコンフリクトを生まない振る舞いやコミュニケーションを大切にするマインドセットが求められます。この点についても、ポストコンサル転職で異業種に移られる方には日頃からアドバイスさせていただいています。

―逆にポストコンサル転職で、陥りがちな失敗や注意点はありますか?

その仕事を自分の力でやったのか、もしくは会社のブランドや組織の力でやったのかを切り分けて説明できない方が意外と多い印象があります。転職先はやはり個人の力を見たいので、個人として何を成し遂げたのかを明確にアピールできることが重要です。

また、コミュニケーションの際に、相手に対して結論を急ぎすぎる方がいることもあります。例えば、選考の段階で「早く結果を教えてください」などと相手方を急かしてしまうケースです。しかし、企業には意思決定や検討のプロセスがあり、採用活動もその中で進められています。そこへの配慮や理解が欠けていると、非常に優秀な方であっても、転職活動がうまくいかないこともあります。

さらに、コンサルティングファームには、会社を1〜2年ほどで次々と転職される方も一定数いらっしゃいます。その場合、採用企業側から「プロジェクトを本当に完遂できているのか」と懐疑的に見られてしまうケースがあります。したがって、ある程度の期間腰を据えて取り組み、仕事をやり遂げるということも重要です。

業界によって濃淡はあるものの
ポストコンサル人材へのニーズは今後も増加傾向

―ポストコンサル転職の将来性をどうみていますか?

業界によって異なると考えています。

例えば、ファンドやVCへの転職については、今後も一定の水準で続いていくことが予想されます。

銀行、証券、信託銀行等の金融機関については、中途採用自体のニーズが非常に拡大しているため、今後もコンサルタントが転職するケースが増加すると想定しています。

IT企業に関しては、引き続きコンサルタントの採用ニーズが旺盛なため、さらに拡大していくでしょう。

一方で、それ以外の事業会社に関しては、ケースバイケースだと考えています。すでにコンサルファーム出身の方を採用し、うまくいった企業ではポストコンサル採用を増強していくことになるでしょう。しかし、仮にうまくいっていない場合は人材ニーズが変化する可能性があります。

最近、ポストコンサル人材の中で特にニーズが強くなってきていると感じるのは、ESGコンサルタントの方々です。金融機関や事業会社におけるESG推進のポジションは、今後爆発的に増加していくと予想しています。

―最後にポストコンサル転職を考えている方にメッセージをお願いします。

弊社では、「転職をして終わり」というサポートは一切行っておりません。 候補者様お一人おひとりに合った中長期のキャリアプランを描き、それを踏まえて最も理想的な転職先を一緒に探すというサポートをご提供しております。

我々は、コンサルタントを始めとするハイクラス層の方の転職は、オートクチュールのような、一人ひとりの方に適したアプローチであるべきだと考えています。そのため、中長期的にお付き合いさせていただくことを重視しており、その方に合った最善の転職活動を実現したいと考えています。また、中長期にわたって定期的にコミュニケーションを取らせていただくことで、その方におすすめのポジション(求人)が出てきたタイミングで、タイムリーにお知らせすることも可能です。求人にはタイミングがあり、ご相談いただいた時点では適したポジションがなくても、半年後には見つかるケースも多くあります。

もし現在在籍する会社や業務内容に少しでも不安を感じたら、まずは我々のようなエージェントにご相談いただくことをおすすめします。弊社は「今すぐの転職」でなくても、喜んでご相談に乗りますので、我々が持つ転職市場に関する知見を活用して、ぜひ一緒に解決策を探れればと考えています。

タイグロンパートナーズ株式会社

2007年創業のコンサルティング・金融・事業会社のハイクラス・プロフェッショナルおよびCxO・経営人材・社外取締役の求人を主に扱う転職エージェント。「Most Respected and Trusted Adviser」(最も尊敬され、信頼されるアドバイザー)を企業理念とし、各業界に関する豊富な知見と人的ネットワークを持つコンサルタントが多数在籍。

採用企業との強いパイプを活かし、年収1000万円以上のハイクラス、プロフェッショナル求人が多数を占める。一般公開されていないExclusiveなポジションも独自ルートで入手しており、他のエージェントとは一線を画した転職支援を行う。
エグゼクティブサーチの世界的アライアンスであるInterSearchのメンバーファームとしてクロスボーダー求人案件も扱う。InterSearchは1989年に設立され、50カ国、90拠点以上のネットワークを展開。豊富な実績、高い評判を有する人材紹介会社が各国で1社のみ選ばれる。

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