【ポストコンサル転職インタビュー】元コンサルタントが語るPEファンドの魅力

ポストコンサルインタビュー

大手総合コンサルティングファームでマネージャーを経験した後、プライベートエクイティファンドに転職したシニアディレクターの方へのインタビューです。PEファンドの魅力や転職の苦労、コンサルとの違いなどについて語っていただきました。

Interviewee Profile

大手総合コンサルティングファームにて、マネージャーとして組織再編や経営管理高度化など、主にファイナンス領域で多数のプロジェクトを牽引。その後、プライベートエクイティファンドに転じ、バイアウト投資におけるソーシングからエグゼキューション、バリューアップ、ファンド組成まで、幅広い業務に従事。現在はシニアディレクターとして、新たなファンドの立ち上げや投資先企業の成長戦略立案・課題解決に注力している。

大手コンサルティングファームからPEファンドに転職。
「戦略を実行して成果を生む経験」を積めるのがコンサルとの違い

―簡単にご経歴を教えてください。

学生時代に公認会計士資格を取得し、大学院卒業後に大手監査法人に入社しました。監査法人では、主にIPO関連の業務に従事し、IPO監査を行う中でコンサルティング的な仕事にも携わりました。しかし、自分の提案がクライアントのためになっているのかという疑問もあり、コンサルティングの型を学びたいと思うようになりました。

そこで、大手総合コンサルティングファームに転職し、大手企業の上場や事業分離に伴う組織再編、経営戦略策定や経営管理などの支援に携わりました。マネージャーとして様々なプロジェクトを経験する中で、コンサルティングの本質を徐々に理解できました。

一方で、「クライアントにより近い立場で働きたい」「エクイティに関わる仕事がしたい」という思いが徐々に芽生えてきたため、プライベートエクイティファンドへの転職を考えるようになりました。

当時すでに30代半ばであったことから、業界未経験での転職は容易ではありませんでしたが、1年ほどの転職活動を経て、現在の職場と出会いました。現職のPEファンドバイアウト部門では5年以上働いており、現在はシニアディレクターとしてファンド組成、ソーシング、エグゼキューション、バリューアップなど、幅広い業務に携わっています。

―現在の仕事内容を具体的に教えてください。

非常に幅広い業務に携わっています。投資実行はもちろんのこと、投資先企業の役員を数年間務め、既存事業の立て直しや新規事業の立ち上げに尽力した経験もあります。この投資先はもともとオーナー企業であったため、内部管理体制の構築など、地道な業務にも多く取り組みました。その結果、現在は順調に成長しています。

また、新規ファンドの立ち上げにも主担当として取り組んでおり、数十億円規模のファンド組成や資金調達、ソーシングから投資実行までをリードしています。

―ポストコンサルでPEファンドに転職して良かった面はありますか?

私自身、コンサルタントとして働いた経験から、その意義と価値は十分に理解しています。しかし、最終的にはクライアントの実行力に依存せざるを得ないという側面があるのも事実です。コンサルタントとして戦略の立案までは関われるものの、実際の実行フェーズまで深く関与し、やり切ることは難しいと感じていました。

PEファンドでは、まさにその実行の部分に深く携わり、経験を積むことができています。戦略の重要性は言うまでもありませんが、最終的には実行を徹底し、成果を出すことが会社の利益につながります。その一連のプロセスを実際に経験できたことが、PEファンドに転職して良かった点だと考えています。

―コンサルティングファームからPEファンドに転職して、プライベートの面で変化はありましたか?

組織によって状況は異なりますが、PEファンドでは比較的、個人の働き方に応じて柔軟に働ける面があると思います。数年間投資先に常駐してハンズオン支援をしていた時期は、朝8時から夜11時頃まで毎日働き続けていました。日中はミーティングで時間が全て埋まってしまうため、夜ホテルに帰ってからようやく自分の仕事が始まるという状況でした。そのようなハードな働き方もある一方で、子供との時間などを大切にしながら働くメンバーもいます。

当然ファンドによって状況は変わりますが、忙しい時期もある反面、バランスを取りながら自分で働き方を調整できるのは、PEファンドの良い点の1つだと考えています。

苦労しながらも、PEファンドで感じた企業経営の“やりがい”。
合理性だけでは測れない、人と人との繋がりの重要性

―コンサルティングファームからPEファンドに転職して、苦労したことはありますか?

コンサルティングファーム時代は、主に経営管理・内部統制の体制構築などの財務系プロジェクトや、そこから派生した戦略系プロジェクトを中心に経験していました。一方で、ファンドではそれとは大きく異なるスキルセットが求められます。

もちろんコンサルティングと同様に、企業を深く理解し、戦略を立案していくという基本的な部分はありますが、そもそも案件を獲得しなければ始まらないため、営業力が非常に重要です。また、デューデリジェンスや契約書の作成、細かなリーガル面でのやり取りなど、会社の買収や譲渡を実現していくM&Aのエグゼキューションの部分は、非常に苦労した点です。

さらに、コンサルタントとして企業を支援することと、自ら経営陣の一員として決裁権限を持ち、その会社の立て直しに取り組むことは、共通点はあるものの、かなり異なる経験だと言えます。

例えば、オーナー社長の言動をどのように解釈し、従業員の方々に伝達するか、あるいは従業員の方のモチベーションが低下している際にどのようにサポートするかなど、より複雑な人間関係の調整が求められます。こうした動きはコンサルタント時代にはあまり要求されないものであり、私も正直苦労した部分です。しかし、その苦労を乗り越えながら、多くを学ぶことができたと感じています。

―PEファンドの仕事ではどのようなやりがいを感じていますか?

まず1つは、自分が立ち上げた新規事業が、その会社の業績に大きく貢献していることです。ゼロからスタートした事業が、今では売上全体の2割から3割を占めるまでに成長し、今後もさらなる拡大が見込まれています。実際に1つの事業を作り上げることができたのは、自分にとって非常に良い経験になったと思っています。

また、投資先の従業員の方々との関わりも大きなやりがいの1つです。従業員の方々と面談する際に、「辞めたい」「辛い」というお話を聞くこともあります。しかし、そういった方々と対話を重ね、今も会社に残っていただいて共に頑張ることができているのは、とてもありがたいことだと感じています。

さらに、投資先の社長からは、「あなたの支援がなければここまで来れなかった」という感謝の言葉をいただいたこともあります。

もちろん、ファンドとしてリターンを得ることは重要ですが、こうした経験は金銭的な価値だけでは測れない、大きなやりがいを感じられる部分です。

―コンサルティングと比較すると、より人と人との繋がりの面が強くなる印象を受けました。

コンサルティングでは、戦略の合理性やロジカルさに重きが置かれており、それは重要なことだと思います。しかし、ファンドでの仕事を通じて、実際の意思決定には、好き嫌いやその時の気分といった感情の要素が大きく影響してくるのだと実感しました。これは中小企業だけの話ではなく、ある程度の規模の大企業でも同じような状況があるでしょう。

―コンサルティングファームのクライアントは大手企業が中心ですが、ファンドで中小企業の経営に携わる難しさや面白さを教えてください。

大企業の場合は、説明責任が求められる世界において、どちらかというとロジカルで合理的な判断がされやすい傾向にあります。一方で、中小企業はオーナー企業が多いため、オーナーの納得を得ることが重要なポイントになることが少なくありません。

また、中小企業の場合、特定の人材が退職してしまうと本当に業務が成り立たなくなるリスクを抱えながら、会社経営を行っています。その困難さは、実際に経営に携わってみて初めて実感できるものです。 

しかし、その一方で人と人との密接な関係性を築くことができるという側面もあります。単なる金銭的な話だけではなく、従業員の方々も会社への想いを持って日々の仕事に取り組んでいます。それでも、辛い状況の時は退職を選択せざるを得ないこともあるでしょう。そのような事態を未然に察知し、適切なサポートを提供するには、合理性だけでは測れない人と人との繋がりが不可欠です。そこに中小企業経営ならではの醍醐味があるのかもしれません。

諦めずにチャレンジし続け、30代未経験でPEファンドへ転職

―PEファンドへの転職では苦労されたとのことですが、どのように転職活動を進めましたか?

PEファンドへの転職活動では、まず下調べをするというよりは、ご縁があるかどうかを確認することから始めました。転職サイトに登録する際、PEファンドに興味があるという点を明記し、アプローチをいただいたエージェントの方々と個別に面談を行いました。しかし、それだけでは十分な転職機会を得られない可能性があったため、PEファンドの案件を持っているエージェントの方に自ら積極的にアプローチすることも並行して行いました。

転職が実現するまでに約1年を要しましたが、一度決めたことはやり遂げるという信念のもと、粘り強く様々な機会を探り続けました。その結果、現在のファンドに入社することができました。

―転職活動において特に苦労した点を教えてください。

一般的にPEファンドは、投資銀行やFAS、監査法人などの出身者が20代後半で転職し、キャリアアップしていく業界だと言われています。しかし、当時私はそのことを知らず、「給与が下がっても構わない、下積みの仕事でも何でもやる」という覚悟で選考に臨みました。ところが、“30代半ばで業界未経験”というバックグラウンドが大きなハードルとなることを痛感させられました。

―最終的にはPEファンド転職に成功できたのはなぜでしょうか?

転職活動を進める中で、自分なりにファンドの状況や求められている経験・スキルについて理解を深められたことが大きいと思います。また、自身の経験やスキルをしっかりと整理し、明確に伝えられるようになったことも重要なポイントだったと考えています。そして何よりも、諦めずに粘り強く挑戦し続けたことが、最終的にPEファンドへの転職を実現できた要因だったのではないかと振り返っています。

―コンサル出身者がファンドへ転職する場合、モデリングテストがハードルになることも多いと聞きます。

監査法人やコンサルティングファームで事業の収益モデルを作成した経験は一定程度ありましたが、PEファンドで求められるLBOモデルなどは自信が持てなかったため、書籍や通信講座を活用して独学で学習を進めていました。 

―PEファンド転職でエージェントを活用して良かったですか?

エージェントを活用して良かったと思っています。コンサルティングの仕事をしながらの転職活動では、時間的にも制約がある中で、エージェントの方々から案件の詳細な情報や各ファンドの意思決定のフロー、面談の回数など、具体的な情報を提供していただけたことは非常に助かりました。また、選考後のフィードバックなども的確にいただけたことで、次の選考に向けて準備を進めることができました。自分一人では得られなかったであろう貴重な情報やサポートを受けられたのは非常にありがたかったです。

ポストコンサルキャリアの鍵は、自分の情熱を見極めること

―コンサルティングファーム時代からキャリアを意識して行っていたことはありますか?

自らの経験値を高めることが、結果的に社会貢献につながるのではないかと常に考えてきました。 この考えに基づき、キャリアの中では常に所属組織の上位層に入ることを目指し、着実にステップアップを重ねることを大切にしてきました。

組織の上位3割に入る存在になれれば、おのずと次のステージが見えてきます。次のステージに進み、そこでもまた上位3割に入ることができれば、さらに上のステージに挑戦するチャンスを得られ、経験値を高めていくことができます。こうした考え方のもと、私は日々努力を重ねてきました。

―今後のキャリアについてはどのように考えていますか?

現在の仕事には非常に満足しているため、今後のキャリアについては考えている最中です。ありがたいことに、監査法人やコンサルティングファーム時代の上司や同僚からお声がけいただくことも多く、コンサルティング業界に戻るという選択肢はあるのかもしれません。一方で、事業会社のCFOやCOOを目指す方向性もあるでしょう。

―最後に現役のコンサルタントの方に、ポストコンサルキャリアに関するアドバイスやメッセージをいただけますか?

ポストコンサルのキャリアを考える上で、「自分自身が強い想いを持てることは何か」をしっかりと見極めることが重要だと考えています。 私の場合、自己成長と社会貢献という自分にとって大切な軸を起点に、PEファンドへの転職を目指しました。自分の強い想いに根ざした目標だったからこそ、選考で幾度となく挫折を味わっても、決してあきらめることなく挑戦を続けられました。自分が心から情熱を注げる先を、しっかりと見定めることが重要だと感じています。

また、根拠のない自信を持つことも重要です。「自分を選ばないなんてもったいない」と思えるくらいの自信があれば、困難に直面してもあきらめずに挑戦し続けられるでしょう。 もちろん、将来のことも見据える必要があり、どこまで挑戦を続けるのか、また失敗に備えてプランBも準備しておくべきです。それでも、まずはプランAの実現に向けて全力で取り組む覚悟と、明確な目標設定が非常に重要だと考えています。