教職志望からITコンサル、そして教育系スタートアップへ-若手のポストコンサルキャリア

教職志望からITコンサル、そして教育系スタートアップへ-若手のポストコンサルキャリア

「一人の先生として教壇に立つ」のではなく、「仕組みで教育を変える」。そんな想いを胸に、教職志望から民間のITコンサルへ進み、現在は教育系スタートアップで事業成長に向き合う。原点である“教育”への関心を軸に、裁量とスピード感を求めながらキャリアを築いてきた若手ビジネスパーソンが、意思決定の裏側と今後の展望を語る。

目次

教職志望から一転ITコンサルへ。価値観の変化と選択の理由

もともとは学校の先生を志しており、大学では教員免許を取得しました。ただ、新卒では教職の道には進まず、新興系のコンサルティングファームに入社し、約2年間コンサルタントとして働きました。現在は教育系スタートアップ企業で働いています。

はい。小学校や中学校の頃に出会った、憧れの先生がいまして。その先生のようになりたいと思ったのが、教職を志すきっかけでした。特に小学校時代に出会った先生の存在が大きくて、自分も小学校の先生になりたいな、と自然と思うようになったんです。

はい、学生時代は教職を目指して教員免許も取得しました。ただ、学びを深めていく中で、次第に「よりよい教育環境をつくる側になりたい」という想いが強くなっていきました。

もちろん、学校の先生として一人ひとりの子どもに向き合うことも素晴らしい仕事だと思っていました。ただ一方で、もっと広い視点で、例えば日本中、あるいは世界中の子どもたちにより良い教育を届けられるような仕組みづくりや環境整備にも関わってみたいと思うようになったんです。

そうした想いから、教職だけでなく、より幅広く教育に関われる選択肢を探したいと考えるようになり、民間企業への就職活動を始めました。

はい、就職活動を始めた当初は大きく2つの業界に関心を持っていました。ひとつはコンサルティング業界、もうひとつは教育事業を手がける企業です。

その背景には、自分の中で「自己成長」と「将来的に教育にどう関わるか」という2つの軸がありました。まず自己成長という面では、コンサルティング業界のスピード感のある環境で、論理的思考力やコミュニケーション力といったビジネスの基礎を鍛えたいという思いがありました。

一方で、教育事業を見る中で強く感じたのが、ITやシステムの整備がまだまだ進んでいないという課題です。将来的に教育に関わるなら、こうした業界課題を解決するための視点や知識も必要だと思い、教育領域でもITに力を入れている企業に注目するようになりました。

そういった経緯で、最終的にはITに強みを持つコンサルティングファームに進むという選択に至りました。

ITコンサルで経験した裁量とスピード感のある環境

大きく2つの理由があります。ひとつは、会社として成長しているフェーズだったことです。急成長している組織の中で、自分自身もその勢いに乗って成長できる環境に身を置きたいという想いがありました。会社の変化や成長のプロセスに近い距離で関われるという点に、強く魅力を感じました。

もうひとつは、柔軟性と裁量の大きさです。大手のコンサルティングファームも見ていたのですが、キャリアの進み方や関わる案件がある程度決まっていて、良くも悪くも将来のストーリーが見えやすいと感じました。一方で前職では、まだ組織としての形が固まりきっていない分、自分の意思や希望を伝える余地があり、実際に「こういう案件に挑戦したい」と発信することで、希望に沿ったアサインも実現できました。

そうした「自分の動き方次第で成長やキャリアが大きく変わる環境」に惹かれたことが、入社を決めた大きな理由でした。

印象に残っているプロジェクトは大きく2つあります。

1つ目は、OJTの期間中に携わった金融機関(保険会社)向けのBPR案件です。全社的な業務改革の一環として、まずはシステム開発部門に対するBPRから着手したプロジェクトでした。クライアント側の副社長とも直接やり取りをしながら、施策立案からPoC(概念実証)の実行まで、かなり上流のフェーズから関わらせていただきました。

また、このプロジェクトではパートナーと近い距離で動いていたこともあり、経営層とのコミュニケーションや意思決定のプロセスに間近で触れることができたのも、とても貴重な経験でした。

2つ目は、お客様の新規事業に関わるプロジェクトです。市場調査や競合分析といった基礎的なリサーチから始まり、ビジネスモデルやコンセプト設計の初期段階を支援する内容でした。新規事業というテーマ自体が稀有で、通常の業務改善とは異なる創造的な視点や柔軟な思考が求められた点が印象に残っています。個人的にも非常にやりがいを感じたプロジェクトでした。

年収ダウンを受け入れてでも叶えたキャリアの方向転換

はい、大きくは2つの理由があります。

1つ目は、より自分自身の成長を実感できる環境に身を置きたいという思いが強くなったことです。前職では案件の一部に関わることが多かったのですが、次第に「自分で案件を動かしてみたい」「もっと上流工程に携わってみたい」といった欲求が芽生えてきました。

2つ目は、やはり教育に対する想いがずっと自分の中にあったことです。実際の教育現場や、よりユーザー(顧客)に近いところでは何が起きているのかを、自分の目で見てみたいという気持ちが強くなっていきました。コンサルの仕事にやりがいは感じていましたが、少しずつ「このままでいいのかな」という迷いや不安も出てきて……。それが転職を意識するきっかけになりました。

はい、最初のきっかけは、学生時代にインターンとして関わったことでした。その経験を通じて会社の雰囲気や考え方に共感し、転職活動を始めた際にも自然と選択肢のひとつとして浮かんできました。

一方で、上流のテーマに関わるという観点から、実はコンサルティングファームもいくつか見ていました。特に、小規模ながら戦略寄りの案件を扱うようなコンサルティングファームにも関心を持っていました。

大きくは2つあります。1つ目は、自分自身がより主体的に案件を動かしていける環境があるという点です。今はカスタマーサクセスの部署にいますが、一人ひとりの裁量が大きく、実務を通じて成長できる実感があることに魅力を感じました。

2つ目は、原点でもある「教育」にもう一度向き合いたいという想いです。これまで間接的に関わってきた教育というテーマに対して、より現場に近い立場で携わってみたいという気持ちが強くなり、それが今の会社を選ぶ大きな決め手になりました。

はい、実際に年収はコンサル時代よりも100万円ほど下がりました。新卒2〜3年目としては、当時それなりに高い水準をいただいていたので、落差はありましたが、それでも迷いはありませんでした。

自分にとっては、教育事業に関わるということ自体に、それ以上の価値を感じていたので、納得感を持って決断できたと思っています。

即決というよりは、正直かなり悩みましたね。自分の中では納得のいく決断をしたかったので、慎重に考えました。

実際にしっかり悩んだ期間としては、1〜2ヶ月ほどでしょうか。転職活動全体でいうと、エージェントとの面談や情報収集、書類選考なども含めて、最終的な決断に至るまでおよそ3ヶ月ほどかかりました。

コンサル経験は事業会社でどう活きるのか?

はい。現在はカスタマーサクセスチームに所属しており、その中でも中堅〜大手企業のお客様を担当しています。

私たちの会社が提供しているSaaSサービスの導入支援から、運用・保守のサポートまでを担当しておりまして、必要に応じて一部開発のサポートに入ることもあります。

営業フェーズについては、基本的に別の部署(プリセールスやフィールドセールス)が担当していますが、重要な案件や今後の広がりが期待されるような場合は、営業段階から私たちが関わることもあります。

開発支援といっても、実際にコーディングなどを行うわけではありません。私たちはお客様からのフィードバックをもとに要求を整理し、それを社内のPM(プロジェクトマネージャー)部門に引き継ぎます。そのPM部門が改めて要件定義や開発の進行を担うという形です。
つまり、私たちはお客様の声をしっかり拾い上げ、開発チームが動きやすくなるような橋渡しの役割を担っているイメージですね。

はい、大きく2つあると感じています。

1つ目は、ヒアリングやコミュニケーションの部分です。お客様の声をどう丁寧に拾い上げて、どう整理するかというのは、コンサル時代にBPR(業務改革)のプロジェクトなどで、現場の方々へのヒアリングを重ねていた経験がそのまま活きていると思います。

2つ目は、情報の「見せ方」や「伝え方」です。コンサル時代には、パワーポイントで資料を作成して経営層に説明する機会も多くありました。現在も中規模のお客様であれば、社長や経営層の方に直接説明することもあります。その際、論理的に構成された資料を用い、相手の立場を踏まえて伝えることが求められるので、当時培ったプレゼンテーションスキルや思考力が役立っていますね。

はい、何名か在籍しています。戦略系のコンサルティングファームや、ITコンサル、あとはブティック系のファームなどから来ている方がいますね。

はい、大きく2つの点でギャップを感じました。

1つ目は、提案の幅についてです。コンサル時代は、クライアントにとって最適な選択肢を中立的な立場で提案できましたが、現在は自社プロダクトが前提となるため、「本来は他のサービスの方が適しているのでは」と感じる場面もあります。その中で、自社サービスの特性を踏まえつつ、どう価値を最大化するかを考える必要があり、最初はそのバランス感覚に苦労しました。ただ、自社のプロダクトに責任を持ち、長期的に関われる点にはやりがいも感じています。

2つ目は、コミュニケーションのスタイルの違いです。コンサル時代も、信頼関係の構築や相手の立場に配慮した対話は重要でしたが、論理的な説明や資料で大手企業の意思決定をサポートすることが多く、「何を伝えるか」が重視される傾向がありました。一方で現在は、エンドユーザーが塾や学校の先生など現場に近い方々であり、「どう伝えるか」や「人としての信頼感」「感情的な共感」も、より直接的に求められると感じます。相手に寄り添った伝え方や、丁寧な対話の積み重ねが必要で、そこは今でも試行錯誤を重ねている部分です。

そうですね。やはり一番やりがいを感じるのは、お客様から「導入してよかった」「工数やコストが大きく削減できた」「サポートしてもらえて助かりました」といった言葉をいただけたときです。

そういった反応は、プロダクトを提供している事業会社だからこそ、よりダイレクトに感じられる部分だと思いますし、大きなモチベーションになります。

また、もともと教育現場や子どもたちの学習環境に関心があったこともあり、実際にその領域に貢献できている実感が持てるのも、個人的には非常にやりがいにつながっています。

教育×ビジネスの接点でどう価値を生み出すか

そうですね…正直なところ、まだ明確な方向性が定まっているわけではなく、模索中というのが正直なところです。

理想を言えば、現在関わっているような教育業界など、資金的に余裕がない領域においても、もっと気軽にコンサルティングを受けられるような仕組みがあればいいなと感じています。そういった業界に対して、何かしらの形で支援ができる環境に身を置けたら、という思いはあります。

ただ現実的には、こうした業界にコンサルが関わるのは金銭的なハードルも高く、なかなか難しいのも事実です。スポットコンサルのように単価を抑えた形での支援の道もあるとは思いますが、ビジネスとして継続していくのは簡単ではありません。

また、転職を経験して改めて感じたのは、自分の生活や今後のライフステージを見据える上で、経済的な安定もやはり大切だということです。
最終的には、「自分自身と、自分の手の届く範囲の人たちが、心身ともに豊かに、幸せに生きていくこと」が人生の軸にあると思っています。その上で、どんなキャリアを築いていくかは、今後も引き続き考えていきたいです。

そういった想いとも関係して、「コンサルに戻る」という選択肢も視野には入っていますね。

そうですね。やはり一番大きいのは「やりがい」だと思います。

自分自身がもともと関心のあった領域に関われているという点も大きいですが、仮にそうでなかったとしても、「このサービスを通じて誰かの役に立つ」「会社としてこの事業を広げていく」といった営みに加わること自体に、大きな達成感や喜びを感じています。これは、コンサル時代よりも強く実感できている部分かもしれません。

自分にとって関心のあるテーマや社会課題があるのであれば、そこに思い切って飛び込むことで、コンサルとはまた違ったかたちで「世の中を良くする」取り組みに関わることができると思います。

もちろん、またコンサルに戻る可能性も自分の中にはありますが、事業会社での経験も「夢の実現」につながる一つの選択肢として、非常に価値のあるものだと感じています。

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