【フリーコンサル インタビュー(30代男性)】大手ファームのマネージャーからフリーコンサルへ転身

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マネージャーからフリーコンサルへ転身

大手コンサルティングファームのマネージャーからフリーランスコンサルタントへ転身した30代男性に、独立の理由や仕事のスタイル、メリット・デメリット等についてお話を聞きました。事業会社とのマッチングサイトやエージェント経由で案件を獲得し、常時4~5件のプロジェクトに参画。ワークライフバランスを改善しつつ収入を2倍にすることに成功しています。フリーランスを目指す方へのアドバイスも伺いました。

Interviewee Profile

新卒で大手金融機関に就職。その後、大手コンサルティングファームの戦略部門に転職し、主に新規事業関連のプロジェクトに従事。マネージャーとして多数の案件でプロジェクトマネージャーを務める。加えて、所属部門の採用や育成もリード。その後、フリーランスコンサルタントとして独立し、これまでに20件以上のプロジェクトに参画。

目次

自らの意思で案件を選び、
社内業務ではなく、クライアントのために時間を使いたい

―簡単にご経歴を教えてください。

新卒で大手金融機関に入社し数年のキャリアを積んだ後に、大手コンサルティングファームの戦略部門に転職しました。コンサルティングファームでは主に新規事業関連のプロジェクトに従事し、役職としてはマネージャーまで経験しました。その後、フリーランスコンサルタントとして独立し、現在までに20件以上のプロジェクトに参画しています。

―フリーランスとして独立したきっかけを教えていただけますか?

フリーランスとして独立した理由は大きく3つあります。

1つ目は、ファーム時代に個人的には不要と感じるような社内業務に時間を取られており、その時間をクライアントへのサービスのために使いたいと考えていたことです。

2つ目は、案件のテーマや領域を自分で選べる点に魅力を感じたからです。ファーム時代も基本的に「新規事業」という自身の専門性に合った案件を受けていましたが、必ずしもすべてがそのような案件とは限りません。部門の稼働率の関係上、自分の専門性とは異なる案件を取りに行くこともありました。

また、新規事業プロジェクトであっても、クライアントが予算消化のために発注する案件では、「コンサルに投げて終わり」といったケースもあり、本気のクライアントと一緒に取り組めるようなプロジェクトを自分の意思で選びたいと感じていました。

3つ目は、やはり時間的・経済的な面でのメリットを感じたからです。

常時4~5件のプロジェクトに参画

―フリーランスコンサルタントとして独立してからはどのような案件に参画していますか?

独立後も基本的には新規事業関連の案件に参画しています。 プロジェクトにおける役割は、稼働率によって異なります。例えば、稼働率が50%〜60%の案件であれば、プロジェクトの進め方の設計やファシリテーション、資料作成、インタビュー等の一般的なコンサルティング業務を行います。

一方で、稼働率が10%〜25%等の案件では、リサーチや資料作成等は行わず、基本的には会議のファシリテーションのみを行い、プロジェクトを推進します。資料を作成する場合でも、討議資料を数枚作成する程度です。

さらに、1週間で1時間のみ関与するような案件もあります。このような案件では、主に会議の場でクライアントのお話を伺いながら、その場で議論を整理したり、進め方をアドバイスしたりするなど、ディスカッションパートナーとして価値を提供します。

―常に複数の案件に関与しているのでしょうか?

常に4〜5件程度の案件に参画しています。50%程度の稼働率の案件を1つと、10%程度の稼働率の案件を複数抱えています。

―他のフリーコンサルの方と一緒にプロジェクトを回すのでしょうか?

私の場合は、他のフリーコンサルの方と一緒に案件を進めた経験はありません。私とクライアント側のプロジェクトメンバーとで、プロジェクトを進めていきます。

―基本的に事業会社直下で案件に入るのでしょうか?

事業会社直下の案件が多いです。過去にコンサルティングファームの下に入る案件も経験しましたが、私の場合は、クライアントと直接コミュニケーションを取りやすい事業会社直下の方が合っていました。ファームアンダーの場合、たとえマネージャーポジションで参画したとしても、クライアントと話をする際にファーム側のプロジェクトマネージャーを一度通さないといけないケースもあるためです。

事業会社直とエージェント経由の両方で、案件を獲得

―稼働率の低い案件は人気ですが、どのように案件を獲得していますか?

案件については2つの経路で獲得しています。

1つは、フリーランスコンサルタントと事業会社を直接マッチングするプラットフォームです。そこで直接案件に応募しています。 最初は50%程度の稼働率で新規事業の検討や事業計画の作成を支援するのですが、そのフェーズが一旦終わった後にクライアントから『まだ居てほしい』と言われることがあります。 その場合は、稼働率を10%程度に下げて継続していくことが多いので、複数の低稼働案件を受けられています。

もう1つの案件獲得ルートとして、案件仲介エージェントも活用しています。最初に20〜30社程度のエージェントに登録し、そこから自分に合った案件を紹介してくれるところを見つけていきました。現在では、やり取りがあるエージェントは大体10社程度で、紹介いただいた案件に実際に参画したところは5社程度です。

これら2つのパターンで案件を探しており、独立当初から順調に案件に入ることができました。

―複数の低稼働案件に参画されている理由を教えてください。

もちろん収入面のメリットもありますが、性格的に1つのプロジェクトだけをやるよりも、複数の案件に関与し、色々な方と関わりながら仕事をする方が性に合っています。また、リスクヘッジの意味合いもあります。100%の案件1つだけの場合、その案件が急に止まってしまった時に、収入が無くなるリスクがあります。そのため、リスクヘッジを意識したポートフォリオとして、複数の案件を受けるようにしています。

―フリーコンサルの方の中には、複数案件を受けることを大変に感じる方もいます。

ファームアンダーで案件に入ると、ファーム側から資料の細かい点まで色々と指摘が入るので、稼働率以上に負担を感じることがあるかもしれません。一方で、事業会社直下のプロジェクトであれば、価値さえ出ていれば稼働率はあまり関係ありません。稼働率が40%の案件であっても20%程度で対応できることもありますし、逆に80%稼働するタイミングもあります。

いずれにしても、クライアントに対してしっかりと価値を提供できていれば、稼働率をうまくコントロールすることは可能で、複数案件を回すことができます。

―案件紹介プラットフォームやエージェントには独立前から登録しましたか?

独立前に5社程度登録し、単価感などを確認しました。その結果、経済的にも問題なさそうだと判断できたため、独立しました。

独立後はより本質的に価値があることに集中

―独立後、仕事のやり方やマインドセットの面でファーム時代と変わったことはありますか?

独立後は、無駄なことをしないことをより意識しています。独立すると、自分の下に優秀なメンバーがいるわけではないので、過度な資料作成などに時間を使っていると絶対に間に合いません。そのため、独立後はより本質的なことにフォーカスして時間を使うようにしています。仮にクライアントから何かオーダーがあったとしても、それが本当に必要なことなのかを最初にディスカッションするようにしています。

―独立後、スキルアップを感じることはありますか?

唯一あるとすると、メンバーマネジメントやモチベーション管理のスキルです。独立後は基本的にクライアントの若手の方をメンバーとしてアサインいただくケースが多いです。ファーム時代のメンバーとは経験やモチベーションも当然異なるため、うまく仕事の進め方やモチベーションをマネジメントしていく必要があります。そういった意味で、メンバーマネジメントやモチベーション管理のスキルは向上したと感じることがあります。

―独立後、大変だったことはありますか?

コンサルファームアンダーで案件に入った時に、ファーム側のプロジェクトマネージャーの方とプロジェクトの進め方で考えが合わず、悩みました。私としては紙の美しさではなく、もっとクライアントにとっての価値を意識してプロジェクトを進めたかったのですが、立場上自分の考えを押し殺さなければならないことがありました。この時は精神的にもモチベーション的にも辛さを感じました。

ワークライフバランスを改善しつつ
収入は2倍に

―収入面はどのように変わりましたか?

働いている時間は半分くらいになりましたが、収入は2倍程度になりました。月額報酬の単価感でいうと、100%稼働換算で160〜170万円程度の案件が多いです。

―ワークライフバランスが改善したということですが、具体的に生活はどう変わりましたか?

ファーム時代は仕事しかしていませんでした。案件のデリバリーはもちろんのこと、新規の提案をどう進めるか、既存案件をどう継続してもらうか、自分のプロモーションをどう実現するか、自分についてきてくれる若手のプロモーションをどう実現するか等、基本的には仕事のことしか考えていなかったです。

しかし、フリーランスとして独立してからは、平日に2人の子供の勉強を見たり、週末に社会人サークルでテニスをしたりと、人間らしい生活にシフトできました。

―他に独立のメリットはありますか?

クライアントの量や幅が広がったことがメリットと感じます。 常に4件程度の案件に参画しており、各案件でクライアント先の4〜5名程度の方と知り合うことができるため、個人としてのネットワークが広がりました。様々なクライアントの方とお付き合いが生まれ、会食などに呼んでいただけるのは嬉しいですね。

また、クライアントの幅も広がりました。ファーム時代は基本的に超大手企業ばかりがクライアントでしたが、独立後は数人のスタートアップや中小企業をご支援することもあります。この経験も自分にとって学びが多く、非常に良かったと感じています。

―一方でデメリットを感じることはありますか?

私は性格上特に問題ないのですが、やはり常に1人なんですよね。もちろんクライアントとは仲良くなりますが、基本的には毎日自分の家で1人で仕事をしています。そのため、社内でのコミュニケーションを大事にされている方、同僚や上司との関わりがリフレッシュになっている方にとってはデメリットかもしれません。

あとは体調が悪くなった時に、同僚の方に代わりにタスクを進めておいてもらうといったことはできません。そのため、日ごろから体調管理に気をつける必要があります。

フリーランスは自ら考えて行動できる方に向いている

―今後のキャリアについてはどう考えていますか?

最初はコンサル以外の事業で起業することも考えていましたが、現在はフリーランスコンサルタントに専念しようと考えています。ただ、将来的にいつまでこの仕事を続けられるかという問題はあります。例えば案件によっては「45歳まで」等と年齢制限を募集要件に入れていることもあります。そのため、今後はまたコンサル以外の事業で起業することを考えるかもしれません。

―今後フリーコンサルとして独立することを考えている方に向けて、アドバイスはありますか?

独立するかしないかの判断をするためにも、フリーランスコンサルタントに関する情報をしっかりと自分で集めることをおすすめします。エージェントに登録すれば電話がかかってきて、無料で様々な情報を聞くこともできるので、まずはエージェントと話してみるのが良いと思います。

また、エージェントごとにどの領域の案件に強いか等の特徴があるので、複数のエージェントに登録した方がよいでしょう。加えて、複数のエージェントと話をしている中で、自分がフリーランスコンサルタントとして独立することで何を得たいのかが、徐々に整理され、明確になります。そういった意味で、エージェントと話をすることはおすすめです。


―独立する際に、ファームで達しておくべきタイトルや経験年数はありますか?

特にありません。私自身はマネージャータイトルを経験してから独立していますが、コンサルタントやシニアコンサルタントから独立した方も、自分の領域で仕事を取れているようです。

逆にパートナーやシニアマネージャーのような突き抜けた人の方が合わないことがあるかもしれません。というのも、フリーランスとして独立すると、プライドを捨てないといけない場面もあります。私も参加した会議で『議事録書いといて』みたいなことを言われたことがあります。そういった扱いを受けたとしても柔軟に対応する心持ちが重要だったりします。

あとは、フリーランスとして独立するとすべて自分で決める必要があるので、自分で考えて切り開いていける人の方が向いているとは思います。ファームでマネージャーをやっている方からフリーランスについて相談を受けることもありますが、やはり人に相談する前に自分で動いて、情報収集できるような方の方が向いているのではないでしょうか。

―貴重なお話をありがとうございました!

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