【フリーランスコンサルタント向け】独自ドメインのメールアドレス取得方法を徹底解説
フリーランスコンサルタントとして独立を検討している方や独立の準備を進めている方の中には、仕事で使うメールアドレスをどうするか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
結論から申し上げると、信頼性等の観点からフリーランスコンサルタントはプライベートのメールアドレスとは別に、独自ドメインのメールアドレスを仕事用に用意した方がよいといえます。
本記事では、独自ドメインのメールアドレスを利用するメリットや取得方法について詳細に解説します。ドメイン取得やメールサーバーの設定などをしたことが無い人でも分かるように詳細に解説しますので、是非参考にしてください。
- フリーランスコンサルタントが独自ドメインのメールアドレスを使うべき理由が分かる
- 独自ドメインのメールアドレスの作り方が分かる
- 独自ドメインのメールアドレスで施すべきセキュリティ対策がわかる
仕事用にフリーメールを利用してもよい?
フリーコンサルは独自ドメインのメールアドレスを取得すべき
フリーランスコンサルタントとして独立する際、メールアドレスをどうするのか?という疑問があります。昨今はGoogleやYahoo、Outlook等で無料のフリーメールアドレスを簡単に作成できるため、業務用に1つフリーメールのアカウントをつくればいいのではないか?と考える方もいるかもしれません。
しかし、フリーランスコンサルタントは可能であれば独自ドメインのメールアドレスを取得すべきです。
独自ドメインとは、「〇〇〇.com」や「〇〇〇.co.jp」のような個人や会社専用のドメインのことです。多くの人がプライベート等で利用するフリーメール、例えばGmailの場合、多数の人が同じ「gmail.com」というドメインを共有しています。一方で、独自ドメインを取得すると、「〇〇〇.com」というドメインを利用するのは、自分や自社の従業員のみとなります。
フリーメールはクライアントがセキュリティ面に不安を感じやすい
フリーランスコンサルタントとしてクライアントとやり取りをする際に、フリーメールアドレスを利用しているとクライアントがセキュリティ面に不安を感じることがあります。
昨今、情報漏洩などのセキュリティインシデントが増加している中で、クラウド上にデータを保存するフリーメールは多くの企業で利用が禁止されています。コンサルティングファームに勤めていた際も、業務でのクラウドサービスやフリーメールの利用は禁止されていた方が多いでしょう。
コンサルタントはクライアントの重要な機密情報を取り扱うことも少なくありません。機密情報が含まれるファイルなどをフリーメールでやり取りすれば、クライアントが不安を感じるのは当然といえます。フリーランスコンサルタントとして独立後は、情報漏洩などによって損害賠償を請求された場合、全ての責任を個人として背負うことになります。自身を守るという意味でも独自ドメインのメールアドレスを取得し、セキュリティ対策をしておく方がよいでしょう。
コンサルタントによってはフリーメールを利用する方もいるかもしれません。その場合はプライベートのフリーメールとは異なるアカウントを作成しましょう。
プライベートのフリーメールは様々なサービスでID情報として利用していることも多いです。万一サービス側で情報漏洩が発生した場合、悪意のある業者などによってフリーメールアカウントにアクセスされてしまう可能性があります。その際、業務でもそのフリーメールを利用してしまっていると、クライアントの機密情報が漏洩するリスクもあります。業務でフリーメールを利用する場合は、プライベート用のアカウントとは別にアカウントを作成し、ログインの際は二段階認証を求めるなどの設定をしておきましょう。
独自ドメインなら事業としての信頼性も高まる
ビジネスでやり取りする際、やはり独自ドメインのメールアドレスの方がクライアントからの信頼性も高まるでしょう。。独自ドメインを取得し運用するには一定のコストがかかるため、フリーランスコンサルタントとしてしっかりと事業を行なっているという印象を持ってもらいやすいです。一方、フリーメールを利用している場合、「ITリテラシーが低い」などと思われてしまうリスクもあります。
フリーメールはスパムメールに振り分けられてしまう可能性も
フリーメールを利用している場合、仕事の重要な用件で連絡したメールがスパムメールに振り分けられてしまい、クライアントが気づかないこともあるかもしれません。昨今フィッシングメール等のセキュリティインシデントが増加しているため、企業によってはフリーメールから受信したメールを迷惑メールとして振り分ける設定をしていることもあります。
独自ドメインメールを利用することで心理的にも仕事モードに切り替えやすい
独自ドメインのメールアドレスを取得し、仕事用のメールをプライベートのメールと明確に分けることで、重要なビジネスメールを見落とすリスクを防げます。また、フリーランスは私生活とビジネスの切り分けが難しいと言われますが、メールアドレスを分けるだけで、心理的にも仕事モードに切り替えやすくなるでしょう。
コンサルファームのサブコン案件ではメールアドレス貸与もあり
基本的にフリーランスコンサルタントは独自ドメインのメールアドレスを取得した方がよいですが、コンサルファームからのサブコン案件に参画する際は、コンサルファームのドメインのメールアドレスを貸与してもらえることもあります。
フリーランスコンサルタントが参画するプロジェクトには「エンドクライアント直下型」と「コンサルファーム直下型(サブコン)」の2種類があります。コンサルファーム直下型の案件では、コンサルファームがエンドクライアントから受注したプロジェクトにメンバーの一員として参画するため、プロジェクト期間中はコンサルファームのメールアドレスを貸与され、そのアドレスでクライアントやプロジェクトメンバーとやり取りすることも多いです。サブコン案件を中心に参画する場合は、独自ドメインが無くてもそれほど困ることはないかもしれません。
独自ドメインのメールアドレスの取得方法
独自ドメインのメールアドレスを利用するために必要なもの
独自ドメインを利用してメールを送受信する際の仕組みは以下の図の通りです。
上記の仕組みを構築することで、独自ドメインを利用してメールの送受信が可能となります。
具体的には以下のステップで進めていきます。
メールアドレスで利用する独自ドメインを取得します。
メールを送受信するためのメールサーバーを契約します。安価なレンタルサーバーがおすすめです。
DNSサーバーに「独自ドメインとメールサーバーのIPアドレスの紐づけ情報」を登録します。
メールサーバー上で、独自ドメインを利用したメールアドレスを設定します。
メールソフト(メーラー)でメールを送受信できるようにメールサーバーと連携させます。
なりすまし等を防ぐために送信ドメイン認証の設定を行います。
1. 独自ドメインの取得
独自ドメインを取得するには、レジストラと呼ばれるドメイン取得サービスを利用します。お名前ドットコムやエックスサーバードメインなどの有名なサービスを利用すれば、簡単にドメインを取得できます。これらのサービスでは、キャンペーンなどで1個目のドメインを無料で取得できる場合もあるため、コストをかけずに独自ドメインを取得することも可能です。
ドメインとはウェブサイトやメールアドレスといった「インターネット上の住所」において主要な部分を構成するものです。
インターネット上の住所を表すものには、IPアドレスもあります。しかし、IPアドレスは最大12桁の数字の羅列であるため、人間にとって覚えにくいものです。そのため、IPアドレスに紐づいたドメインを設定することで、ヒトが認識しやすく覚えやすいものにしています。
- ドメイン名の決め方は?
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ドメインは、個人や企業が決める自由な文字列(下記のxxx)と、「.」で区切られた右側の文字列(下記のco.jp)で構成されています。
xxx.co.jp
「.」の左側の文字列は個人で自由に決められるため、個人事業主の方は屋号、法人化している方は法人名などを設定するとよいでしょう。ひらがなやカタカナ、漢字などを利用することもできますが、大半の個人や企業は「半角英数字(A~Z、0~9)・半角のハイフン」を使っています。
一方で、「.」の右側のトップレベルドメインと呼ばれる部分については、以下のようなドメインの中から選択肢します。
カテゴリ ドメイン 備考 gTLD
分野別のドメイン.com 商用を意味する .info 情報提供を意味する .net ネットワークを意味する .biz 商用を意味する ccTLD
国や地域を表したドメイン.jp 日本に住所があれば取得可能 .co.jp 日本に登記のある企業が取得可能 なお、取得料金や維持費用はドメインの種類によって異なりますが、数千円から1万円程度が一般的な相場です。ただし、「com」「net」などは最初の1つについて、レジストラが無料取得キャンペーンを行っていることもあります。一方で、「.jp」や「co.jp」は比較的値段が高い傾向があります。
ドメインを決めたら、ドメイン取得サービスで自身が取得したドメイン名を検索し、既に他の個人や企業によって利用されていないかを確認し、問題なければ取得します。
2. メールサーバーの契約
独自ドメインを取得した後は、メールサーバーを契約する必要があります。メールサーバーは、価格が安価なレンタルサーバーを契約するのが一般的です。
レンタルサーバーは、ドメイン取得サービスを提供するレジストラが提供していることも多いため、ドメイン取得時に合わせて契約することも可能です。
低価格なメールサーバーを利用したい場合は、月額100円以下で利用可能な格安サーバーを契約することもできます。ただし、格安サーバーの場合、メールの容量やセキュリティ対策などが最低限となっていることが多いため、比較サイトや口コミなどを確認して、自身のニーズに合ったサーバーを選ぶことが重要です。
3. DNSサーバーの設定
独自ドメインの取得とメールサーバーの契約が完了したら、次にDNSサーバー上で独自ドメインとメールサーバーのIPアドレスの紐づけを行います。DNS上で紐づけを行うことで、クライアント等が送信したあなた宛のメールを受信できるようになります。
DNSサーバーの設定は、独自ドメインを取得したレジストラの管理画面上から設定できます。
たとえばメールサーバーでMicrosoftのExchange Onlineを利用している場合、以下のようなMXレコードをDNSサーバーで設定します。
ホスト名 | 種別 | 内容 |
---|---|---|
xxxx-com(独自ドメイン) | MX | xxxx-com.mail.protection.outlook.com |
詳しくは独自ドメインを取得したレジストラのマニュアルおよび契約したメールサーバーの案内をみて、DNSサーバーの設定を行ってください。
MXレコードは、メールの配信先となるメールサーバーを指定するためのレコードです。ドメインとメールサーバーの紐づけを行います。
4. メールアドレスの設定
メールサーバー上で、独自ドメインを利用したメールアドレスを設定します。以下の「.」の左側の部分を決めて、メールアドレスを作成してください。
5. メールソフトとメールサーバーの連携
メールサーバーでメールアドレスを作成したら、次はパソコンにインストールされているメールソフト(メーラー)でメールを送受信できるように、メールソフトとメールサーバーを連携させます。メールソフトがインストールされていない場合は、OutlookやThunderbirdなどの人気のメールソフトを利用することをおすすめします。
メールソフトとメールサーバーを連携させるには、以下の手順を実行します:
- メールソフト上で新規アカウントの追加を選択します。
- メールサーバーで設定したメールアドレスとパスワードを入力します。
- メールソフトが自動的にメールサーバー設定を検出し、アカウントのセットアップを完了します。
アカウントのセットアップが完了すると、メールソフトからメールの送受信が可能となります。
ほとんどの場合、上記の手順で自動的にアカウントのセットアップが完了します。ただし、まれに手動でサーバー設定を行う必要がある場合もあります。その場合は、メールサーバーの提供元から必要な情報を入手して設定を行います。
6. セキュリティ設定
最後にメールアドレスを利用するために、SPFやDKIMなどのセキュリティ対策を行う必要があります。
昨今、メールアドレスを悪用して、企業や個人のパソコンをマルウェアに感染させたり、パスワードなどの重要情報を騙し取る「なりすましメール」の被害が増加しています。
- なりすましメールとは?
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実はメールを送信する際、送信元とされるFromアドレス(ヘッダーFrom)を簡単に改ざんすることが可能です。なりすましメールはこのFromアドレスを別の会社や個人の名前・メールアドレスに改ざんしてターゲットにメールを送り付けます。
そのため、近年は多くの企業において「送信ドメイン認証」と呼ばれるセキュリティ対策が講じられています。取引先であるクライアントや案件仲介エージェントが送信ドメイン認証を導入しているのに、フリーランスコンサルタント側が対応できていないと、取引先のセキュリティによってあなたが送信したメールを不審なメールとして処理し、メールを適切に送信できない可能性もあります。
「送信ドメイン認証」には大きく3種類の認証があります。すべて対応することが望ましいですが、少なくとも設定が簡単なSPFとDKIMには対応しておくことをおすすめします。
SPF(Sender Policy Framework)
SPFは、メールの送信元IPアドレスを使って、送信元の正当性を確認する技術です。
- 送信側は、自分のドメインのDNSレコードに、メール送信を許可するIPアドレスのリストを「SPFレコード」として登録します。
- 受信側は、メールを受信すると、送信元のドメインのSPFレコードを確認します。
- 受信したメールの送信元IPアドレスが、SPFレコードに登録されたIPアドレスと一致すれば、そのメールは正当な送信元から送られたと判断します。
- 一致しない場合、そのメールはなりすましの可能性が高いと判断します。
例えば、A社のメールサーバーのIPアドレスが「192.0.2.100」だとします。A社は自社のドメイン「a.com」のSPFレコードに、「192.0.2.100」を登録します。B社がA社からのメールを受信した際、送信元IPアドレスが「192.0.2.100」であれば、そのメールはA社から送られたものだと確認できます。
DKIM(DomainKeys Identified Mail)
DKIMは、メールに電子署名を付けることで、送信元の正当性を確認する技術です。
- 送信側は、メールに電子署名(DKIMシグネチャ)を付けて送信します。この電子署名は、送信側のドメインの秘密鍵で作成されます。
- 受信側は、メールを受信すると、送信元のドメインのDNSレコードから公開鍵を取得します。
- 受信側は、公開鍵を使ってDKIMシグネチャを検証します。
- 検証に成功すれば、そのメールは正当な送信元から送られ、内容が改ざんされていないと判断します。
例えば、A社がメールを送信する際、DKIMシグネチャを付けます。B社がそのメールを受信すると、A社のドメインの公開鍵を使ってDKIMシグネチャを検証します。検証に成功すれば、そのメールがA社から送られたものであり、内容が改ざんされていないことを確認できます。
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)
DMARCは、SPFとDKIMの認証結果を利用して、メールの送信元の正当性を確認する技術です。DMARCを使うことで、送信側はSPFとDKIMの認証に失敗した場合の対処方法を指定できます。
- 送信側は、自分のドメインのDNSレコードに、DMARCポリシーを登録します。DMARCポリシーには、SPFとDKIMの認証に失敗した場合の対処方法(メールを拒否する、隔離するなど)を指定します。
- 受信側は、メールを受信すると、SPFとDKIMの認証を行います。
- SPFとDKIMの認証結果と、送信元のドメインのDMARCポリシーを照合します。
- DMARCポリシーに従って、メールを受信するか、拒否するか、隔離するかを決定します。
例えば、A社のDMARCポリシーが「SPFまたはDKIMの認証に失敗したメールは拒否する」というものだとします。B社がA社からのメールを受信し、SPFとDKIMの認証を行います。もし両方の認証に失敗した場合、B社はA社のDMARCポリシーに従って、そのメールを拒否します。
DMARCには、もう一つ重要な機能があります。それは、認証結果のレポートです。
- 受信側は、SPFとDKIMの認証結果を集計し、定期的に送信側にレポートを送信します。
- 送信側は、このレポートを分析することで、自分のドメインがなりすましに使われていないか、メールの配信状況はどうかを確認できます。
このレポート機能により、送信側は自分のドメインの評判を守るために必要な対策を講じることができます。
まとめ
本記事では、フリーランスコンサルタントが独自ドメインのメールアドレスを利用すべき理由と、その設定方法について詳しく解説しました。
設定には少し手間がかかりますが、信頼性やセキュリティ等の面で独自ドメインのメールアドレスを利用するメリットは大きいです。フリーランスコンサルタントとして独立される方は、是非、独自ドメインのメールアドレスの取得を検討してみてください。
フリーランスコンサルタント完全ガイド
フリーランスのコンサルタントとして独立・成功するために知っておくべきことを網羅。フリーコンサルの始め方・開業から案件獲得までの流れ・エージェントの選び方などを知りたい方は、「【完全ガイド】フリーコンサルの始め方や案件獲得のポイントを徹底解説」も合わせてご覧ください。
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