フリーランスのSCMコンサルタント｜案件例やおすすめのエージェントを徹底解説

コンサルティングファーム等で活躍するSCMコンサルタントの方の中には、「フリーランスのSCMコンサルタント」としての働き方に関心を持つ方も多いのではないでしょうか。

企業はサプライチェーン・マネジメント（SCM）において、グローバルでのSCM最適化、地政学リスクを含むレジリエンスの強化、デジタルサプライチェーン、サステナビリティ対応など、様々な課題を抱えており、SCMの専門家であるフリーランスコンサルタントへの需要は今後も継続・拡大していくと予想されます。

本記事では、フリーランスのSCMコンサルタント向けに、SCM領域におけるフリーコンサル案件の内容やおすすめの案件紹介エージェントなどを詳しく解説します。

フリーランスSCMコンサルタントの仕事内容と案件例

SCMコンサルタントの業務

サプライチェーンマネジメントに関する世界的な専門組織であるASCM（Association for Suplly Chain Management）の定義によれば、SCM（サプライチェーン・マネジメント）とは、「純利益を生み出し、競争力のあるインフラを構築し、世界的な物流を活用し、供給と需要を同期させ、グローバルにパフォーマンスを測定することを目的として、サプライチェーン活動を設計、計画、実行、管理、監視すること」とされています。

According to the ASCM Supply Chain Dictionary, supply chain management is the design, planning, execution, control, and monitoring of supply chain activities with the objective of creating net value, building a competitive infrastructure, leveraging worldwide logistics, synchronizing supply with demand, and measuring performance globally.

ASCM

SCMの業務は一般的には大きく3つに分類することができます。

• 予測・計画業務
  需要予測、生産計画、調達計画、販売計画などが含まれます。
• 実行・実施業務
  受注管理、輸配送管理、顧客管理などが含まれます。
• 実行・実施に対する評価・モニタリング
  KPI指標に基づいて実績を評価します。

これら3つの業務を「調達」「生産」「在庫」「物流」「販売」について行い、サプライチェーン全体を管理・効率化していくことがSCMの業務です。

フリーランスのSCMコンサルタントは、この一部の機能あるいは横断的に現状分析・課題抽出を行い、戦略と改善計画を策定し、場合によってSCMシステムを選定・導入します。そして、施策の効果を測定し改善するPDCAを回していくことで、サプライチェーンをより高度化・効率化していきます。

フリーランスSCMコンサルタントの案件例

フリーランスSCMコンサルタント向けの案件の一例を紹介します。

案件例①｜フリーランスSCMコンサルタント
テーマ	物流施設向けコンサルティング支援
単価	～160万円／月
案件内容	物流施設の現状把握 課題／改善点の洗い出し AI／ロボットを活用したソリューション提案／実行支援 物流施設のレイアウト設計

案件例②｜フリーランスSCMコンサルタント
テーマ	物流領域におけるデータプラットフォーム構築支援
単価	～150万円／月
案件内容	安定稼働のための要件定義、詳細設計、運用における全体戦略の伴走支援 災害時の対策、バックアップの検討 ベンダーコントロール

案件例③｜フリーランスSCMコンサルタント
テーマ	電動自動車の生産戦略支援
単価	～160万円／月
案件内容	検討項目の洗い出しと構造化／現在実施されている工場における改善活動との紐付け 費用対効果を鑑みた、優先順位の策定 ロードマップ策定

案件例④｜フリーランスSCMコンサルタント
テーマ	生産調達領域でのSAP S/4HANA導入支援
単価	～150万円／月
案件内容	要件定義／タスクの推進 顧客要件のとりまとめ、要件定義資料作成、顧客への説明 業務フロー、機能要件一覧、論点サマリー、業務変革施策、期待効果シナリオの作成

※案件例の情報はフリーコンサルタント.jp、Strategy Consultant Bankの公開情報を参考

フリーランスSCMコンサルタントの将来性

SCMコンサルタントの将来性は非常に高いと言えます。その根拠として、近年のグローバルサプライチェーンの見直しや世界的な脱炭素への取り組みが挙げられます。

近年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など、日本および世界に予測不可能な出来事が相次いで発生しています。これらの出来事は、世界経済に大きな影響を及ぼし、国内の製造業においても原材料価格やエネルギー価格の高騰、部品不足、物流の混乱など、サプライチェーンの寸断リスクが顕著となっています。このような複雑なリスク要因に対処するため、製造事業者は調達先や生産拠点、生産計画の見直しを進めており、その支援をする専門家としてSCMコンサルタントの需要が高まっています。

さらに、世界的な脱炭素への取り組みが進む中で、製造業者はコストや効率性を重視した従来の生産活動を見直し、サプライチェーン全体での環境負荷削減を求められています。このような環境下で、SCMコンサルタントは持続可能なサプライチェーンの構築と運用において重要な役割を果たすことが期待されます。

これらの背景から、SCMコンサルタントの重要性と需要は今後ますます高まっていくことが予想され、フリーランスSCMコンサルタントの活躍の機会も拡がっていくでしょう。

参考：令和4年度　ものづくり基盤技術の振興施策

フリーランスのSCMコンサルタントの案件獲得のポイント

この３つに登録すればOK

アビリティクラウド

サービス名：	アビリティクラウド
運営会社：	イグニション・ポイント フォース株式会社
得意領域：	戦略/業務・IT/DX
おすすめ利用者：	コンサル出身者、SIer出身者
公式サイト：	https://consultant.abilitycrowd.com/

フリーコンサルBiz

サービス名：	フリーコンサルBiz
運営会社：	アクシスコンサルティング株式会社
得意領域：	戦略/業務・IT/DX
おすすめ利用者：	コンサル出身者
公式サイト：	https://www.free-consul.biz/

フリーコンサルBizのSCM系の案件例（公式サイト公開案件情報より）

ハイパフォコンサル

サービス名：	ハイパフォコンサル
運営会社：	INTLOOP株式会社
得意領域：	IT/DX（特にPMO） ※案件数が多いので、他領域の案件も豊富
おすすめ利用者：	コンサル出身者、SIer出身者、事業会社出身者
公式サイト：	https://www.high-performer.jp/consultant/

ハイパフォコンサルのSCM系の案件例（公式サイト公開案件情報より）

【その他】SCM案件に強いサービス

POD（Professionals On Demand）

サービス名：	POD
運営会社：	ランサーズ株式会社
得意領域：	戦略/業務・IT/DX
おすすめ利用者：	コンサル出身者、SIer出身者、事業会社出身者
公式サイト：	https://pod.jp/

フリーランスSCMコンサルタントに必要なスキルや資格

必要なスキルと経験

SCM（Supply Chain Management）コンサルタントとして成功するには、幅広い知識とスキル、そして実務経験が重要です。

分析力と問題解決能力

SCMコンサルタントは、複雑なサプライチェーンの問題を分析し、効果的な解決策を提案する必要があります。データ分析ツールの使用能力、統計学の知識、そして論理的思考力が不可欠です。例えば、需要予測モデルの構築や在庫最適化の提案などができると良いでしょう。

プロジェクトマネジメント

クライアントのSCM改善プロジェクトを成功に導くために、優れたプロジェクトマネジメントスキルが必要です。スコープ管理、リスク管理、スケジュール管理など、プロジェクトの各側面を効果的に管理する能力が求められます。

コミュニケーション能力

複雑なSCMの概念をクライアントに分かりやすく説明し、多様なステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取る能力が重要です。プレゼンテーションスキルやレポート作成能力も含まれます。

業界知識

SCMが求められる業界（製造業、小売業、物流業など）のサプライチェーンの特性や課題に関する深い理解が必要です。業界のトレンドや最新のテクノロジーにも精通している必要があります。

テクノロジーの理解

SCMソフトウェア（ERPシステム、WMSなど）やデジタル技術（IoT、ブロックチェーン、AIなど）に関する知識が重要です。これらのテクノロジーがSCMにどのように適用できるかを理解し、クライアントに提案できる能力が求められます。

プロジェクト経験

理論的知識だけでなく、実際のSCMプロジェクトでの経験が非常に重要です。様々な業界や規模の企業でのプロジェクト経験は、コンサルタントとしての信頼性と実践力を大きく向上させます。例えば、グローバルサプライチェーンの最適化プロジェクトや、在庫管理システムの導入プロジェクトなどの経験が役立ちます。

専門分野の確立

SCMは広範な分野であり、特定の領域に特化することで、より高い価値を提供できます。例えば以下のような専門分野のいずれかに深い知見を持つことで、特定のニーズを持つクライアントに対して独自の価値を提供できます。

• グリーンサプライチェーン：環境に配慮したサプライチェーン設計
• リスク管理：サプライチェーンにおけるリスク分析と対策
• デジタルサプライチェーン：最新技術を活用したサプライチェーン変革
• サプライチェーンファイナンス：資金流と物流の最適化

おすすめの資格

資格を持つことで、フリーランスSCMコンサルタントとして信頼性を担保することができます。

APICS認定資格

全世界に拠点を持ち、SCMの教育を行う団体「APICS（Association for Supply Chain Management）」が認定する資格は、国際的に高く評価されています。

• CPIM（Certified in Production and Inventory Management）：生産管理と在庫管理に焦点を当てた資格
• CSCP（Certified Supply Chain Professional）：サプライチェーン全体を包括的にカバーする資格
• CLTD（Certified in Logistics, Transportation and Distribution）：物流、輸送、流通に特化した資格

これらの資格は、SCMの専門知識を証明し、国際的なプロジェクトにおいても高い信頼性を得ることができます。

SCM検定

「一般社団法人 日本SCM協会」が認定する「SCM検定」は、日本国内でのSCM業務に特に有用です。以下の3つの法律に関する知識が試験対象となります。

• 貨物自動車運送事業法（貨運法）
• 貨物利用運送事業法（貨利運法）
• 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律：物流総合効率化法（物効法）

この資格は、日本の物流法規に精通していることを示し、国内企業とのプロジェクトで強みとなります。

SAP認定資格

SAPは世界中の多くの企業で使用されているERPシステムです。SAP認定コンサルタント資格を取得することで、SAPを使用したSCM最適化プロジェクトにおいて専門性を発揮できます。

• SAP Certified Application Associate – SAP S/4HANA Sourcing and Procurement
• SAP Certified Application Associate – SAP S/4HANA Sales

これらの資格は、SAPシステムを使用したSCM改善プロジェクトにおいて、技術的な信頼性を高めてくれるでしょう。

PMP（Project Management Professional）

Project Management Instituteが提供するこの資格は、プロジェクトマネジメントのグローバルスタンダードとして認知されています。SCMプロジェクトを効果的に管理する能力を証明し、クライアントの信頼を得るのに役立ちます。

CSCMP SCPro™

Council of Supply Chain Management Professionals（CSCMP）が提供するこの資格は、SCMの包括的な知識を証明します。レベル1からレベル3まであり、SCMの戦略的側面から運用的側面まで幅広くカバーしています。

これらのスキルと資格を組み合わせ、実務経験を積み、特定の専門分野を確立することで、フリーランスSCMコンサルタントとしての市場価値を大きく高めることができます。ただし、資格取得は重要ですが、実務経験と継続的な学習も同様に重要です。常に最新のSCMトレンドやテクノロジーに関する知識をアップデートし、実践的なプロジェクト経験を積むことで、フリーランスSCMコンサルタントとして活躍することができるでしょう。