コンサルのアベイラブル期間をどう乗り切る?理由と効果的な過ごし方・転職を考えるべき時

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コンサルタントのアベイラブル

コンサルティングファームに勤務する方の中には、「アベイラブル」の状態が数日から数週間続き、不安や不満を抱えている方もいるでしょう。特にアナリスト、コンサルタント、シニアコンサルタントといったマネージャー以下の職位の場合、部門のパイプライン管理などの情報が入手しにくいため、アベイラブルとなっている理由が分からず、不安を感じやすいといえます。

コンサルティング業界では、「アベイラブル(通称アベる)」という言葉はネガティブな意味合いで使われることが多いですが、実際には、ファーム自体の案件獲得の遅れやクライアントとの契約調整の難航等が原因で、アベイラブルになっているケースもあります。 本記事では、アベイラブルになる理由やデメリット、アベイラブル期間の有効な過ごし方などについて詳しく説明します。

目次

コンサルタントのアベイラブル期間とは?

アベイラブル(Avalable/通称:アベる)とは、いつでもプロジェクトにアサイン可能な状態にあることを意味します。つまり、コンサルタントが現在携わっているプロジェクトがなく、新しいプロジェクトに参画できる状態のことです。 

大手コンサルティングファームの方は、自身の稼働状況をシステムに登録する際、稼働時間をチャージできるプロジェクトコードが割り当てられていない状態というと、分かりやすいでしょう。

コンサルティング業界では、一般的にマネージャー以上(Mup)が営業活動を行い、新規案件を獲得します。そして、そのプロジェクトにコンサルタントやシニアコンサルタントなどがアサインされ、デリバリーを行います。Mupは、プロジェクトの体制を計画する際、アベイラブルなメンバーの中から適切なスキルセットを持つ人材を選択し、プロジェクトメンバーとしてアサインすることになります。

なぜ「アベイラブル」はネガティブに捉えられるのか?理由を解説

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コンサルティング業界では「アベイラブル」という言葉にネガティブなイメージが付きまとっており、アベイラブル期間中の人が「俺今アベってるんだよね」と自虐的に話すことも珍しくありません。 では、なぜアベイラブルがネガティブなイメージを持たれているのでしょうか?

コンサルタント個人の視点

キャリアアップを目指すコンサルタントにとって、アベイラブル期間は一種の停滞期間といえます。

ある程度のアベイラブル期間は問題ありませんし、後述するように避けられないアベイラブルもあります。しかし、アベイラブル期間が長引くと、個人のキャリアアップやスキルアップの機会が減少することは事実です。また、ポストコンサルキャリアを考える上でも、履歴書上の空白期間が長くなるのは好ましくありません。 

さらに、「優秀なコンサルタントであればプロジェクトに引っ張りだこで、アベイラブルにならない」という印象があるため、アベイラブルであることに恥ずかしさを感じるという感情的な側面もネガティブなイメージに繋がっているでしょう。

コンサルティングファームの視点

コンサルティングファームにとって、「アベイラブル」はファームの稼働率低下を意味し、業績に影響を与えます。 コンサルティングファームの売上は、人月単価×人員数×稼働率で決定されるため、稼働率の低下は売上の減少に直結します。

近年、ファームの規模拡大が続く中、一部のファームでは稼働率の悪化により採用をストップしたケースもあります。このような背景から、最近では特に稼働率の厳格な管理を行っているファームもあります。 

筆者自身も過去に所属部門の稼働率管理に関わった経験があります。大手ファームでは、通常、部門ごとに稼働率の目標が設定され、部門長はその目標達成のために、さらに細かいサブチーム単位で稼働率を毎月可視化し、管理しているケースが少なくありません。個人単位での稼働率の可視化により、誰がファームや部門の売上に貢献しているかが一目瞭然となります。サブチームを率いるパートナーやマネージャーは、上位の部門長などから毎月稼働率について目標達成を求められるため、アベイラブルな人材を出来るだけ減らせるように努めています。(Pool部門に所属の方の稼働率は、Pool部門長などが責任を負っていいることが多いです)

高評価のコンサルタントでも「アベイラブル」になる理由とは?

アベイラブルになることは必ずしもネガティブな理由だけではなく、評価されているコンサルタントでもアベイラブル期間が発生することがあります。

コンサルタントがアベイラブルになる理由は、主に5つのパターンがあります。

  • 次のプロジェクトへのアサインが決まっているが、開始まで期間が空く場合
  • アサイン候補のプロジェクトの提案や契約調整に時間がかかっている場合
  • 直前に参画した案件がハードだったため、休息期間が与えられている場合
  • ファームあるいは所属部門が案件獲得できておらず、アサイン先が無い場合
  • 評判が悪く、プロマネからアサインを避けられている場合

アベイラブルになる理由①
次のプロジェクトへのアサインが決まっているが、開始まで期間が空く場合

次のプロジェクトが始まるまでに一定の期間が空くケースです。プロジェクト期間はクライアントとの調整が必要なため、直前のプロジェクトの最終日翌日から次のプロジェクトを開始するように調整するのは難しいことがよくあります。

新規プロジェクトに参画する場合、開始までに一定の期間が空くことはやむを得ないでしょう。 このケースは特にネガティブなアベイラブルではないため、e-learningなどの研修を受けたり、次のプロジェクトで扱う業界・業務に関する本を読むなどして過ごすのがよいでしょう。

アベイラブルになる理由②
アサイン候補のプロジェクトの提案や契約調整に時間がかかっている場合

評価の高いメンバーがアベイラブルになる際によくあるケースです。過去のプロジェクトでパフォーマンスや相性が良かったメンバーは、そのプロジェクトのマネージャーやパートナーから、パフォーマンスが期待できるメンバーとして囲い込みたいと思われます。 そのため、次のプロジェクトにも参画してもらえるように調整することは珍しくありません。

しかし、確実に開始が確定している案件がない場合、提案中の案件など複数の案件をアサイン候補として、プロジェクト開始まで待ってもらうことがあります。提案活動には、クライアントとのスコープ、金額、期間の調整、競合とのコンペなどがあり、必ず開始するとは限らず、開始が遅れることもよくあります。その結果、提案活動の手伝いなどをしながらプロジェクトアサインを待つ期間が1か月近くに及ぶこともあります。このケースは、メンバーの評価が悪いわけではなく、むしろ評価されているからこそ起こり得ることです。

最近は稼働率を重視するファームが増えているため、プロジェクトが開始しない場合の囲い込みを禁止し、他のプロジェクトへアサインするケースも増えています。しかし、マネージャーやパートナーが自身が担当している他のプロジェクトの余剰予算などを使って、うまくチャージ先を提供しながら優秀な人材を囲い込む動きはあります。

アベイラブルになる理由③
直前に参画した案件がハードだったため、休息期間が与えられている場合

直前に参画していたプロジェクトが炎上案件やハードワークが必要な案件だった場合、プロジェクト終了後に一定の休息期間を提案されることもあります。 昔のコンサルティングファームでは、3か月のハードなプロジェクトを完了後、2週間~1か月程度の休みをとって、また次の3か月プロジェクトに参画するといった働き方が一般的でした。近年は稼働率が重視されたり、働き方が見直されたりする中で、プロジェクト間の休息期間は短くなってきましたが、それでも一定の休息期間を取ることは珍しくありません。

アベイラブルになる理由④
ファームあるいは所属部門が案件獲得できておらず、アサイン先が無い場合

在籍するファームや部門が十分な新規案件を獲得できておらず、アサイン先が見つからないケースもあります。社内プロジェクトなどに参画できる場合もありますが、そういった案件もない場合はアベイラブルとなってしまいます。これについては、マネージャー未満の場合、個人ではどうしようもないことなので、プロジェクトの受注を待つほかありません。過去、大手ファームの知り合いから、特定の部門におけるアベイラブル率が3割を超えた時期があったという話を聞いたこともあります。 

アベイラブルになる理由⑤
評判が悪く、プロマネからアサインを避けられている場合

稼働率が重視されている中であまり多いケースではありませんが、パフォーマンスなどに関する評判が悪く、プロジェクトマネージャーからアサインを避けられているケースもあるでしょう。最近、大手ファームのマネージャーから聞いた話では、メンバー層の労働環境改善が進む中で、マネージャーが業務の巻き取りをせざるを得ないケースもあるそうです。そのような背景から、著しくパフォーマンスやマインドセットに問題があるメンバーの場合、アサインを避けたがる傾向があるということでした。

アベイラブルがコンサルタントのキャリアに与える影響とデメリット

アベイラブルになることによる本人のデメリットを具体的に見ていきましょう。

評価への影響

コンサルティングファームではランクごとに目標稼働率が設定されています。部門単位では、ランク別の人数と目標稼働率を加重平均することで部門の目標稼働率が決まり、これがパートナークラスの評価指標の一つとなります。また、最近ではコンサルタントやシニアコンサルタントなどの個人評価においても稼働率を利用するファームもあるようです。プロジェクトでのパフォーマンスが最も重要な評価指標ですが、各ランクで設定された目標稼働率に達しない場合、全体的な評価ランクが下がる可能性があります。

キャリアの損失

アベイラブル期間が長引くと、キャリアに空白期間ができてしまいます。特に20代や30代前半といった重要な時期に長期間アベイラブルとなることは、キャリアそのものの損失につながります。転職活動の際にもアベイラブル期間の長さを指摘される可能性があります。

アベイラブルになったらクビ?

アベイラブルになったからといってクビになるわけではありません。日本の解雇規制の中で、クビになることはあまりないでしょう。しかし、意図的にアベイラブルにさせられていると感じた場合、自分自身としてファームに居づらくなるのも事実です。周りが忙しく働いている中、一人だけやることがないというのは辛いものです。 アベイラブルになってから不動産投資などの副業に励む猛者もたまにいますが、一般的にはパフォーマンス的な理由でアベイラブルが続いていると感じると、転職を考えるのが自然な流れでしょう。

アベイラブル期間中のコンサルタントにおすすめの過ごし方

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前述のとおり、アベイラブルになる理由は様々であるため、それぞれのケースに適した過ごし方があります。直前のプロジェクトが忙しくて十分に休めなかった方の場合は、数週間の海外旅行などでリフレッシュするのが最善の選択肢かもしれません。 一方で、アベイラブルが続いているけれど早くアサインされたくて悩んでいる、自分のキャリアに不安を感じているという方もいるでしょう。そういった方におすすめの過ごし方をご紹介します。

社内でのMupとのネットワーキング

アサインの可能性を高めるために、社内でマネージャー以上(Mup)とのネットワーキングに励むことは一つの選択肢です。大手ファームでは、部活動やサークル、ランチ会、勉強会などのイベントが開催されることもあるので、そういった機会に積極的に参加してMupとの接点を増やしましょう。会話の中で自分の興味関心や強みなどを上手く伝えられれば、Mupの記憶に残り、アサインメンバーを決める際に思い出してもらえるかもしれません。

メールやチャットでMupに連絡を取り、そのMupがよく受注しているプロジェクトについて話を伺う機会の設定を依頼するのも良い方法です。忙しいMupへの時間の取り方には注意が必要ですが、コンサルティングファームは自らキャリアを切り開いていくべき場所です。少し勇気を出して連絡してみると、思わぬチャンスにつながるかもしれません。

PDの手伝いなどに手を挙げる

ファームや部門によっては、TeamsやメールなどでPD(提案)活動を手伝ってくれるメンバーを募集しているケースもあります。そういった機会に手を挙げて頑張って貢献し、顔を覚えてもらうのも一つの手です。PD活動ではプロジェクトアプローチ自体を設計する高度なタスクに携われるため、その過程に関われることは成長の機会という意味でも非常に有益です。

他部門への異動検討

自分が所属している部門で案件不足などが原因でアベイラブル期間が続いている場合は、案件が豊富な他部門への異動を検討するのも一案です。特に大手ファームでは、ある部門では稼働率が下がって人が余っているのに、他部門では人手不足でハードワークになっているということがあります。もし興味のある部門がある場合は、この機会に異動を検討してみるのも良いでしょう。ファームによっては異動制度が整っていることもありますし、筆者自身、過去に各部門のパートナーと上手く話をつけて自ら調整し、異動したこともあります。

キャリア戦略の見直し

アベイラブル期間が続く理由として、案件を選り好みしすぎているということもあるかもしれません。もちろん自分のキャリアは本気で考えるべきですが、案件を取ってきているパートナーやマネージャーからすると、まずは与えられた案件で確実に成果を出して信頼を獲得してから、自分の希望する案件への参画機会を掴んでいくべきだと考えている方も多いです。その意味でも、ファームにおいてどのようにキャリアを築いていくのかを一度見直すのも良いでしょう。

過去プロジェクトの振り返り

アベイラブル期間中に過去プロジェクトの棚卸・振り返りをしっかりと行うのもおすすめです。コンサルタントの中には、プロジェクトについて十分な振り返りを行っていない方も意外と多いです。プロジェクトの概要や役割、チャレンジしたこと、上手くできたこと、成長したこと、課題などを整理しておくことは非常に重要です。次回のアサイン面談時に、過去プロジェクトの反省を踏まえて次のプロジェクトでの目標や課題を自分の言葉でしっかりと語れることは、良い評価につながるでしょう。また、将来の転職時にも思い出しやすくなるので、おすすめです。

2か月経ってもアベイラブルが続くなら転職を考えてもいいかも

アベイラブル期間が2か月以上続き、一向に状況が改善しない場合は、転職という選択肢を考えてみても良いかもしれません。 ポストコンサルキャリアを目指す方には、ポストコンサル転職に強いエージェントの活用がおすすめです。

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