【フリーコンサル インタビュー(40代男性)】ワークライフバランスを求めて戦略ファームから独立

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近年、コンサルティング業界でもフリーランスとして独立する人が増えています。しかし、独立後の案件獲得や収入の安定性、キャリアの築き方など、不安を感じる人も少なくありません。

今回は、大手自動車メーカーで技術者として活躍した後、総合コンサルティングファームや戦略コンサルティングファームでキャリアを積み、フリーランスコンサルタントとして独立した40代男性に話を伺いました。独立の理由や案件獲得の方法、独立後の収入や働き方の変化、今後のキャリアビジョンなど、様々な観点で語っていただきました。フリーランスとして独立を考えている人だけでなく、コンサルティング業界で働く全ての人に参考になる内容なので、是非ご覧ください。

Interviewee Profile

新卒で大手自動車メーカーに就職し、技術者として開発責任者や海外駐在を経験。メーカーで10年以上の経験を積んだ後、総合コンサルティングファームに転職し、OEMメーカーやサプライヤー、商社をクライアントとした様々なプロジェクトに関わる。その後、戦略コンサルティングファームに転職し、自動車業界のクライアントの様々な経営課題の解決に従事。2021年にフリーランスコンサルタントとして独立。

大手メーカーから総合ファーム、戦略ファームを経て
フリーコンサルとして独立

―簡単にご経歴を教えてください。

新卒で大手自動車メーカーに入社し、開発部門において車体の設計やテストに関わりました。メーカーでは海外拠点での駐在や量産モデルの開発責任者なども経験しました。メーカーで10年以上のキャリアを積んだ後、総合コンサルティングファームへ転職し、主に自動車業界のOEMメーカーやサプライヤー、商社に対するコンサルティング業務に従事しました。その後、戦略コンサルティングファームに転職し、そこでも自動車業界のクライアントに対するコンサルティングに従事しておりました。

2021年にフリーランスコンサルタントとして独立し、これまでのキャリアで培った技術知見やコンサルティングスキルを活かして、コンサルティングサービスを提供しています。

―フリーランスコンサルタントとして独立した背景を教えてください。

「ワークライフバランス」が最大の理由です。やはり、コンサルティングファームでは長時間の労働が必要となることが多く、場合によっては土日も稼働することがあります。私は年齢的に40代に差し掛かっていたこともあり、身体を労りながら仕事をする必要性を感じていました。

そのような理由から一度ファームを離れることを考えましたが、一方でコンサルティングの仕事を続けたいという気持ちもあったため、フリーランスコンサルタントとして独立する道を選びました。

―フリーランスコンサルタントになってから参画しているプロジェクトについて教えてください。

ファーム時代と同様に自動車メーカーやサプライヤー等が抱える様々な経営課題に関するプロジェクトに参画しています。私のキャリアの特徴としてメーカーでの技術職の経験が長いことから、特に技術の知見を求められる案件(生産戦略や商品戦略など)が中心となっています。

これまで築いてきた人脈およびキャリアを活かして案件を獲得

―フリーコンサル案件はどのように獲得していますか?

前職のコンサルティングファームからの紹介がメインとなっています。

当初は案件仲介エージェントを利用して案件を探していたのですが、私がフリーコンサルとして活動していることを知った前職の上司から、『人が足りていないから仕事をお願いしたい』と連絡があり、前職のファームから案件を紹介してもらえるようになりました。

また、メーカー時代の上司が立ち上げたコンサルティング会社からの紹介で案件に参画することもあります。

―キャリアがある方の場合は人脈を活かして案件が取れるのですね。

運が良かったと思います。フリーランスコンサルタントとして独立すると、案件獲得への不安は常につきまといます。そんな中、「技術職出身で技術に精通しているコンサルタント」というキャリアの強みがあることで、私のことを評価してくれる方がコンサルティング業界内にいます。そのおかげで、安定的に案件を獲得することができています。

―前職のコンサルティングファームの案件に参画する場合、仕事の仕方はあまり変わらないのでしょうか?

仕事の仕方は基本的に同じです。ただし、仕事をくれている方とは付き合いも長く、仕事の進め方や考え方を理解できている部分も多いため、それほど時間をかけなくてもプロジェクトを回すことができています。プロジェクトでは、私がマネージャーの立ち位置に入り、メンバーとしてファームの若手の方をアサインいただいています。

―一方でファーム時代とは変わった点はありますか?

プロジェクトで多忙を極める中で、追加の提案依頼や組織開発などに時間を取られることはなくなりました。加えて、プロジェクトとプロジェクトの合間で時間を置くことができるので、プライベートとのバランスは取りやすくなりました。

年間の稼働率は50%程度でファーム時代と同等レベルの年収

―ワークライフバランスの面以外で、フリーコンサルのメリットはありますか?

やはり金銭的なメリットもあります。私の場合、案件仲介サービスなどを利用せず、中間マージンを取られることがないため、個人として得られる報酬は高くなっています。案件にもよりますが、一月あたりの報酬額は200~300万円程度であることが多いです。

―ファーム時代よりも年収は上がっていますか?

私の場合、年間の稼働率を50%程度に抑えているため、年収はファーム時代と同等かわずかに高い程度です。ただし、健康保険などの社会保険料が増えるので、雑費も増加しています。

一方で仕事をとれなくなる不安は常につきまとう

―フリーコンサルになるデメリットは何でしょうか?

やはり「仕事が取れなくなること」への不安です。常に不安感・危機感を抱えています。 例えば、現在は前職の元上司から仕事を受けていますが、元上司の今後のキャリアによっても影響を受けます。事業会社に転職したり、フリーランスの起用を禁止するファームに移籍したりすると、案件の紹介がなくなる可能性もあるでしょう。

―お付き合いのあるファームは、フリーコンサルを積極的に活用しているのでしょうか?

数名のプリンシパル/シニアマネージャークラスの方が、自身で抱えている外部のフリーランスコンサルタントを起用しているようです。しかし最近は、ファームによってはフリーランスコンサルタントを使わない傾向もあるようで、少し危機感を覚えています。

というのも、外部のフリーランスコンサルタントを起用すると人件費が上昇し、ファームのプロジェクトの利益率が低下するためです。また、ファームとしては自社のコンサルタントの稼働率を上げることを優先します。

自社のコンサルタントの稼働率が100%で、それでもなお案件の引き合いがあり人手が足りない場合に、フリーランスコンサルタントに依頼するのが本来の活用方法です。そのため、人員に余裕のあるファームでは、フリーランスを起用しづらいでしょう。

―フリーコンサルとして独立後、仕事の取組み方やマインド面で変わったところはありますか?

まず、仕事の選り好みはしないということです。そして、ファーム時代ももちろん全力で仕事に取り組んでいましたが、フリーランスコンサルタントになって以降は、100%のパフォーマンスをミスなく発揮するという責任感がより強くなっています。各案件で成果を出さないと次の依頼がないという危機感があるためです。

確定申告や社会保険の切り替えが意外と大変

―フリーコンサルとして独立して最も苦労したことはありますか?

意外に苦労したのが、確定申告や健康保険の切り替えなどを自分で行わなければならないことです。自分でやろうとするにも、ある程度の知識が必要という点が大変でした。現在は税理士に依頼していますが、税理士探しも最初は苦労しました。

仕事という意味では、正直コンサルティングファームとあまり変わらないため、フリーランスコンサルタントとして独立したからといって、特別苦労したことはありません。

―フリーランスは孤独を感じることもありますが、フリーコンサル仲間が欲しいと思ったことはありますか?

現在はそこまで強く感じていません。というのも、今は空いた時間を子育てなどのプライベートに充てたいと考えているからです。ただし、それは現在安定しているからこそだと思います。

もし自分で仕事を取れなくなり、案件仲介エージェントなどから仕事を受けるようになると、フリーコンサル仲間とのつながりや情報交換も必要になるかもしれません。他のフリーコンサルの方とチームを組んで案件を取るといった動きも、必要になる可能性があります。

独立前に個人のマーケット需要を見極めることが重要

―今後のキャリアについてはどのように考えていますか?

まずは、フリーランスコンサルタントとしての活動を50歳くらいまで続けられればと考えています。その先については、まだ検討中ですが、コンサルティングのスキルを活用しながら、自分で案件が取れる状況であれば現在の働き方を継続し、自分のつながりでコンサルの仕事を受けられなくなった場合は、案件仲介サービスの利用も視野に入れています。また、再就職の道を考えることもあるかもしれません。

―将来的にフリーコンサルになることを考えている人へのアドバイスはありますか?

自分に仕事を依頼してくれる人脈を築いてからフリーになることをおすすめします。そのためには仕事を通じて信頼を獲得し、自分の専門性を高めておくことが重要です。

自分の専門性に個人としての需要があるかどうかをよく見極める必要があります。やはり需給がマッチしていないと仕事は取れませんし、競合相手として他のフリーランスも多数存在します。例えば、現在ではIT系の専門性が高い人は案件が来やすい傾向にあります。

―独立前に案件仲介プラットフォーム等に登録して、需要を確認した方がよいかもしれませんね

そうですね。事前に確認してみるのも一つの方法だと思います。

もう一つアドバイスとしては、コンサルティングファームで働ける間はファームで働いた方がいいということです。フリーコンサルになるタイミングは重要だと考えています。特に個人事業主としてやっていく場合、20代からフリーランスとして過ごすのはキャリアの厚みという点で不利になる可能性があります。フリーランスを経験したからといって評価されることはなく、むしろ大手コンサルファームで長期にわたって案件に取り組んできた人の方が、相手にも良い印象を与えるはずです。

そのため、まだ頑張れるのであればファームで経験を積んだ方が賢明だと私は思います。将来設計を見据えて、慎重に考えることが大切です。

―本日は貴重なお話をありがとうございました!