【フリーコンサル インタビュー(40代男性)】社会起業の傍ら、黎明期からフリーコンサルとして10年以上活動

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社会起業の傍らフリーコンサルとして10年以上活動

社会起業とフリーコンサルを両立させながら、自身のキャリアを切り拓いてきた40代男性のお話を聞きました。フリーコンサル黎明期に独立し、10年以上にわたって活動されてきた経験から、フリーコンサルの醍醐味や大変さについて語っていただきました。

Interviewee Profile

新卒で大手コンサルティングファームに就職。その後独立し、社会起業家として活動する傍ら、フリーランスコンサルタントとしても活動。2010年代のフリーランス黎明期から、フリーランスコンサルタントとして多数のプロジェクトに参画。現在は海外の大学院に留学し、研究活動に取り組みながら、フリーランスコンサルタントとしての活動も継続中。

フリーコンサル黎明期に独立

―簡単にご経歴を教えてください。

新卒で大手コンサルティングファームに入社し、主にHRM(Human Resource Management)領域のプロジェクトに従事していました。マネージャープロモーションのタイミングでファームを退社し、当時はまだ少なかったフリーランスのコンサルタントとして独立しました。

3年ほどフリーランスコンサルタントとして活動した後、かねてより関心のあった社会起業を本格的に始めました。社会起業家として社会課題の解決に取り組む一方で、フリーコンサルを兼業しており、この2足のわらじの生活を約10年ほど続けました。 その後、これまでの経験をアカデミックな視点から整理し、研究したいと考え、現在は海外の大学院に留学しています。

―フリーランスコンサルタントとして独立したきっかけを教えてください

私は学生時代から社会問題に強い関心を持っていました。当時、社会起業について書かれた海外の書籍が話題となり、日本でも「ビジネスを通じて社会課題を解決する」という社会起業の考え方が広まり始めました。もともと起業を志していた私は、社会起業というものが、自分の社会問題への興味と起業への関心が重なる領域だと感じ、社会起業を志すようになりました。

コンサルティングファームに入社した理由も、将来の社会起業のためでした。ファームでキャリアを積むにつれて、当初の計画通り社会起業に挑戦したいという気持ちが高まり、ファームを退社することを決意しました。

しかし、社会的な事業の立ち上げにおいては、すぐに事業アイディアを形にするのは難しく、資金や人脈も必要でした。そのため、まずは別の仕事を並行しながら、社会起業を進めていくことにしました。ちょうどその頃、フリーランスのコンサルタント向けの案件仲介サービスが出始めていたので、そのようなサービスを活用しながら、フリーコンサルとして活動を始めることにしました。

社会起業で地方在住。
当時はオンサイト案件中心で、毎週地方と東京を往復

―独立してからはどのような案件に参画してきましたか?

フリーコンサルとして活動を始めた最初の3年間は、平日はフリーコンサルの仕事に従事し、週末は社会起業の準備を進めていました。当時はフルタイムでフリーコンサルの案件に取り組んでいたため、ファーム時代と同様に大規模な案件に関わることが多かったです。

例えば、企業間の合併における業務統合やHRM領域のBPR、さらには海外に数か月駐在して現地法人のチェンジマネジメントを行うような案件もありました。 プロジェクトの体制としては、他のファームのアンダーとして参画し、ファームの方々とプロジェクトチームを組むこともあれば、事業会社直下で他のフリーコンサルの方々とチームを組んでデリバリーすることもありました。

その後、社会起業家としての活動が本格化して以降は、自分の事業を中心に据えていたため、稼働率50%未満の案件を受注していました。PMOやベンチャー企業の人事制度立ち上げ、コンサルティングファームの提案書作成支援等の案件が主な仕事となりました。

―社会起業家としての活動が本格化して以降も、フリーコンサルを続けたのですね

社会起業一本では収入面で大変な部分もありました。そのため、地方で社会事業に取り組みながら、東京とを往復してフリーコンサル案件に参画するという生活を送っていました。当時はリモート案件がほとんどなく、オンライン会議システムも現在ほど充実していなかったため、フリーコンサルとして働く際は基本的に新幹線で出勤していました。

―起業家とフリーコンサルを並行する良さについて教えてください

起業すると、自分の事業に強くフォーカスするようになります。自分の事業領域で何を生み出せるのか、どのように実現するのかを模索していると、思考が固定化してしまうこともあります。そのような中で、フリーコンサルを通じて、違う自分でいられる時間を持てたことは大きなメリットだったと思います。

私は社会起業に携わっていたため、社会問題の解決に常に取り組んでいましたが、一方でフリーコンサルではビジネス視点で物事を捉えていました。そうすると、フリーコンサル案件で得たアイディアや知識が、自分の社会事業に活かせるという経験が数多くありました。また人脈という意味でも、フリーコンサルを通じて築いたネットワークが役立つこともありました。相乗効果があったと感じます。

フリーコンサル案件の量・幅が広がり、
コンサルキャリアを活かしやすい時代に

―独立後、フリーコンサル案件はどのように獲得しましたか?

独立当初は、コンサルファーム時代の先輩が立ち上げた会社から仕事を受注するなど、知人のつてを頼りに案件を探していました。しかし、あるときインターネット検索でフリーコンサル案件の仲介サービスの存在を知り、活用するようになりました。知人経由で得ていた案件は単発のスポット案件が多かったのですが、仲介サービスを利用することで期間の長いプロジェクトを獲得できるようになり、フリーランスとしての活動が軌道に乗るようになりました。

―現在もフリーコンサルを続けているということですが、当時から環境は変わったと感じますか?

最近探している案件の性質が以前とは異なるため、単純に比較することは難しいのですが、リモートで対応可能な案件が大幅に増加したという印象を持っています。もちろん、案件自体の数も増えていますし、フルタイムの案件からスポット案件まで多様な選択肢が用意されており、案件の幅も広がっていると感じます。コンサルタントにとっては、自身のキャリアを活かしやすい環境が整ってきていると言えるでしょう。

収入やワークライフバランスは向上。
一方で相談相手がいないのは大変だった

―独立してから収入面はどのように変化しましたか?

独立当初はやはり収入が上がりました。ファーム時代と比較して約3割増しだったと記憶しています。時間単価という観点では、社会事業よりもフリーコンサルの方が高かったので、コンサルタントの市場価値の高さを実感しました。

―独立後のワークライフバランスはいかがですか?

コンサルティングファームに在籍していた頃は、朝まで会社で仕事をすることが日常茶飯事でした。プロジェクトサイトの近くのホテルに朝4時頃チェックインして、朝8時からまた仕事を始めるという働き方をしており、会社の雰囲気としてもそれが当たり前とされていました。

しかし、フリーランスとして独立してからは大幅に改善しました。独立後に社会起業で地方に移住したり、大学院留学で海外に移住したりとライフステージが変化する中でも、仕事と家族の時間をしっかりと両立できていますが、これはファーム時代には正直考えられないことでした。

―独立後に仕事の仕方やマインドセットの面で変わったことはありますか?

自分の市場価値を真剣に考えるようになりました。ファーム時代と比べると、自分の年齢や専門性、経験を踏まえて、どの価格で自分を売り込むのかという点をシビアに考えるようになったと思います。特に最近はスポット案件を受けることも増えたため、自分がその仕事にどれだけの価値を提供できるのか、それゆえどの価格を請求できるのかということをしっかりと考えるようになりました。

―独立後にスキルアップを意識して取り組んでいたことはありますか?

海外の最新動向を意識的に取り入れ、日本市場との比較なども含めて、クライアントにしっかりと説明できるようにすることには真剣に取り組んできました。インターネットで情報収集をすることはもちろん、海外のビジネスカンファレンスに参加することもありました。

―独立して最も大変だったことはありますか?

相談できる人がいないことです。ファーム時代は先輩や同僚に直接相談することができ、先輩の仕事ぶりを見て学べるという面が非常に大きかったと思います。しかし、独立すると相談やお手本にできる存在がいないため、若い頃は仕事の進め方で悩んだ時期がありました。フリーランスになると、相談して『この人は分かっていない』と思われるのが怖く、気軽に相談しづらかったですね。 もしフリーコンサル同士の横のつながりがあれば、少しは違ったのかもしれません。

独立は「人生で成し遂げたいこと」を真剣に考えるきっかけにもなる

―改めてフリーコンサルとして独立するメリットを挙げるとすると何がありますか?

最大のメリットは、「自分が人生で何を成し遂げたいのか」「そのために今何が不足しているのか」ということを真剣に考える良い機会になるということです。

フリーコンサルとして独立すると、自分の市場価値と向き合うことになります。その過程で、自分が目指す方向性や足りない部分を深く見つめ直すことになるでしょう。そして真剣に考えることで、例えば私が海外の大学院で研究することを決断したように、新たなチャレンジへのきっかけにもなります。起業してみようとか、別の分野のコンサルティングに挑戦してみようとか、様々な挑戦につながるきっかけになるということが最大のメリットだと感じています。

―逆に改めてデメリットを挙げるとすると何がありますか?

先ほども述べましたが、やはり先輩や同僚がいないことだと思います。ファーム時代は近くに優秀な先輩がいれば、その先輩をロールモデルとして学びながら、自身の成長につなげていくことができます。フリーランスとして独立すると、そのような機会が失われてしまうため、特に若い方にとってはデメリットになるかもしれないと感じます。

―今後のキャリアについてどう考えていますか?

現在は大学院で、HRM領域の研究に取り組んでいます。具体的には従業員のレジリエンスに関する研究であり、従業員のバーンアウトをいかに防ぎつつ、どのようにして活躍してもらうか、そのための組織設計をどうすべきかといったことを研究しています。

ただ、研究はあくまで研究なので、それを実社会に実装していくことが重要だと考えています。その意味で、コンサルタントという仕事を通じて、従業員のレジリエンスの問題で悩んでいる企業様を支援し、社会に反映していくというキャリアを描いています。働く場所やスタイルはまだ決めていませんが、少なくともコンサルティングの仕事は自分の性に非常に合っていると感じているので、今後はそのようなキャリアを築いていきたいと考えています。

―最後にフリーランスコンサルタントとして独立を考えている方にアドバイスはありますか?

メンターを見つけておくことをおすすめします。会社という枠組みを外れると、親しかった先輩とも話をする機会は減りがちです。飲みに行こうとなっても、飲みの場では仕事の悩みを十分に相談できないこともあります。そのため、しっかりと仕事の相談ができるメンターを見つけておくことが重要だと思っています。

―本日はお話をいただきありがとうございました!