MBAとベンチャーも経て、外資ITの営業トップへ —ポストコンサルが語るキャリアの選択

新卒でアパレルメーカーに入社し、営業・企画を経験。その後コンサルティングファームへ転職し、海外MBAを経てキャリアの選択肢を大きく広げました。MBA卒業後は“王道”を外れて人材系ベンチャーに飛び込み、創業オーナーとともに新規事業に挑戦。現在は外資系IT企業で営業部門を率いています。頭脳で戦うコンサルの世界と、泥臭い現場の両極を体験してきた彼が語る、キャリアのターニングポイントと今後の展望とは——。
アパレルからコンサル、そしてMBAへ —— キャリアの転機
-ご経歴を簡単に教えてください。
新卒でアパレルメーカーに入社し、小売店向けの営業や営業企画を約5年間担当しました。その後、コンサルティングファームに転職し、3年間コンサルタントとして経験を積みました。
さらに海外のMBAに2年間留学し、帰国後は知人に誘われて人材系ベンチャー企業へ入社。約5年間にわたり新規事業の立ち上げなどに携わりました。現在は外資系IT企業に転職し、法人営業の責任者を務めています。
-新卒でアパレルメーカーに入社された理由は何でしょうか?
大きく2つ理由があります。ひとつは、大学時代の部活の先輩がその会社に入社しており、直接話を聞けたこと。もうひとつは、金融や商社といった人気業界の仕事が自分にはなかなかイメージしづらかったことです。メーカーであれば最終商品を自分の目で見ることができ、仕事のイメージを持ちやすいと感じたのが決め手でした。
-その後、コンサルティングファームへ転職された理由は?
前職在籍中に、会社の制度で国内の短期MBAプログラムに参加する機会がありました。そこでビジネスのフレームワークや思考法を学び、「より上流のビジネスに携わりたい」と考えるようになりました。社内での異動も検討しましたが、当時のカルチャーでは難しく、結果としてコンサルティングファームへの転職を選びました。
-コンサルティングファームで印象に残っているプロジェクトはありますか?
やはり最初に携わったプロジェクトが一番印象に残っています。製造メーカーにおいて、ITやデータ解析を活用して業務効率化やコスト削減を目指すプロジェクトでした。AS-ISの課題を整理したうえで、ITを導入するとどのような効果が得られるのかを全体設計し、さらにTo-Beの業務フローや人員配置の見直しまで検討する内容でした。
-どのような点が大変だったのでしょうか?
当時はExcelやPowerPointをほとんど使ったことがなかったのですが、大量のデータをExcelで分析する必要があり、最初は全く太刀打ちできませんでした。また、毎週何十枚ものスライドをつくっても、最終的に使われるのは1枚だけということも多く、日々上司に厳しく鍛えられました。
最終的には昇進してメンバーのマネジメントを任されるようになりましたが、振り返ると最初の経験が一番大変であり、一番学びが大きかったと思います。
-なぜ海外MBAへの留学を決意されたのですか?
もともと海外に行きたいという漠然とした思いがありましたし、自分のビジネススキルや専門性をもっと高めたいという意欲もありました。ちょうど「海外経験」と「ビジネススキル」を掛け合わせられるキャリアステップを模索していたんです。
理想は、コンサルティングファームで1〜2年ほど海外のプロジェクトにアサインされることでした。しかし当時は国内案件が中心で、グローバル案件は数も少なく、アサインされる確率も高くはありませんでした。外資系コンサルへの転職も考えましたが、そこに行っても国内案件が中心になる可能性は十分ありました。そうであれば、確実に海外経験を積めるMBA進学が一番良いと考え、留学を決意しました。
-トップスクールでのMBA経験によって、働き方やキャリアに対する考え方に変化はありましたか?
大きな変化がありました。特に「キャリアの選択肢が一気に広がった」という点です。MBAはある意味でキャリアの“リセット”や“ロンダリング”のような役割を果たすこともあります。
たとえば、コンサルティングファームを志望しても、当時の自分の経歴ではトップファーム(いわゆるMBBなど)の選考にすら進めない状況でした。しかしMBAを経ることで、そのようなファームから逆に「ぜひ面接に来てください」と声をかけてもらえるようになったんです。実際、MBA時代の就職活動では外資系戦略コンサルティングファームからも内定をいただきました。
この経験を通じて、MBAは自分にとって単なる学びの場以上に、キャリアの選択肢を大きく広げてくれる存在だったと実感しました。
王道を外れてベンチャーへ —— 泥臭い現場で得た学び
-MBA卒業後、外資系コンサルや金融ではなく、人材系ベンチャーに入社された理由を教えてください。
正直、MBA卒業後の進路としては外資系の戦略コンサルや金融に行くのが“王道”でしたし、自分もグローバル案件に携わりたい気持ちはありました。実際、それらの道を選べば確率も高まったと思います。
ただ一方で、「せっかくMBAに行ってキャリアの幅が広がったのに、王道の道を選ぶのは面白くないな」とも思ったんです。むしろ、自分だからこそできる少し違ったキャリアを歩んでみたいという気持ちが強くありました。
そこで、知人から声をかけてもらった人材系ベンチャーに飛び込むことを決めました。ベンチャーには熱気がありますし、裁量を持って新しいことに挑戦できる環境がありました。「ここでビジネスをやってみるのもきっと面白いだろう」と感じたのが一番の理由です。
-人材ベンチャーで働く中で、MBAやコンサルでの経験が活きたと感じる場面はありましたか?
正直に言うと、「MBAやコンサルで学んだ知識やフレームワークをそのまま活用できた」というよりは、むしろ真逆の世界に飛び込んだ感覚でした。
創業オーナーが何を言っているのか分からない場面も多く(笑)、そうした相手と日々コミュニケーションを取りながらビジネスを前に進める、という経験は大きな鍛錬になりました。MBAやコンサルの世界であれば、学んだフレームワークやファイナンスの知識を存分に使えたと思います。でもベンチャーではそうした“正攻法”はあまり意味を持たず、むしろ泥臭く現場を回していく力が必要でした。
振り返ると、「理論やフレームワークで武装したインテリ的な世界」と「ベンチャーの泥臭い現場」という両極端を体験できたのは、自分にとって非常に良い学びでした。MBAやコンサルだけでは得られない実践知を積むことができたと思います。
外資IT企業での挑戦とこれからの展望
-その後、外資系IT企業に転職された理由を教えてください。
人材ベンチャーでの仕事は、自分の中で一つの区切りがついたと感じました。コロナ禍が落ち着くまでの間は腰を据えて取り組もうと思っていましたし、実際に「売上を必ず立てる」という目標を掲げて取り組み、成果を出すことができました。
ただ同時に、リソースがあまりにも限られていたため、成長戦略を描こうとしても実現できる手立てがほとんどありませんでした。結局「売上を伸ばしたければ、もっと気合を入れて働け」という状況になり、本質的な事業成長を仕組みとしてつくることが難しかったんです。
その経験を経て、「限られた環境で気合で頑張る」よりも、「ある程度の資金やリソースを活用しながら事業を成長させる」ほうが今の自分にとって面白いのではないかと感じました。ちょうどそのタイミングで、外資系IT企業から営業部門の立ち上げに関わるチャンスをいただき、新たな挑戦を決意しました。
-今後の目標やキャリアについて、どのようにお考えですか?
将来的には経営のトップを担ってみたいという思いがあります。自分でゼロから立ち上げるタイプではないと感じているので、どちらかといえば「雇われ」であっても組織のトップとして経営を担う形が、自分のスタイルに合っていると思っています。
また、グローバルな環境で経営に携われたら一番面白いと考えています。
-最後に、ポストコンサルキャリアを考えている方へメッセージをお願いします。
正直、僕のキャリアはあまり参考にならないかもしれません(笑)。ただ強いて言うなら、コンサルの中でも新しい領域に挑戦する道もあれば、事業会社や金融など外に飛び出す道もあります。つまり「ポストコンサルだからこの道を選ぶべき」という正解はないと思うんです。
そのうえで一つ伝えたいのは、コンサルはどうしても「頭で考える世界」に偏りがちなので、真逆の経験を意識的に積むと良い、ということです。僕自身、コンサルやMBAでインテリ寄りの世界にどっぷり浸かったあと、人材ベンチャーで創業オーナーと泥臭くビジネスを動かす経験をしたことがすごく大きな財産になりました。頭で考える世界と、泥臭い現場の世界。その両方を体験できたからこそ、キャリアの幅がぐっと広がったと感じています。
だからこそ、ポストコンサルを考えている方には、自分とは真逆の環境にあえて飛び込んでみることをおすすめします。その経験が、きっと人生の幅を大きく広げてくれるはずです。
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