【フリーランスコンサルタント向け】請求書の作り方やマナーを解説

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フリーランスコンサルタントの請求書の作り方

フリーランスコンサルタントの方の中には、クライアントや案件仲介エージェントにコンサルティングフィーを請求するための「請求書の作り方」について気になっている方も多いでしょう。

特にコンサルティングファーム時代に請求書のやり取りなどをあまりしたことがない方の場合、請求書に必要な項目や注意点などを理解することが大切です。

本記事では、フリーランスコンサルタント向けに「請求書に記載が必要な項目」「作成する際の注意点」について詳しく解説します。

\ 本記事で分かること /
  1. クライアントや仲介エージェントに送付する請求書に記載が必要な項目が分かる
  2. 請求書を作成する際の注意点が分かる
  3. 請求書関連のビジネスマナー・慣習を理解できる
目次

そもそも請求書はなぜ必要なのか?

請求書とは、商品やサービスの提供に対する代金の支払いを求める文書のことです。

実は請求書の発行は法律で義務付けられている訳ではありません。しかし、ビジネス取引の慣習として請求書は広く利用されています。

請求書が必要とされている理由は以下の通りです。

  1. 取引内容の明確化
  2. 支払いの促進
  3. トラブル防止
  4. 経理処理の正確性

取引内容の明確化

請求書には、提供した商品やサービスの内容、数量、単価、合計金額などが記載されます。これにより、取引内容を明確にし、双方の認識の違いを防ぐことができます。

支払いの促進

請求書には、支払期日や振込先などの情報も記載されます。これにより、支払い手続きがスムーズに行われ、支払い漏れや遅延を防ぐことができます。

トラブル防止

請求書は、取引の証拠として機能します。口頭での合意では、後から内容を確認することが難しく、トラブルに発展する可能性があります。しかし、請求書があれば、取引内容を書面で確認できるため、トラブルを未然に防ぐことができます。

経理処理の正確性

請求書は、経理処理の根拠資料としても重要です。会計上、代金として支払った金額を事業の「支出」として処理するためには、支出の実態を裏付ける書類が必要です。請求書に基づいて支払いを行うことで、適切な会計処理が可能となります。また、税務調査の際にも、請求書は支出の証明として役立ちます。

請求書を作成するタイミング

請求書の発行方式には、大きく分けて「都度方式」「掛売方式」の2つがあります。

都度方式は、取引が発生するたびに請求書を発行し、その都度支払いを受ける方法です。フリーランスコンサルタントが都度払い方式を採用する場合、プロジェクトの完了を持って請求書を発行することになります。つまり、期間が3か月のプロジェクトであれば、プロジェクト開始から3か月後の納品完了を持って、請求書を発行します。

一方、掛売方式は、一定期間(通常は1ヶ月)の取引をまとめて請求する方法です。フリーランスコンサルタントが掛売方式を採用する場合、1か月ごとに納品や業務報告を行い、クライアントの検収完了をもって請求書を発行します。

多くの事業者間の取引では、効率性を重視して掛売方式が採用されています。フリーランスコンサルタントからしても、毎月安定的にキャッシュを得られる掛売方式の方が望ましいといえます。

掛売方式の場合、請求書の発行タイミングは、あらかじめ設定された締め日に基づきます。多くの場合、締め日は月末となっており、締め日から請求まで以下の流れで進むことが多いです。

  1. 締め日に納品書と納品物をクライアントに提出
  2. クライアント側で検収を実施
  3. 検収で問題が無ければ、請求書を発行しクライアントに送付
  4. 請求書をもとに支払日に入金

なお、クライアントごとに、❶の納品書の提出期限や❸の請求書の送付期限が決まっていることも多いため、プロジェクトフィーの請求の流れについては事前に確認しておきましょう。

案件仲介エージェント側で請求書を用意してくれる場合も

案件仲介エージェント経由でコンサルティング案件に参画している場合、基本的にフリーランスコンサルタントの業務委託契約の相手は案件仲介エージェントとなっています。そのため、案件仲介エージェントに対して請求書を発行し、仲介マージンを差し引いたコンサルティング報酬を入金してもらいます。

案件仲介エージェントによっては、フリーランスコンサルタント側の負担を減らすために、請求書のフォーマットを用意してくれている場合もあります。

また、pastureのような業務委託の契約・発注・請求・支払を一元化できるクラウドサービスを利用し、以下の一連のプロセスをオンライン上で簡単に行えるようにしていることもあります。

  • コンサルティング業務委託契約の締結
  • フリーコンサルからの業務報告
  • エージェント側での検収
  • フリーコンサル側からの請求書発行
  • 支払い

案件仲介エージェントを利用する場合は、事前に請求フローについて確認しておくと良いでしょう。

請求書の作成方法(必要な項目)

前述の通り、請求書は法律で義務付けられたものではないため、正式なフォーマットやルールはありません。しかしながら、ビジネス上の慣例として記載すべき内容はある程度決まっています。

最近はインターネット上で請求書テンプレートが数多く公開されているため、それらの雛形を利用すれば問題ないでしょう。また、クラウド会計ソフトを利用している場合は、請求書作成機能も付帯していることが多いため、ウェブ画面上で必要な項目を入力するだけで請求書を作成することができます。

以下では、慣例的に請求書に記載すべき項目を説明します。

  1. 請求書の宛て先
  2. 請求内容の明細
  3. 金額
  4. 消費税
  5. 請求書の発行日
  6. 支払い期日
  7. 振込先
  8. 請求者(自分)の氏名・連絡先
  9. 請求書番号
  10. 特記事項

1. 請求書の宛先

請求書の宛て先は、取引先の正式な社名、部署名、担当者名を正確に記載することが重要です。時には、実際の取引担当者とは異なる部門(経理部門など)が指定される場合もあるため、事前に確認しておく必要があります。

2. 請求内容の明細

提供した商品やサービスの詳細を明記します。内容、数量、単価などを明確に記載し、取引先の発注書や契約書との整合性を確保することが求められます。

コンサルティングフィーの請求書では、以下のように明細を記載をすることが多いです。

内容数量単位単価
【XX月】案件名_業務委託費0.6
※稼働率が100%の場合は1.0
人月¥1,200,000
※月額報酬単価を記載

3. 金額

上記の通り、請求内容の明細に金額を記載します。明細の金額については、消費税を含まない金額(税抜き金額)で表示することが一般的です。ただし、請求書上には明細合計(税抜き)と消費税合計を合わせた「請求金額の合計金額」も記載します。

4. 消費税

税抜き金額の合計に基づいて、消費税額を計算し、明記します。税率が異なる項目(8%と10%)がある場合は、それぞれの税率ごとに税抜き金額の小計を計算し、それぞれの消費税額を記載します。その上で、消費税額の合計を表示します。なお、コンサルティングフィーの税率は10%です。

5. 請求書の発行日

請求書を発行した日付を記入します。通常、取引先の締め日に合わせて記載します。請求書の作成日ではないので注意しましょう。

6. 支払い期日

取引先との合意に基づいて、支払い期日を明記します。支払いの遅延を防ぐためにも、明確に記載することが重要です。なお、案件仲介エージェントが契約先の場合は、支払い日は翌々月10日や翌月末になっていることが多いです。

7. 振込先

代金の振込先となる銀行名、支店名、口座種類、口座番号、口座名義を正確に記載します。過去の取引実績があっても、省略せずに毎回記載するのが望ましいです。

8. 請求者(自分)の氏名・連絡先

請求書の発行者である自分の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを記載します。問い合わせや確認に備えて、連絡先を明示することが重要です。

9. 請求書番号

請求書の管理や照合を容易にするために、請求書番号を付与します。通常、発行年月と通し番号を組み合わせた形式(例:202304-001)が用いられます。

10. 特記事項

請求内容や支払いに関する特別な条件、注意事項などがある場合は記載します。例えば、振込手数料の負担者、分割払いの条件など、取引先との合意事項を必要に応じて明記します。

なお、適格請求書(インボイス)の場合は上記に加えて、「登録番号」や「税率ごとに区分して合計した税抜または税込対価の額および適用税率」等の記載も必要となります。

適格請求書発行事業者としてインボイスを発行する方は以下の記事も参考にしてください。

請求書作成における注意点

請求書を作成する際に注意すべきポイントについて説明します。

  1. 敬称の使い方に注意する
  2. 金額の書き方に注意する
  3. 源泉徴収について確認する

1. 敬称の使い方に注意する

請求書の宛て先に、クライアントや案件仲介エージェントの会社名や部署名、あるいは担当者の個人名を記載しますが、敬称の使い方に注意が必要です。

会社名のみを記載する場合〇〇株式会社御中
会社名+部署名を記載する場合〇〇株式会社〇〇部御中
会社名+部署名+個人名を記載する場合〇〇株式会社〇〇部〇〇

会社名や会社名+部署名のみを記載する場合は「御中」を使用しますが、会社名+部署名+個人名を記載する場合は「様」のみを使用します。なお、個人名はフルネームで記載しましょう。

2. 金額の書き方に注意する

金額を記載する際は、「¥」または「円」を付記し、数字には、3桁ごとに「,」を付けましょう。

3. 源泉徴収について確認する

特定の業種のフリーランスが法人から報酬を受け取る際、源泉徴収税額が差し引かれて入金されます。コンサルティング業務も源泉徴収の対象となっています。ただし実態としては、クライアントや案件仲介エージェントによって対応の有無はまちまちです。

源泉徴収をされる場合、請求書上に源泉徴収税額を記載するための欄を設けておくことをおすすめします。というのも、フリーランスコンサルタントの方が確定申告をする際、取引先ごとの源泉徴収税額を記載する必要があります。請求書上に源泉徴収税額を記載することで、確定申告時の計算がラクになるでしょう。

請求書に関するよくある質問

最後に請求書に関してよくある質問をまとめています。

振込手数料はどちらが負担する?

民法上は特段の意思表示が無い限り、振込手数料は代金を支払う側が負担するのが原則となっています。

しかし、契約書などで「代金を受け取る側が振込手数料を負担する」等と明記されている場合は、フリーランスコンサルタント側が負担することになります。

契約時に確認・明確にしておくべきですが、言い出しづらいこともあるでしょう。基本的には、契約書に特に規定が無い場合、請求書の備考欄等に振込手数料を負担してもらいたい旨を記載すれば、問題なく負担してもらえることも多いです。

なお、コンサルティング業界では、基本的に振込側が手数料を負担します。

請求書に印鑑は必要?

一般的に、取引先から「押印は不要」と明言されない限り、請求書には押印しておくべきです。個人事業主は個人の印鑑、法人化している場合は角印で押印しましょう。

クライアントによっては、「印影画像の印鑑」を電子印鑑として利用出来る場合もあります。また、電子契約クラウドサービス等で請求書のやり取りをする場合は、タイムスタンプ情報が組み込まれた電子印鑑を利用できることが多いため、押印がラクに行えます。

印影画像の印鑑とは?

印影画像の印鑑とは、ハンコの印影(ハンコを紙に押した跡)をスキャナーなどで取り込み背景を透過させて画像データ化したもののことです。自分自身で簡単に作成することができます。

タイムスタンプ情報が付与された電子印鑑とは?

タイムスタンプ情報が付与された電子印鑑とは、印鑑の作成者、押印者、押印日時といった識別情報を含んだ電子印鑑のことで、改ざんや複製をしづらいことがメリットとなっています。ただし、タイムスタンプ情報を付与するためには専用のシステムが必要となるため、自分自身で作成することは基本的に難しいでしょう。電子契約クラウドサービス等でタイムスタンプ付の電子印鑑を利用できることが多いです。

請求書の送り方は?

請求書については、郵送・メール・クラウドサービスのいずれかの方法でクライアントや案件仲介エージェントに送付します。

近年は契約書や請求書のやり取りのデジタル化が進んでおり、クラウドサービス上などでPDFデータを共有することも多くなっています。

もし、郵送による送付を依頼された場合は、以下の発送マナーを守りましょう。

  • 請求書はA4サイズで印刷する
  • 請求書は長形3号封筒に入れて送る
  • 封筒表面に「請求書在中」と記載する
  • 請求書は三つ折りにして封筒にいれる
  • 請求書を三つ折りにする場合は請求書表面を内側にして折り込む

なお、クラウド会計サービスなどでは請求書の郵送代行サービスを安価に提供しているため、面倒な方は郵送代行を依頼するのも手でしょう。

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