【フリーコンサル インタビュー(30代男性)】SIerとコンサルファームを経験し、フリーのITコンサルとして独立
大手SIerとコンサルファームでの経験を経て、フリーランスITコンサルタントとして独立した30代男性にお話を聞きました。独立のきっかけや案件獲得の方法、独立のメリットやデメリット等について伺いました。またご本人が経験された失敗談についても語っていただいています。
Interviewee Profile
新卒で大手SIerに就職。その後、大手コンサルティングファームに転職し、主にITインフラ領域のプロジェクトに従事。2020年にフリーランスのコンサルタントとして独立。
大手SIerとコンサルファームを経て独立
―簡単にご経歴を教えてください。
新卒で大手のSIerに入社し、インフラエンジニアとして保守開発案件等を中心に担当していました。その後、大手コンサルティングファームに転職し、主にITインフラ領域のPMO案件などを経験しました。2020年にフリーランスとして独立し、現在もフリーランスのITコンサルタントとして働いています。
―フリーランスとして独立したきっかけを教えていただけますか?
独立に至ったきっかけは大きく2つあります。
1つ目は、フリーランスのITエンジニアとして働いている友人から話を聞く機会があり、金銭面をはじめとしたフリーランスのメリットを知ったことです。
2つ目の理由は、ファーム内での昇進に時間がかかりそうだったことです。昇進には実力だけでなく、意外と運も必要であることを理解し、トントン拍子に昇進するのは難しそうだと感じたため、フリーランスに挑戦することを決意しました。
―独立するにあたって不安はありましたか?
もちろん不安はありました。どのようにして案件を獲得するのか、失敗して路頭に迷うのではないかという不安感がありました。
当初はエンジニア案件に参画するもミスマッチを痛感。
現在はITコンサルタントとして案件探し
―最初の案件獲得までどのように動かれましたか?
独立後、まずはフリーランスのITエンジニアとして働いている友人から、おすすめのエージェントを紹介してもらい、5~6社のエージェントに登録しました。登録後、エージェント側からオファーが来るようになり、その中の1つの案件に参画することになりました。
しかし、友人はITエンジニアだったため、紹介されたエージェントから来る案件は、私の専門性とは少しズレがあることに気づきました。結局、最初に参画したエンジニアの案件ではミスマッチを感じ、苦労することになりました。
この失敗を踏まえ、エンジニアではなくITコンサルタントとして案件を探すことが適していると判断し、フリーコンサル向けの案件紹介エージェントに登録し直しました。その結果、エンジニアの案件と比較して、案件単価が高く、労働条件も良いことがわかりました。それ以降は、ITコンサルタントとして案件を探すようにしています。
フリーランスになって未経験の領域に挑戦
―フリーランスコンサルタントとして独立してからはどのような案件に参画していますか?
独立後、これまでに4~5件ほどの案件に参画しました。その中の1つはセキュリティ関連のプロジェクトで、セキュリティに関するガイドラインの策定支援を行いました。 その他の案件では、主にインフラの仮想化移行や基幹システムのPMO案件に携わりました。
―SAP等の基幹システムのバックグラウンドもお持ちだったのでしょうか?
いいえ、SIerやファーム時代はインフラ領域が中心だったため、基幹システムの経験はありませんでした。フリーコンサルになってから初めて基幹システムの案件に携わる機会を得ました。 きっかけは、あるプロジェクトで基幹システムのデータ整理を行う人員募集に応募し、参画したことでした。その仕事が無事に終了した際、同じプロジェクトでPMOのメンバーを探していると声がかかり、継続して参画することになりました。このプロジェクトを通じて基幹システムの知見を身につけ、それ以降は基幹システム関連の案件を中心に参画するようになりました。
未経験の領域でもうまく対応できた理由は、基幹システムに強いITベンダー側のPMOチームの一員としてプロジェクトに参画したことが大きいと思います。PMOチームのリーダーの下でメンバーとして加わり、丁寧な受け入れをしていただきました。
また、基幹システムの知見はなくとも、コンサルファーム時代にITプロジェクトのPMOとして、進捗管理や課題管理などのプロジェクトマネジメントスキルを身につけていたことも、うまく対応できた要因だと考えています。PMO業務という意味では共通している部分もあったため、それが役立ちました。もちろん、最初は基幹システムについて覚えることが多かったのは事実ですが。
―案件の獲得については独立当初からずっと順調ですか?
はい、現在のところは何も不自由していません。エージェントから案件募集の連絡もよく頂いています。
ワークライフバランスや働き方はファーム時代と
大きくは変わっていない
―稼働率はいかがですか?
現在は稼働率50%の案件1つに絞っています。少し前までは稼働率50%と稼働率80%の2案件に同時に携わっていました。
―以前は全体としては稼働率が100%を超えていたということですね。
はい。複数案件の状態は10か月ほど続きましたが、正直しんどかったです。身体的には問題ありませんでしたが、稼働率が低い案件でもそれ以上にマインドシェアを取られてしまうためです。
―独立後のワークライフバランスの変化はいかがですか?
ファーム時代がリモートワークの過渡期で出社が多かったため、独立以降のリモートワーク中心の生活とは単純比較が難しいですね。 ただ、あまり劇的に変わったという感覚はありません。もちろん、フリーランスの方が働く時間を調整しやすい面はありますが、SIerからコンサルファームに転職したときの方が、労働環境の改善を実感しました。
―独立後、仕事の仕方やマインドセットの面で変わったことはありますか?
あまり大きな変化はないですね。SIerからコンサルファームに転職した際はある程度変わりましたが、独立前後ではそれほど変わっていません。仕事の内容もコンサルファーム時代と大きく変わっていないですし。
―独立して大変だったことはありますか?
もちろん案件自体が大変だったことはありますが、フリーランスだからという理由で特別大変だったことはあまりないですね。例えば、フリーランスになることで起きる変化には、「案件を自分で取ること」と「税金関係」が挙げられますが、案件探しについてはエージェントに登録すればすぐに紹介してもらえますし、税金周りについてもあまり大変だとは感じませんでした。
―独立すると気軽に相談できる同僚がいなくなる点に大変さを感じる方もいます。
私はプロジェクトチームにメンバーとして入ることが多いのですが、同じチームの方がきちんと受け入れをしてくださるので、相談できなくて悩んだことはあまりないです。孤独感のようなものも多少あるのかもしれませんが、参画している案件での飲み会もあったりするので、それほど感じていません。
また、エージェントも発注元との調整については間に入ってくれます。例えば、案件から抜けたい時や病気で休みを取りたい時に、実際に間に入って調整してくれました。
収入は3倍に。
一方で仕事の“面白さ”の面でデメリットを感じる
―フリーランスコンサルタントになって収入面はどう変わりましたか?
ファーム時代と比較すると、単純に3倍ほどになったと思います。単価感でいうと、基幹システム関連の案件では150万円を超えています。
―フリーコンサルとして3年以上働かれているということですが、法人化はしていますか?
はい、最初は個人事業主として開始しましたが、税金的なメリットなどを考慮して、途中で法人化しました。法人化後は決算業務などを税理士に依頼していますが、様々な税金の仕組みを知ることができて、個人的には面白かったです。
―フリーランスコンサルタントとして独立するメリットは他にありますか?
やはり社内業務がないことは大きいですね。よく分からない内部ミーティングに呼ばれることもないので、案件のデリバリーに集中できます。
―逆にデメリットはありますか?
プロジェクトの重要な意思決定に関与することが少なくなった印象はあります。プロジェクト全体の状況を見ながら、人員のやりくりを考えたりするところもPMOの醍醐味の1つだと思いますが、そういった意思決定には関われません。そういう面では、社員としてプロジェクトに関わっている人の方が面白そうだなと感じることはあります。
今後はフリーコンサルと並行して事業づくりに挑戦したい
―独立後、キャリアアップやスキルアップの面で意識していることはありますか?
そこは意識しています。ファーム時代のように職位が上がっていくわけではないので、意識的に対応できる領域を広げています。 また、せっかく独立したので、自分で何か事業をやりたいとも考えています。
―起業とフリーコンサルを並行してやられる方も増えています。
フリーコンサル案件は単価が高いので、それを原資として自分がやりたいことをやるというのは理にかなっているというか、挑戦しやすいですね。
―今後のキャリアについてはどのように考えていますか?
45歳くらいまでにはクライアントワークというよりは、自分の事業で生計を立てられるようにしたいと考えています。そのため、フリーランスコンサルタントとして安定的にキャッシュを稼ぎつつ、そのお金を元手に自分のやりたいことに挑戦したいです。
―最近フリーコンサルに興味がある方も増えていますが、何かアドバイスはありますか?
知り合いから聞いた話ですが、コンサルファームに勤めているにも関わらず、システム設定等の業務ばかりをしている方もいるそうです。その場合、フリーランスとして独立しても、なかなか良い条件の案件がないため、ファームでクライアントの意思決定を支援するような業務を経験しておくことをおすすめします。やはり、クライアントとコミュニケーションを取りながら、要件定義を詰めていけるような人の方が、ITコンサルとして独立した際も良い案件に入れる可能性が高まります。
また、ファームに少なくとも2年以上はいた方が良いと思います。フリーコンサル案件の募集要項でも「ファームでの2年以上の経験」を要件としているものをよく見かけます。
タイトルという意味ではマネージャーを経験していると良いと思いますが、私自身はマネージャーに昇格する前に独立したので、コンサルタントやシニアコンサルタントと呼ばれるような職位の方でも独立は可能だと考えています。
―本日はお話をありがとうございました!
フリーランスコンサルタント完全ガイド
フリーランスのコンサルタントとして独立・成功するために知っておくべきことを網羅。フリーコンサルの始め方・開業から案件獲得までの流れ・エージェントの選び方などを知りたい方は、「【完全ガイド】フリーコンサルの始め方や案件獲得のポイントを徹底解説」も合わせてご覧ください。
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