Big4マネージャーからメガベンチャー経営企画へ──“意思決定する側”を目指したキャリア転機

Interviewee Profile
Big4コンサルティングファーム2社にて、主にM&A領域のプロジェクトに従事し、マネージャーまで昇進。現在はメガベンチャーの経営企画部門にて、複数事業の戦略立案・事業管理に携わる。
ご経歴と現在の業務内容
-簡単にご経歴を教えてください
新卒でBig4の1社に入社し、主にM&A領域のプロジェクトに従事していました。その後、別のBig4の戦略ユニットへと転職し、戦略策定やM&Aに関連する案件を幅広く経験しました。ファームではManagerまで昇進した後、現在のメガベンチャーに転職しました。現職では経営企画部門に所属し、複数事業の予実管理や事業戦略の立案に携わるほか、自社のM&A戦略の検討にも関与しています。
-具体的にはどのような業務を担当されていますか?
主には、会計・財務の観点から各事業の業績モニタリングを行っています。具体的には、月次の予算に対して実績がどうだったのか、そして今後の見通しはどうなるのかを把握し、その分析結果をもとに経営層、特にCxOレベルにレポーティングする役割を担っています。いわゆる管理会計的な数字を集計・分析し、経営判断の材料を提供することが主な業務です。
また、並行してある事業に対しては、中期経営計画の策定にも関与しています。事業側と密に連携しながら、戦略立案から伴走して支援する形で動いています。
-働き方としては、チームで動く形ですか?それとも個人での動きが中心でしょうか?
経営企画部門全体としては、どちらかというと個人で動くスタイルに近いです。マネージャーはいますが、各メンバーがそれぞれ異なる事業を担当しており、基本的には個々に任されている部分が大きいと感じています。
-事業状況の報告を通じて経営層の考えも把握されていると思うのですが、そうした視点を踏まえて、事業側にフィードバックを行うこともあるのでしょうか?
はい、まさにその通りです。経営層へのレポートを通じて得られる視点や期待値を踏まえながら、事業側に対しても適宜フィードバックを行い、戦略や計画の修正に活かしてもらうようにしています。単なる数字の報告にとどまらず、事業側と経営層の橋渡しをするような役割も担っていると感じています。
コンサル時代の経験
-コンサルファーム時代に携わったプロジェクトについて具体的に教えてください
M&A関連の案件を中心に、セルサイド・バイサイドの双方を経験しました。
バイサイドでは、戦略策定や買収候補先のリストアップといった上流工程を担当しました。一方でセルサイドでは、売却先候補の選定からデューデリジェンス(DD)の実施、最終的な契約締結まで、一連のプロセスを一気通貫で支援した経験があります。

転職のきっかけと意思決定
-転職のきっかけを教えてください
コンサルタントとして数多くのプロジェクトを推進する中で、最終的な意思決定はやはり事業会社側にあると強く感じる場面が多くありました。そのため、将来的には自分も「アドバイザー」ではなく「意思決定する側」として、より事業に近い立場で物事を動かす経験をしたいという思いを持っていました。
とはいえ、コンサルに来たからにはまずマネージャーまではやり切りたいという気持ちもありましたので、実際にマネージャーになったタイミングで、事業会社への転職を本格的に考え始めました。
-転職活動自体はどれくらいの期間行いましたか?
全体としては半年ほどかけて情報収集や検討を行っていましたが、実際に現職の選考を受け始めてから内定に至るまでは、約1ヶ月ほどでスムーズに進みました。
会社選びの軸と待遇面
-今の会社を選んだ理由を教えてください
転職にあたっては、「自分が今やりたいこと」と「待遇面」の両方を重視していました。
まず、やりたいことという点では、もともと関心を持っていた特定の業界があり、その業界に関連する事業を展開している会社であることが前提でした。加えて、私自身のこれまでのキャリアは、コングロマリット型の企業をM&Aなどを通じてどう再構築し、シナジーを生み出すかというテーマに携わってきたため、複数の事業を展開し、それらを有機的にマネジメントしている会社に惹かれました。結果として、その条件を満たす企業は一部のメガベンチャーに限られるという結論に至りました。
待遇面については、いわゆる日系の大手事業会社からはあまりスカウトが来ませんでした。コンサル業界では比較的若い年齢でも高い報酬を得ることができますが、大手事業会社では年功序列的な報酬体系が多く、年齢に見合う金額とのギャップが生じやすいと感じました。結果として、そうした企業は自然と選択肢から外れていきました。
-待遇面の話が出ましたが、Big4マネージャー時代の年収は維持できたのでしょうか?
完全に維持できたわけではなく、ある程度は下がりました。ただ、自分の中では想定していた範囲内で、年収が大きく下がることなく抑えられたとは思っています。マネージャーとしての働き方と比べれば、年収が下がるのは当然という認識もありましたし、「年収1,000万円を下回らなければよいかな」というラインで考えていたので、その意味では納得感のある転職だったと思います。
仕事のやりがいと成長実感
-今の仕事を通じて、面白み・やりがいを感じている部分はどのあたりですか?
経営層に対して、定常的に数字の報告や提案を行いながら、それらを一緒に考え、つくり上げていけるところは、大きなやりがいの一つだと感じています。自分の分析や示唆が、意思決定の土台になっていく実感があります。
また、これは完全に個人的な好みですが、事業の領域が広く、関わるテーマが多岐にわたるので、コンサル時代のような「プロジェクト感」に近い要素もあります。次々と新しいテーマに向き合える環境なので、興味を失わず、常に前向きに仕事ができていると思います。
直面している課題や変化
-現在、苦労していると感じる点はありますか?
苦労している点の一つは、コンサル時代と違って「明確なカウンターパート」がいないことです。コンサルでは、基本的にプロジェクトにおける意思決定者が明確にいて、その人と対話しながら進めていけばよかったのですが、事業会社ではそう単純ではありません。
たとえば、形式的には役員が意思決定者に見えても、実際には社内の根回しや調整を経ないと進まないケースも多い。誰に話を通しておくべきか、誰が実質的に影響力を持っているのか、といった“見えづらい力関係”を把握するのは、転職して間もない立場だと正直難しいところがあります。そこは今でも模索しながら進めている部分です。
-ワークライフバランスにはどのような変化がありましたか?
劇的に変わったというわけではないですが、体感としてはだいぶ改善されたと思います。コンサル時代、とくにマネージャーになってからは、営業として案件を取ってきながらデリバリーも担うという、両面のプレッシャーが常にありました。成長につながる部分ももちろんありましたが、精神的にもかなり追い込まれる場面が多かったのは事実です。
今は働く時間そのものも以前より短くなりましたし、精神的にもかなり健全な状態で仕事ができていると感じています。たとえば忙しい時期でも、業務開始は10時ごろで、遅くとも夜8~9時には終えられることがほとんどです。もちろん繁忙期にはもう少し遅くなることもありますが、全体としてはだいぶ余裕のある働き方ができています。
ポストコンサルキャリアへのアドバイス
-今コンサルファームにいる方に向けて、ポストコンサルキャリアの観点でアドバイスをいただけますか?
自分は比較的「ノリと勢い」で転職を決めたところもあるので、もう少し計画的に考えておけばよかったなと思う部分も正直あります(笑)。ただ、振り返ってみると大事だったのは、「自分が転職で何を優先したいのか」を明確にすることだったと思います。
たとえば年収、やりたいこと、ワークライフバランス——このあたりの優先順位って、人によって違うし、年齢やライフステージによっても変わってきます。なので、なんとなく興味がある会社を受けていくというよりは、まず自分なりの軸を持つことが重要です。そして、その軸に本当に合う会社が見つかってから動く。忙しい日々の中でも、常にその視点を持っておくことが、結果的に納得のいくキャリア選択につながると思います。
もう一つ、これはあくまで個人的な考えですが、コンサルファームのいいところは「出戻りがしやすい」点だと思っています。実際、自分も転職時には「最悪戻ればいいか」と思えるように、上長とは円満に関係を築いたうえで辞めました。別に本当に戻る必要はないと思いますが、戻れる環境を保っておくだけでも、転職に踏み切るときの心理的ハードルはかなり下がるんじゃないかなと思います。
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