2024年版:コンサルから事業会社への転職トレンド 〜求められる人材と人気の転職先を徹底解説〜
近年、コンサルティングファームの増加や規模拡大が著しい中、ポストコンサルキャリアへの関心が高まっています。中でも、コンサルティングファームから事業会社への転職は、多くのコンサルタントがネクストキャリアの選択肢として注目しているキャリアパスの一つです。
本記事では、コンサルティングファームから事業会社への転職において求められる人材像や人気の転職先について、ポストコンサル転職を成功させた方々の生の声を交えながら、詳細に解説していきます。
コンサルティング業界で培ったスキルや経験を活かし、事業会社で新たなキャリアを築くことを目指す方にとって、本記事が一助となれば幸いです。
コンサルから事業会社への転職における最新トレンドは?
スタートアップの人気が高まっている
コンサルティングファームから事業会社への転職における最新のトレンドの一つに、スタートアップへの転職の増加が挙げられます。近年、国内のスタートアップ業界が活況を呈する中、ストックオプションなどの経済的リターンや社会変革に挑戦する仕事そのものの面白さに魅力を感じ、コンサルティングファームからスタートアップへ転職する方が少なくありません。また、近年の良好な調達環境を背景に、有望なスタートアップでは提示される年収水準が上昇傾向にあることも、この流れを後押ししていると考えられます。
シード・アーリー期のスタートアップへ経営陣や経営幹部候補として転職する方が一定数存在する一方、大型調達を実現したレイター期のスタートアップや上場スタートアップへの転職者も増加しています。上場スタートアップの場合、ある程度企業としての安定性が確保されており、チャレンジングな仕事に取り組みながらも、一定のワークライフバランスを保ちつつ働くことができるという点で、人気を集めています。
大手の日系事業会社への転職者も増えている
コンサルティングファームから大手の日系事業会社への転職者も増加傾向にあります。この背景には、大手企業における中途採用の普及や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる人材へのニーズの高まりがあります。一方で、コンサルタントにとっても、ある程度のワークライフバランスを維持しながら、日本を代表する企業の変革に携わることができるキャリアパスとして、大手日系事業会社への転職が選択されています。
日系の事業会社としては、メーカーや商社を始めとして、様々な業界・分野でコンサルティングファーム出身者が活躍し始めています。
事業会社へのキャリアパスとしては、外資系企業も依然として人気を集めています。製薬企業やIT企業、製造メーカーなどの選択肢があり、高い収入水準とワークライフバランスの実現が可能なキャリアとして知られています。外資系企業特有のダイナミックな環境の中で、グローバルな視点を持ちながら活躍することに魅力を感じるコンサルタントも多いでしょう。
どんなコンサル人材が求められている?
当然、企業によって求める人材の役職、専門性、スキルセット、価値観などの細かい要件は異なりますが、求められるコンサル人材の特徴には共通点もあります。
スタートアップ:ベンチャー環境に適応できる人材
スタートアップ企業へ転職したコンサルティングファーム出身者が最も戸惑うのは、スタートアップ特有の意思決定の速さや行動力の高さです。大手クライアントを相手に丁寧な合意形成を経て意思決定を支援していたコンサルタントにとって、この環境の違いにギャップを感じるのは自然なことでしょう。
ポストコンサル人材(Big4⇒ブティック⇒上場スタートアップ)
インタビュー・体験談
最も大きなギャップを感じたのは、意思決定に至るまでのスピード感でした。「とりあえずこの方向で良いだろう。後は走りながら修正していけば良い」という考え方で物事が進められ、そのスピードの速さに最初は戸惑いを覚えました。
~わずか30分の打ち合わせで、スライド資料も用意せずに、Wordテキストベースや口頭ベースで会議が行われ、かなり重要な事項がどんどんと決定されていくのを目の当たりにし、驚きを隠せませんでした。追加検討が必要な論点があっても、後日Slack上で検討内容を共有し、すぐに承認が下りて進行していくというスピード感に、正直なところ入社当初の2~3か月は「この会社は本当に大丈夫なのだろうか」と不安を感じることもありました(笑)
こうした状況で求められるのは、いかに速やかにスタートアップの環境に適応し、泥臭く行動しながらスピーディに事業を推進していけるかということです。コンサルティング時代のプライドは一旦脇に置き、スタートアップで求められる思考・行動様式にアジャストすることが重要です。その上で、元コンサルタントとしての強みである論理的思考力や、俯瞰的・構造的に課題を捉える力を発揮することで、スタートアップでの活躍が可能となるでしょう。
したがって、スタートアップが求めるコンサルティングファーム出身者とは、ベンチャーの環境に適応できる柔軟性を持ち、その覚悟を持って転職に臨む人材だと言えます。
大手日系事業会社:組織の論理を理解し、変革を推進できる人材
コンサルティングファームではクライアントの多くが大手企業であるため、コンサルタントは大企業特有の仕事の進め方について一定の理解を持っているかもしれません。特に、元々事業会社出身でコンサルティングファームに転職した方にとっては、よくご存じでしょう。
一方で、新卒でコンサルティングファームに入社した方など、大手企業の実情に詳しくない方は、転職後に外部からの支援と内部で働くことの大きな違いを実感するかもしれません。大手企業において変革を推進するためには、様々な部門・部署の協力を得ることが不可欠です。その際、論理的な正しさだけでは人や組織を動かすことは難しいと言えます。人間関係を構築しながら、感情と論理の両面から周囲を巻き込んでいく行動力が求められるのです。
大手企業がコンサルティングファーム出身者に期待するのは、論理性や主体性、推進力といったコンサルタントの強みを発揮しつつ、大手企業の環境でうまく適応していく能力です。同じ部署の上司や同僚の力を借りながら社内の人脈を広げていくことや、仕事を通じて信頼を獲得していく行動が必要不可欠でしょう。
コンサルタントとしてのバックグラウンドを活かしながらも、大手企業の文化や慣習を理解し、組織になじめる柔軟性もあわせ持つ人材が求められています。
ポストコンサル人材(総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
人脈を広げる点では、上司に頼ることが多いです。上司に紹介してもらい、関係部署とのミーティングを設定してヒアリングを行ったり、時には懇親会も開いてもらっています。こうした取り組みを通じて、少しずつ社内の人脈を広げているところです。
一方で、築いた人脈を深めることも意識しています。具体的には、スピード感のある質の高いアウトプットを常に心がけることです。自分の仕事ぶりを通じて、「この人なら大丈夫そうだ」と思ってもらえることを意識しています。
コンサルには戻れるからこそ、挑戦すべきという声が多い
ポストコンサルキャリアを歩んでいる方にインタビューをした際に、最も多かったアドバイスが「コンサルタントには戻れるからこそ、興味がある業界や会社があるなら、思い切って挑戦すべき」という声でした。もちろん、コンサルティングファームで数年の経験を積み、しっかりとコンサルタントとしての実力をつけていることを前提とした話ですが、国内のコンサルティング市場が拡大し続けている中で、コンサルティング業界は良い意味で「戻れる業界」です。
だからこそ、何かに興味があったり、キャリアに悩みがあったりするのであれば、一度他の世界に飛び出してみて、実態を知ったうえで、やっぱりコンサル業界に戻るのか、それとも別の業界でやっていきたいと思うのか判断すれば良いのかもしれません。
ポストコンサル人材(大手コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
ポストコンサルのキャリアに悩んでいるのであれば、一度コンサルティングファームを出て、外の世界で挑戦してみることをおすすめします。コンサルティング業界は、いい意味で「戻れる」業界だと私は考えています。実際に外の世界に出てみて、改めてコンサルタントの市場価値の高さを実感しましたし、現時点では国内におけるコンサルタントの需要は高いと言われています。もちろん、5年後の状況は不透明ですが、今はコンサルティング業界から飛び出してみる絶好のチャンスなのではないでしょうか。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
ライフステージに応じたキャリア設計も可能だと考えています。例えば、子育て期は事業会社で働き、子供の成長後にコンサルティング業界に復帰するといった選択肢も十分にあり得ると思います。「コンサルタントとして十分な経験を積んだ」と認められるだけの勤務年数と実績を有していれば、自身のライフサイクルに合わせてキャリアを柔軟に構築していくことも良い選択肢の一つではないでしょうか。
ポストコンサル人材(Big4⇒ブティック⇒上場スタートアップ)
インタビュー・体験談
コンサルティング会社にどれくらいの期間在籍したかにもよりますが、3年から5年ほどコンサルタントとして働けば、規模を問わずコンサルティング業界に戻ることは比較的簡単だと思います。そこで自分が活躍できるかどうかは別の問題として、少なくとも面接などの採用プロセスは突破できるのではないでしょうか。
もし外の世界に興味があるなら、一旦飛び出してみて、そこで経験を積んでから考えればいいと思います。コンサルティング会社に戻るのはそれほど難しくありません。プロジェクトマネジメントスキルがあり、教育コストが少なく、すぐに稼働できる元コンサルタントは、どのコンサルティングファームにとっても魅力的な人材だからです。
コンサルから事業会社へ転職する理由・動機
ここではコンサルから事業会社へ転職した方の声をもとに、よくある転職の理由や動機についてまとめます。
コンサルティングファームから事業会社へ転職する際の理由・動機としては以下の5点が挙げられます。
- 更なるスキルアップを図りたい
- 事業の立ち上げやグロースに当事者として挑戦したい
- ワークライフバランスを改善したい
- 3年・M昇格などの区切りを決めていた
- コンサルティングワークに対して疑問を持った
更なるスキルアップを図りたい
コンサルティングファームで数年の経験を積んだ後、スキルアップの幅やスピードに停滞感を覚える方もいます。こうした方々は、事業会社に新たな活躍の場を求めることがあります。培ってきたコンサルティングスキルを活かしつつ、実際の事業改善に携わることで、自身のスキルや市場価値をさらに高めることを目指すケースです。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
同じ環境にとどまるよりも、培ってきたスキルを最大限に発揮できる場所へ移ることで、自身の価値をさらに高められるのではないかと考えました。
事業の立ち上げやグロースに当事者として挑戦したい
コンサルタントとしてクライアントの戦略策定や新規事業立ち上げ、業務改善などに関わる中で、当事者として意思決定権を持ちながら事業の成長に挑戦したいと考える方もいます。こうした方々は、スタートアップ企業の事業開発・企画ポジションや大手企業のDX部門などへの転職を選択することがあります。
ワークライフバランスを改善したい
結婚や子育てなどを機に、ワークライフバランスの改善を目的として、事業会社への転職を希望する方も少なくありません。近年コンサルティングファームでも長時間労働の改善が進んでいるとはいえ、マネージャー以上の負荷はそれほど下がっていないという話もよく聞きます。ライフステージの変化に合わせて、マネージャーやM昇格目前のシニアコンサルタントなどが、ワークライフバランスの観点から、事業会社への転職を検討する印象があります。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
転職を決意した理由は大きく2つです。まず1つ目は、ワークライフバランスの改善を図りたいという理由です。私には2人の子供がいるのですが、コンサルティング業務では朝から夜遅くまで働くことが常態化していました。プライベートも大切にしていきたいと考えた時、このような状況は好ましくないと感じていました。
「3年」・「M昇格」などの転職タイミングをあらかじめ決めていた
将来的に起業・独立を考えている方に多いパターンですが、あらかじめ3年目やマネージャー昇格などのタイミングで転職することを決めている方もいます。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→外資系事業会社)
インタビュー・体験談
マネージャーへの昇格がコンサルタントのキャリアにおける一つの区切りだと考えていたからです。そのタイミングで、コンサルファームに残ってシニアマネージャーやパートナーを目指すのか、あるいは別の道を選ぶのかを真剣に考えるようになりました。
コンサルティングワークに対して疑問を持った
コンサルティング会社の活用が普及してきた中で、従来のような戦略案件だけでなく、実行領域まで伴走支援するような案件も増えています。変化が激しく、戦略の前提条件がすぐに変わる現代において、クライアント自身が伴走での支援を求めており、それ自体の価値は高いといえます。しかし、高額なフィーを払ってまでコンサルタントに伴走支援を依頼することが本当にクライアントのためになっているのか、疑問を感じる方もいます。コンサルティングという仕事に真摯に向き合う中で生じたこうした葛藤が、転職の理由・動機になるようです。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→外資系事業会社)
インタビュー・体験談
クライアントがコンサルタントを常駐させて多用している状況に違和感を覚えたことです。クライアントはコンサルタントに対して高額なフィーを支払っているわけですが、その分を自社の社員に還元した方が良いのではないかと感じていました。もちろん、戦略立案などのトラディショナルなコンサルティングもあると思いますが、昨今はコンサルタントが常駐して社員代替的に働くことが多くなっているのが実情です。そういった中で、クライアントがより自発的に成長することを支援する立ち位置で働きたいと考えるようになりました。
コンサルから事業会社へ転職するメリット
コンサルタントが事業会社へ転職するメリットについても、実際に事業会社へ転職した方の声をもとにまとめます。メリットとしては、以下6点が挙げられます。
- 自ら意思決定ができる
- 当事者として、事業に中長期で取り組める
- 実績を数字で語れるようになる
- ワークライフバランスが改善する
- 転職先で、希少人材として価値を感じてもらえる
- キャリアの選択肢が広がる
自ら意思決定ができる
コンサルティング会社から事業会社へ転職した人々が、頻繁に挙げるメリットの一つが「自ら意思決定ができる」という点です。もちろん、役職やポジション、大手企業かスタートアップかによって、裁量の範囲は異なります。しかし、基本的に事業会社では、自身の裁量と予算の範囲内で意思決定を下し、事業を推進していくことができます。自分で仮説を立て、実際に意思決定を行い、リソースを投入し、その成果が直接目に見えるというプロセスは、一度経験すると、非常に面白みとやりがいを感じるものです。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
自分たちで意思決定ができているという実感が強くあります。新機能の開発や事業計画の策定など、会社の方向性に関わる重要な意思決定に直接関与できることは非常に大きな魅力です。この点も面白さややりがいにつながっていると思います。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→スタートアップ)
インタビュー・体験談
経営リソースに直接タッチできるのが面白いです。人員配置を変更したり、OKRやKPIの設定に関わったりと、急成長する組織の中で、これらを自分の裁量で日々アップデートしていく過程が非常に面白いです。
転職直後はマネージャーとしてのポジションからスタートしましたが、その時点でも、例えば販促費用数千万円の使途を自分で自由に決められる等、かなりの裁量を任されていました。自分の裁量で経営リソースを使って、ビジネスができるのはスタートアップで働く面白さの1つだと思います。
当事者として、事業に中長期で取り組める
「当事者として、事業に中長期的に取り組める」という点も、事業会社への転職者が頻繁に挙げるメリットの一つです。中長期的な視点でPDCAサイクルを回しながら、事業を進化させていくこと自体に面白さを感じる人や、戦略を実行に移し、結果に責任を持つプロセスにやりがいを感じる人など、腰を据えて事業に取り組めることに、多くの人がやりがいや面白さを感じています。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
自社のプロダクトやサービスを持っていることの面白さを強く感じています。プロダクトを通じてお客様を変えていけることや、プロダクト自体をアップデートしてその価値を高められることは、非常に大きなやりがいにつながっています。
ポストコンサル人材(戦略ファーム→日系事業会社(古巣))
インタビュー・体験談
実際にその戦略を実行し、結果を出していくというのは、事業会社でしか味わえない経験だと感じています。事業会社では、時にはコンサルティングファームの助けを借りることもありますが、基本的には自分たちで考えた戦略を、実行に移し、その結果に責任を持たなければなりません。この一連のプロセスは、非常にエキサイティングであり、事業会社ならではの醍醐味だと言えます。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
事業会社に身を置くことで、自分の手で最後までやり遂げられるという点に魅力を感じます。また、社内にいることで、自分の意見を聞いてもらいやすいという印象も持っています。コンサルタントとしてクライアントに提案するのと、事業会社の一員として社内で提案するのでは、後者の方が相手にとって納得感が高いようで、「確かにそうだよね」と共感を得られる場面が多いと感じています。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→スタートアップ)
インタビュー・体験談
私は現在のスタートアップで3年以上働いています。この期間を通して、ある時点では最適解だったものが、時代の流れや組織の成長、株価の変動、円安の影響などによって、別の最適解に変化していく様子を目の当たりにしてきました。つまり、様々な要因がどのように作用し、事業環境がどう変化していくのかを、一定の期間を通して経験できたことが良かったと感じています。
ポストコンサル人材(Big4→大手メーカー)
インタビュー・体験談
期間を限定せず、現場に役立つと思われる改善は積極的に取り入れ、実際に使ってもらえるまで関与し続けられるのは、社内の人間ならではの良さだと思います。
ポストコンサル人材(Big4→ブティック→上場スタートアップ)
インタビュー・体験談
実際に自分が実施した施策によって、事業が上手くいったり、上手くいかなかったりするところが、やっぱり1番面白いんじゃないかと思います。自分の行動と事業の成果が直結しているところですね。
実績を数字で語れるようになる
キャリア的なメリットとして、実績を数字で語れるようになることを挙げる人もいます。実際、コンサルティング会社で働いていると、自分の成果を数字で表現するのは簡単ではありません。
もちろん、マネージャー以上でセールスの責任を負っている場合は、目標に対する成果などを数字で話すことも可能です。しかし、大手ファームの場合、看板の力も一定程度あるため、どこまでが個人の力・工夫による成果なのかを判断するのは難しい面もあります。特に、デリバリーが中心のメンバー層にとっては、実績を数字で示すのはより困難でしょう。キャリアを考える上で、数字で実績を示せるようになることは重要なポイントの一つです。そういった意味で、一度事業会社で一つの事業に取り組み、成果を出すことは、キャリア的に大きなメリットになるかもしれません。
ポストコンサル人材(Big4→ブティック→上場スタートアップ)
インタビュー・体験談
事業について、「こういった状況下で、このように考え、こういった施策を打ち、このような結果を出した」ということを、解像度高く語れるようになれば、スタートアップ業界においては数多くのキャリアチャンスが広がるでしょう。また、大手企業が新規事業を立ち上げようとする際にも、そのような経験を持った人材は稀少であり、高く評価されるはずです。元々コンサルティングの経歴を持ちながら、実際に事業サイドに入り、事業の立ち上げやグロースを成し遂げられる人材は、市場での価値が非常に高いのではないかと考えています。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→スタートアップ)
インタビュー・体験談
自分で新規事業を1つ作り上げることができたことです。自ら事業に名前をつけて、ゼロから立ち上げ、ファーストユーザーを獲得するまでの一連のプロセスをリードしました。その後、その事業は他の事業部長に引き継ぎましたが、マスメディアにも取り上げてもらえるほどの成長を遂げており、良い経験となりました。
ワークライフバランスが改善する
事業会社への転職のメリットとして、ワークライフバランスの改善を挙げる人も非常に多いです。特に、マネージャーとしてコンサルティング会社で働いていた人が、大手日系事業会社や外資系事業会社、上場スタートアップなどに転職した場合、ワークライフバランスが大幅に改善するケースが多いようです。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
ワークライフバランスについては、大幅に改善されたと実感しています。現職では、1日の労働時間は8時間から9時間程度に収まり、プライベートの時間も十分に確保できるようになりました。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→外資系事業会社)
インタビュー・体験談
1つ目は働きやすさの面で改善されたことです。特に、20代後半から30代にかけては、プライベートで様々な変化が起こるタイミングだと思いますが、現在はリモートワークも可能で、働く場所はあまり問われません。また、やるべきことをきちんとこなしていれば、ある程度の時間の融通も利きます。コンサルティングファームの時は、クライアント先に常駐することが多く、このような働き方は難しいケースもありましたので、この点は大きな改善だと感じています。
ポストコンサル人材(Big4→大手メーカー)
インタビュー・体験談
現職では月間の残業時間は20時間程度です。働き方としては、在宅勤務と出社の日がありますが、私は家に早く帰って子供と一緒に過ごしたいので、出社の時は朝6:30には出社して、早めに帰宅しています。
コンサル時代との違いでいうと、自分でスケジュールをコントロールしやすい点が挙げられます。コンサルティングファームでは、クライアントワークが中心なので、お客様が遅めの時間に働いている場合、どうしても夕方や夜にミーティングが入ってくることがあります。しかし、現職では都合の悪い時間帯はブロックしておけば良いので、スケジュールの調整がしやすいです。
転職先で、希少人材として価値を感じてもらえる
ポストコンサル人材が増えてきたとはいえ、事業会社におけるコンサル出身者の数はまだ多くありません。そのような状況の中で、論理的思考や仮説思考などのコンサルティングスキルが重宝されるケースも多いです。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
現職では、プロパーの方が多数を占めていますが、そこにコンサルティング出身の私のような人材が加わることで、彼らとは違った視点からの気づきを提供できる面はあると感じます。例えば、本来あるべき姿と現状のギャップに気づいたり、改善の余地がある部分を発見したりすることはよくあります。事業会社内でコンサルティング出身者が少ないからこそ、自分の価値を発揮しやすい面があるのかもしれません。希少性のある存在として重宝されていると感じており、自身のスキルや経験を存分に活かせる環境にあると言えます。
キャリアの選択肢が広がる
事業会社での経験を積むことで、キャリアの可能性の広がりを実感する人も多いです。単なる感覚的な話ではなく、実際に転職案件としても、コンサルティング会社と事業会社の両方の経験を持つ人材を求めるオファーが届くようになるなど、キャリアの可能性が広がったことを実感している人もいます。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→外資系事業会社)
インタビュー・体験談
キャリアの選択肢が広がったことです。エージェント等から転職案件のご紹介をいただくことがありますが、その際、コンサルティングファームと事業会社での経験を掛け合わせたようなオポチュニティの話を頂くことがあります。転職をしたことで、キャリアの幅が広がったと感じています。
事業会社へ転職すると楽になる?
結論から言えば、事業会社へ転職しても、仕事の大変さの性質が変わるだけであり、必ずしも楽になるわけではありません。確かに、コンサルティング会社での勤務と比べると、労働時間は減る可能性があります。しかし一方で、事業会社では、責任を持って事業で結果を出すことが求められます。結果を出せるかどうかは、市場環境や競争環境などの外部要因にも大きく左右されるため、自分たちが懸命に努力しても、必ずしも望んだ結果が得られるとは限りません。
これは、コンサルティング時代のように、自分たちがデリバリーで懸命に頑張ってクライアントの信頼を得れば、契約(売上)につながるというのとは異なります。このように、結果が出るかどうか分からない状況の中で、中長期的な視点を持って様々な施策を打ちながら成果を上げていくのは、長距離マラソンのような大変さと精神的なプレッシャーを伴うものです。したがって、「楽そうだから事業会社に転職しよう」という考え方では、転職後に活躍することは難しいかもしれません。
コンサルから事業会社へ転職するデメリット
コンサルティングファームから事業会社へ転職するデメリットとしては、以下3点が挙げられます。
- 年収が下がりやすい
- 新しい知識を得る機会は減る
- 大手では縦割り文化・意思決定者の多さなどの非効率も存在する
年収が下がりやすい
日系大手企業の中には、未だに給与テーブルに従って年次で年収が決定される会社も存在します。中途採用者のスキルや市場価値に応じて、個別に適切な額のオファーを提示することが難しい場合もあるでしょう。また、スタートアップ企業においては、ストックオプションを付与する代わりに、給与水準自体は低いことも少なくありません。
ポストコンサル人材(戦略ファーム→日系事業会社(古巣))
インタビュー・体験談
年収の水準が変わるということは覚悟していましたが、実際に転職活動を進める中で、悩ましく感じました。例えば、投資銀行やファンドに転職する場合、コンサルティングファームと同等かそれ以上の年収を提示されることが多いのですが、スタートアップの場合は、ストックオプションで補填するという形が一般的です。そのため、足元の年収は下がることが多く、その点は悩ましい部分でした。
ただし交渉の余地はある
ただし、勿論交渉の余地もあります。特にエージェントを介して転職活動を行っている場合などは、本音を上手く伝えながら給与の調整を行うことも、転職後に気持ちよく働くうえで重要なポイントの一つでしょう。企業側の評価が高く、どうしても獲得したい人材が他社のオファーと悩んでいるような状況では、より好条件のオファーが提示される可能性も十分に考えられます。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
現在の勤務先企業にとって、私のような職位とバックグラウンドを持つ人材の採用は前例のないことだったそうです。そのため、おそらく当初は適切な条件設定の感覚がなく、最初はジュニア向けの条件が提示されたように思います。しかし、私はその条件では納得できないと率直に伝え、エージェントを介してしっかりと交渉したことで、希望に沿った条件をご提示いただくことができました。
外資系事業会社や総合商社などの一部の業界では年収が上がる可能性も
一方で、外資系の事業会社や総合商社などでは、コンサルティングファーム時代よりも高い年収(1,000万円台半ば〜2,000万円超)となる可能性もあります。また、資金調達力のある有望スタートアップにおいては、事業責任者などの重要なポジションについては、かなりの高年収を提示するケースも増加傾向にあります。
新しい知識を得る機会は減る
事業会社に転職すると、コンサルティングファーム時代のようなプロジェクトベースではなく、特定の業務を担当し、一定期間はその仕事に集中して取り組むことになります。そのため、コンサルタントのように数か月おきに全く新しい業界・クライアント・業務を知る機会は無くなります。とにかく飽き性な方や常に全く新しい知識を学ぶのが好きという方には、デメリットに感じることがあるでしょう。
一方で、事業会社に移ることで、特定の業界や実務への知識の深さという意味では、コンサルタント以上に深まるでしょう。専門性の獲得はキャリア形成をしていくうえで重要な観点の1つであり、特に新卒コンサル組などは、どこかのタイミングで専門性を磨くことが有益かもしれません。
大手では縦割り文化や意思決定者の多さなどの非効率も存在する
日系大手企業に転職する場合は、縦割り文化や意思決定者の多さなどの非効率性を一定程度受け入れる必要があることも理解しておくべきでしょう。近年は組織改革などを通じて、そういったカルチャーから脱却し、スピーディな意思決定を実現していく動きもありますが、やはりスタートアップやコンサルティングファームなどと比べると、まだまだ非効率やスピード感の無さを感じることもあるでしょう。
ポストコンサル人材(戦略ファーム→日系事業会社(古巣))
インタビュー・体験談
コンサルティングファームの外の世界では、ある程度の非効率さは避けられません。大手企業であれば、縦割り組織などによる非効率性も存在します。そのような非効率な環境でも、自分のやりたい仕事であれば耐えられるのか、よく考えて選択することが重要だと私は考えています。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手総合商社)
インタビュー・体験談
最も大きな苦労は、意思決定の長さ・意思決定者の多さです。基本的に多くの案件が全社の経営会議に上程されますが、その過程で多くの人から様々な意見が寄せられます。例えば「今回の投資は時期尚早ではないか」という意見を言う人もいます。しかし、完全な反対ではなく「個人的な見解としては」と前置きをつけることが多いです。そのため、誰が意思決定に責任を負うのかが見えづらく、結果としてプロセスが長引いたことには苦労しました。
コンサルから事業会社へ転職する際の注意点
コンサルから事業会社へ転職する際の注意点としては、以下の2点が挙げられます。
- 社内での関係性づくりに励む
- 部下へのマネジメントスタイルを調整する
社内での関係性づくりに励む
事業会社に転職すると、最初は社内人脈がほとんどありません。コンサルティングファームでも、ファーム内の知見をうまく活用していくうえで社内人脈は重要でしたが、事業会社においても仕事をスムーズに進めるうえで欠かせません。転職後は、積極的に飲み会や勉強会等を通じてコミュニケーションを取り、しっかりと社内での人脈を築いていくことが重要です。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
1つ目は、社内人脈の不足です。事業会社に入ると、最初は誰に何を聞けばいいのかわからず、情報収集やキャッチアップに苦労しました。
部下へのマネジメントスタイルを調整する
コンサルティングファームから事業会社へマネジメントポジションで転職する場合、部下に対するマネジメントスタイルも調整する必要があります。コンサルティングファームでは、仕事に高いコミットメントを持つモチベーションの高い人材が多い傾向にあります。一方で、事業会社では必ずしもそういった人材ばかりではなく、多様なバックグラウンドや価値観を持った方々が働いていることもあります。そういった点を理解しながら、マネジメントの仕方を適切に調整していくことが求められるでしょう。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
事業会社では、メンバーのキャリア形成により気を配る必要性が高まったと感じています。コンサルティングの世界でも、マネージャーがプロジェクトとは別にメンバーのコーチ的な役割を担うことはありますが、事業会社の方がその関わりは長期的かつ直接的です。「Will・Can・Must」等がよく挙げられるフレームワークですが、まさにメンバー一人ひとりの「Will・Can・Must」を意識してマネジメントすることの重要度が上がったと実感しています。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→スタートアップ)
インタビュー・体験談
人的マネジメントができるかどうかという点は懸念でした。実際に入社してからも、マネジメントの評価が芳しくない時期がありました。この点は転職後に直面した課題だと認識しています。
コンサルから事業会社へ転職して活かせるスキル
事業会社へ転職して活かせるコンサルティングスキルとしては以下3つがよく挙げられています。
- ロジカルシンキング・ロジカルプレゼンテーション
- クリティカルシンキング
- ハードスキル(エクセル分析や資料作成など)
ロジカルシンキング・ロジカルプレゼンテーション
論理的に考える力やプレゼンテーションができるスキルは、大手企業でもスタートアップでも非常に活きていると答える方が多いです。大手企業では、施策の実行や投資判断にあたって多数のステークホルダーと合意形成をする必要があることが多いため、コンサルティングファームで培った論理的なプレゼンテーションは役立つでしょう。
一方でスタートアップにおいても、経営層レベルの意思決定が必要となる事項などにおいて、ロジカルプレゼンテーションは効果を発揮しますし、周囲に対する説得力という意味でも重要な役割を果たします。
ポストコンサル人材(Big4→大手メーカー)
インタビュー・体験談
やはりロジカルシンキングやロジカルプレゼンテーションだと思います。例えば、社内でデータ利活用を提案する際に、協力を得たり、実際に使ってもらったりする時に役立っていると感じます。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
経営会議などでプレゼンテーションを行う機会もよくありますが、提案が完全に却下されることはほとんどありません。もちろん、追加の検討を求められることはありましたが、提案自体がばっさり切られるケースは稀でした。これは、コンサルティング時代に培った仮説検証やストーリーの組み立て方などのスキルが大きく影響していると感じています。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手広告代理店)
インタビュー・体験談
コンサルティングファームで鍛えられたロジカルシンキングや仮説思考、それを伝えるためのドキュメンテーションなどのコアコンサルスキルは、現職でも非常に活きています。
クリティカルシンキング
課題に対して短絡的に打ち手を考えるのではなく、俯瞰や深堀を通じて本質的な課題を特定し、インパクトのある施策を検討するクリティカルシンキングも非常に役立つでしょう。スタートアップなどではスピード感が非常に重視されているため、時に短絡的な機能要件の追加判断などをしてしまう可能性もあります。そういった場面において、「そもそも何が本質的な課題なのか」と一度立ち止まって考えられるところはコンサルタント出身者の強みと言えます。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
事業開発において、コンサルティング的なアプローチを取ることで、会社として本質的な課題解決ができる点です。お客様の要望をそのまま聞いて機能開発を行うだけでは、単なるご用聞き営業になってしまいます。しかし、コンサルティング的な視点で、本当の課題は何なのかを突き詰めて考えることで、結果として会社として本質的なアプローチができると思います。
ハードスキル(エクセル分析や資料作成など)
コンサルタントが高いレベルで身につけるエクセル分析やパワーポイントによる資料作成のスキルも活かすことができます。コンサルタントほど関数やショートカットに詳しい事業会社の方はなかなかいないため、スピーディな分析や資料作成においても価値を発揮できるようです。
ポストコンサル人材(Big4→ブティック→上場スタートアップ)
インタビュー・体験談
ハードスキルという点では、単純にエクセルの作業スピードがかなり速い方だと思います。もちろん、エンジニアの中にはPythonやSQLを使ってデータ分析を行う人もたくさんいますが、事業サイドという意味では、エクセルを使って必要な分析をスピーディに行う力は、私の強みだと考えています。
条件別のおすすめ転職先
一定の給与・ワークライフバランスを担保しつつ、キャリアアップしていきたい方におすすめ
結婚や子育てなどでライフステージが変わる20代後半〜30代のコンサルタントの方の場合、転職先としては一定の給与・ワークライフバランスを担保しつつ、将来のキャリアにも繋がるような仕事に挑戦したいという方が多いのではないでしょうか。
もちろんキャリアの目標をどこに置くかによっても選択肢は変わってくると思いますが、こういった方から最近人気を集めている転職先の一つが、“ある程度安定したスタートアップ・メガベンチャー”でしょう。例えば上場スタートアップやレイター期のスタートアップ等では、一定の給与・ワークライフバランスを保ちつつ、事業開発や事業企画などの仕事にチャレンジできるケースがあります。
ファーム時代よりも収入を下げたくない方におすすめ
コンサルタントの方の中には現在の生活水準から下げることはしたくなく、転職先に同程度の年収または年収アップを求める方もいるでしょう。事業会社でコンサルファーム並みの給与を得られる可能性があるのは基本的には以下のような業界です。
- 不動産
- 総合商社
- 大手広告代理店
- 外資系事業会社
当然これらの業界は採用倍率も非常に高いため、転職は簡単ではありません。また、コンサルティングファームでもSM以上のクラスになってくると、上記のような企業であっても同程度の年収を維持するのが難しいことも少なくありません。
将来の起業に向けた経験を積みたい方におすすめ
将来は自分自身で起業をしたいという方には、シード・アーリー期のスタートアップがおすすめです。この段階にあるスタートアップでは、事業をPMF(Product Market Fit)させたり、会社としての基礎をつくったりしていくため、起業家としての働き方を疑似体験できるでしょう。会社の人数規模もまだ少ないため、起業家との距離も近く、そのマインドセットや悩みなどを近くで体感することで、自身が起業をする際にきっと役立つ経験となります。
コンサルから古巣の事業会社へ出戻りは可能?
中途で事業会社からコンサルに転職してきた方の中には、古巣の事業会社に戻るという選択肢について考えている方もいるかもしれません。実際、近年事業会社ではAlumniの仕組みを立ち上げて、一度外に出た方が戻ってきやすい環境を整えつつあります。 コンサルティングファームでの経験を積んだ後に、再び古巣の事業会社に戻ることには以下のようなメリットがあります。
- 事業会社の業務に精通している
- 以前勤務していた事業会社の業務内容や社内の仕組みを理解しているため、スムーズに業務に入っていくことができる
- 社内ネットワークの活用
- 過去に築いた社内のネットワークを活かすことで、仕事をスムーズに進めることができる。また、信頼関係のある同僚や上司から支援を得られる可能性も高くなる
- キャリアアップの機会
- コンサルティングファームでの経験を活かし、以前よりも高い職位やより重要な役割を担うことで、キャリアアップを図ることができる
ポストコンサル人材(戦略ファーム→日系事業会社(古巣))
インタビュー・体験談
元いた会社に戻ったことで、仕事をしやすい面はありました。特に、同じ部門に戻ったこともあり、半分程度は知っている人たちだったので、温かく迎え入れていただきました。また、仕事内容も経験したことがあるため、転職初日から十分に仕事をこなすことができました。新しい環境に適応するストレスを感じることなく、スムーズに業務に取り組めたと感じています。
コンサルから事業会社への転職で失敗しないために
- スタートアップなら、経営陣との相性を重視する
- 大手なら、コンサル活用経験者や中途が多い部署の方が働きやすい
- 転職のハードルは上がっている:必要なのはコンサル経験の中身
スタートアップなら、経営陣との相性を重視する
スタートアップ、特にシード〜シリーズBくらいまでのスタートアップに転職する方は、経営陣との相性を重視した方がよいでしょう。創業期のスタートアップでは頻繁に経営陣と接する機会もあり、意思決定や会社の雰囲気に経営陣の色が濃く出ます。そうしたタイミングで、価値観や性格が合わないと仕事をしていて辛くなりやすいため、経営陣との相性をしっかりと確認するようにしましょう。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
さらに、100人以下の企業規模を考えていたこともあり、経営陣との相性も非常に重要な判断材料だと考えていました。
大手なら、コンサル活用経験者や中途が多い部署の方が働きやすい
大企業も中途採用を加速させているとはいえ、いまだにプロパー(新卒)文化が強い部分があるのも確かです。そういった中で、キャリア採用組の働きやすさに影響するのは、自身が所属する部署の中途採用者の多さもあるかもしれないという声がありました。 また、コンサルティングファーム経験者でなくとも、コンサルティングファームへの発注経験がある方が上司にいると、コンサルタントのスキルセットや得意なことを理解して、うまく仕事をアサインしてくれる可能性が高いでしょう。
ポストコンサル人材(Big4→大手メーカー)
インタビュー・体験談
必ずしもコンサル経験者である必要はないと思いますが、転職者が一定の割合を占めている環境の方が、コンサル出身者にとっては働きやすいかもしれません。そうでない場合、意思決定のスピードや合理性などの点で、コンサルティング業界とは大きく異なる雰囲気を感じ、やりづらさを感じる可能性があります。
私が所属しているDX部門には中途採用の人が多く、最初に私を採用してくれたサプライチェーン部門の上司も中途採用で入社した方だったので、働きやすい環境でした。特にコンサル出身者が大手事業会社に転職する際は、その部門にどの程度中途採用の人材がいるのかという点が、一つの判断基準として良いかもしれません。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→大手日系事業会社)
インタビュー・体験談
私の上司はコンサル出身ではありませんが、過去にコンサルティングファームに仕事を発注した経験がありますし、またMBAで学んだ経験もあります。そのため、上司は私の提案や意見を尊重してくれますし、信頼を寄せてくれていると感じます。それが仕事をしやすい環境につながっていると思います。
転職のハードルは上がっている:必要なのはコンサル経験の中身
コンサルティングファーム出身者が市場に増えてきた中で、ポストコンサル人材を求めるポジションの競争も激しくなっています。当然、コンサル⇒事業会社をすでに経験した方も増えており、そういった方とも採用の枠を争うことになります。そういった意味で、徐々にポストコンサル転職のハードルは上がってきているといえるでしょう。
そういった中で重要なことは、コンサルティングファームで、どのようなプロジェクトを経験し、個人としてどのような成果をあげたのかということです。 ポストコンサルキャリアを意識し始めたコンサルタントの方は、転職を見据えて、ファーム内で戦略的にトラックレコードをつくっていく、日々の業務で努力するという姿勢が重要でしょう。
また、現在は事業会社側にもコンサル出身者が既に在籍していることが多く、コンサル出身者が選考を担当するケースも増えています。そのため、実際にどのようなプロジェクトを経験しているのかという「実力」と、コンサルでの経験を活かして転職先で「何を成し遂げたいのか」という点がシビアに見られています。
コンサル出身者が徐々に増えていく中で、2〜3年前と比べるとポストコンサル転職のハードル自体は上がっている印象があります。
タイグロンパートナーズが語る、ポストコンサル転職の最新動向と成功のポイント
コンサル⇒事業会社への転職を考えたら、転職エージェントを活用すべき
コンサルティングファームから事業会社への転職に興味を持ったら、まずは転職エージェントを活用した方が効率的といえます。 転職エージェントを活用するメリットは様々ですが、コンサルタントの方がエージェントを活用するメリットは以下の3点に集約されるでしょう。
- ポストコンサル人材を求める転職案件を効率的に探せる: 転職エージェントは、企業から寄せられる多様な求人情報を保有しています。その中から、コンサルティング経験者を求める案件を効率的に探すことができます。これにより、自身の経験を活かせる転職先を見つけやすくなります。
- 日々の忙しい業務に追われる中で、日程調整などの雑務をエージェントに任せられる: コンサルタントは日々の業務が非常に多忙であり、転職活動に割ける時間が限られています。転職エージェントを活用することで、書類作成や面接の日程調整などの雑務を任せることができ、効率的に転職活動を進められます。
- 給与などの条件交渉がしやすい: 転職エージェントは、企業と求職者の間に立ち、条件交渉を行います。企業の給与水準や福利厚生など、求職者だけでは把握しにくい情報も持っているため、より有利な条件で転職できる可能性が高まります。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→シリーズB前後のスタートアップ)
インタビュー・体験談
エージェントを介することのメリットは、主に交渉事が発生した際に、直接対応することで生じる入社後のハレーションを回避できる点にあると考えています。また、選考プロセスにおけるフィードバックについても、直接だと聞きづらい部分があるのに対し、エージェントを通せば深く聞けるというアドバンテージがあります。
加えて、自身の市場価値を把握するという点でも、エージェントの存在は重要です。自分だけでは正確な判断が難しい側面もあるため、エージェントとの壁打ちは必要不可欠だと考えています。
ポストコンサル人材(大手総合コンサル→スタートアップ)
インタビュー・体験談
エージェントを通さずに企業と選考を進めていたこともあり、給与について交渉しづらい面がありました。現在は私自身も採用業務に携わった経験から内情が分かるのですが、エージェントは企業側がどの程度の年収を提示しそうか、入社一時金を出す可能性があるかなどを把握しています。そういった交渉のからくりを知っていれば、もっと上手く対応できたのではないかと思います。
おすすめの転職エージェント
よくある質問
- コンサルから事業会社への転職で、年収は下がりますか?
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一般的に、日系大手企業やスタートアップへの転職では年収が下がる可能性が高いです。ただし、外資系事業会社や総合商社などでは、同等かそれ以上の年収を提示されることもあります。また、転職時の交渉次第で条件が改善する可能性もあります。
- 事業会社に転職した後、再びコンサルティング業界に戻ることは可能ですか?
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はい、可能です。多くのコンサルティングファーム出身者が「コンサルには戻れる」と考えています。ただし、コンサルティングファームで十分な経験(通常3〜5年程度)を積んでいることが前提です。
- コンサルから事業会社への転職で最も活かせるスキルは何ですか?
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主に以下のスキルが活かせます:
- ロジカルシンキング・ロジカルプレゼンテーション
- クリティカルシンキング
- ハードスキル(エクセル分析や資料作成など)
- スタートアップと大手企業、どちらに転職するべきでしょうか?
-
個人の目標や価値観によって異なります。スタートアップは事業立ち上げや成長に直接関わる機会が多く、大手企業はより安定した環境で長期的なキャリア構築が可能です。ワークライフバランスや年収なども考慮し、自身のキャリアゴールに合わせて選択することが重要です。
- 転職活動の際、エージェントを使うべきですか?
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はい、エージェントの利用をお勧めします。エージェントを通すことで、ポストコンサル人材向けの求人情報を効率的に得られ、忙しい業務の中でも効果的に転職活動を進められます。また、条件交渉や企業とのコミュニケーションでもサポートを受けられます。
- コンサルから事業会社への転職で、最も注意すべき点は何ですか?
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主に以下の点に注意が必要です:
- 社内での関係性づくりに励むこと
- 部下へのマネジメントスタイルを調整すること
- 事業会社特有の意思決定プロセスや文化に適応すること
また、転職先の選択において、企業文化や上司との相性も重要な判断基準となります。
- コンサルから事業会社への転職で、ワークライフバランスは改善しますか?
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多くの場合、ワークライフバランスは改善する傾向にあります。特に大手日系企業や外資系企業では、コンサル時代と比べて労働時間が減少することが多いです。ただし、スタートアップなど、企業や役職によっては必ずしも改善するとは限りません。
- 事業会社への転職後、どのようにして社内ネットワークを構築すればよいですか?
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以下の方法が効果的です:
- 積極的に社内の飲み会や勉強会に参加する
- 上司に紹介してもらい、関連部署とのミーティングを設定する
- プロジェクトを通じて多くの部署の人と関わる機会を作る
- 質の高い仕事を通じて信頼関係を構築する
- 事業会社への転職後、新しい環境での成功を確実にするためには何をすべきですか?
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以下の点に注力することが重要です:
- 会社の文化や業務プロセスを素早く理解し、適応する
- 積極的にコミュニケーションを取り、社内関係を構築する
- 自身の強みであるコンサルティングスキルを適切に活用する
- 謙虚な姿勢を保ちつつ、新しいことを学ぶ姿勢を示す
- 短期的な成果と長期的な価値創造のバランスを取る
- 必要に応じて、マネジメントスタイルを柔軟に調整する
- コンサルから事業会社への転職において、どのようなタイミングで転職するのが最適ですか?
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多くの場合、以下のタイミングが転職に適していると考えられています:
- コンサルティングファームで3年以上の経験を積んだ後
- マネージャーへの昇格前後
- 特定の業界や機能に関する専門性を身につけた後
ただし、個人のキャリア目標や生活環境の変化によっても最適なタイミングは異なります。
- コンサルから事業会社への転職を成功させるために、コンサルティングファーム在籍中に準備しておくべきことは何ですか?
-
以下のような準備が有効です:
- 特定の業界や機能領域での専門性を深める
- プロジェクトマネジメントやチームリーダーとしての経験を積む
- 自身のキャリアゴールを明確にし、それに合致する企業や業界を研究する