【徹底解説】戦略ファームからのポストコンサル転職

戦略コンサルファームに勤める多くのコンサルタントが、そもそも転職を前提として入社していることもあり、ポスト戦略コンサルキャリアは多くの人が悩むテーマです。

せっかく戦略コンサル出身という転職市場におけるプラチナチケットを手に入れることができたのであれば、次のキャリアもより良いステップアップに繋がる転職先を選びたいというのは自然なことです。

本記事では、戦略コンサルタントの主なポストコンサルキャリアと転職で成功するためのポイントについて解説します。

戦略ファームコンサルタントの主要なポストコンサルキャリア

ワークライフバランスを取るなら「事業会社大手」

30代以降の戦略コンサルタントの中には、結婚や出産などを機に家族との時間を大切にしたいと考え、戦略ファームから転職する方が少なくありません。その場合、大手の事業会社は有力な選択肢の1つとなっています。

近年、日系の大手事業会社では働き方改革が進んでおり、平日夜や休日はしっかりとプライベートの時間を確保しながら、大企業ならではの大きなビジネスに関わる働き方ができるようになっています。

例えば、大手企業の経営企画部門やM&A部門は、戦略コンサルタントの能力を直接活かせる場所です。全社戦略の立案や新規事業の検討、M&Aの実行など、コンサルティングで扱ってきた課題に、今度は企業の内側から取り組むことになります。

また、新規事業の立ち上げや推進を担当するポジションも、戦略コンサルタントの能力を発揮できる場所です。市場分析から事業計画の立案、実際の事業立ち上げまで、幅広い業務に携わることになります。

事業会社への転職には、以下のようなメリットがあります：

• 戦略立案から実行までの一貫した経験が得られる
• より安定した就業環境と、ワークライフバランスの改善
• 特定の業界や事業に深く携わることで、専門性を高められる

一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります：

• コンサルティング時代と比べて、年収の上昇カーブが緩やかになる可能性がある
• 組織の一員として、意思決定のスピードや自由度が制限される場合がある
• 多様な業界や課題に触れる機会が減少する

新たな挑戦をするなら「スタートアップ・ベンチャー企業」

近年、多くの戦略コンサルタントがスタートアップやベンチャー企業への参画を選択しています。戦略コンサル出身でスタートアップ経営者やCOO、CSOとして活躍する人が増えていることが背景にあると考えられます。

戦略ファームのコンサルタントであれば、スタートアップやベンチャー企業のCOOやCSO、事業責任者などの経営幹部として参画するケースも多くあります。急成長する組織のマネジメントや戦略立案を担当し、限られたリソースを上手く活用しながら、ビジネスの創出・拡大に取り組むことになります。

スタートアップ・ベンチャー企業への参画のメリットは以下の通りです：

• 大きな裁量権と迅速な意思決定が可能
• 急成長する組織で、幅広い経験を短期間で積むことができる
• 成功時の経済的リターンが期待できる（特に株式オプションなどがある場合）

一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります：

• 雇用の安定性が低く、リスクが高いと言われている
• 企業によっては長時間労働となり、ワークライフバランスの維持が難しい場合がある
• 給与水準が戦略ファーム時代と比べて、大幅に低い場合がある

プロフェッショナルとして歩むなら「PEファンドや投資銀行」

プロフェッショナルとしてさらなるキャリアアップを目指すのであれば、PEファンドや投資銀行という選択肢もあります。戦略コンサルタントとしてP/L面での経営改善を学んだ次は、B/S面から企業価値を向上させていくことを学びたいと考え、PEファンドや投資銀行のM&A部門に移るのです。

PEファンドに転職する場合は、アソシエイトなどの職種で転職することが一般的で、投資先の選定や投資後の価値向上（バリューアップ）戦略の立案・実行に携わります。戦略コンサルティングで培った分析力や問題解決能力が直接的に活かせる一方で、ソーシングなどのM&A業務における財務モデリングや契約・交渉のスキルは一から学んでいく必要があります。投資銀行のM&Aアドバイザリー部門に転職する場合も同様です。

PEや投資銀行への転身のメリットは以下の通りです：

• 戦略ファームよりも高い報酬水準
• 投資判断や企業価値向上など、より経営者的な視点での仕事ができる
• 多様な企業や事業に関わることができ、幅広い知見を得られる

一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります：

• 競争が激しく、プレッシャーの高い環境である
• 長時間労働になりやすく、ワークライフバランスの維持が難しい場合がある
• 景気変動の影響を受けやすく、雇用の安定性がやや低い

戦略ファーム出身者は起業家も多い

戦略コンサルファーム出身者の中には、起業を選択する方も少なくありません。

戦略コンサルタントとしての経験で培った分析力や問題解決能力、幅広いビジネス知見は、起業家にとって大きな強みとなります。 また、戦略ファームでのネットワークを活かして、投資家や協力者を見つけやすいというメリットもあります。起業に必要な資金調達や、事業パートナーの獲得などにおいて、戦略ファーム出身者であることが有利に働くことが多いのです。

さらに、たとえ起業に失敗したとしても、戦略ファーム出身という経歴があれば、再就職はそれほど難しくはないといわれています。スタートアップなどの会社によっては起業経験を高く評価する傾向があるからです。

最近はフリーコンサルでの独立も急増

近年、戦略ファーム出身者がフリーランスコンサルタントとして独立するケースが増えています。その背景には、フリーランスコンサルタント向けの案件紹介サービスの充実があります。これらのサービスを利用することで、コンサル案件を簡単に受注できるようになっています。

また、フリーランスコンサルタントの報酬水準の高さも、独立を後押ししています。月額報酬が200万円以上となることもあり、戦略ファームに勤務していた時と同等以上の収入を得られるケースも少なくありません。 

フリーランスコンサルタントとして独立する戦略ファーム出身者の中には、自社サービスの立ち上げと並行してコンサル案件を受注し、キャッシュを稼ぐ起業家もいます。起業の初期段階では安定した収入を得にくいため、フリーランスとしてのコンサル業務が、リスクヘッジの役割を果たしています。

また、ワークライフバランスを重視する戦略ファーム出身者の中には、稼働率を50%ほどに抑えながら、年収1,000万円以上を維持している方もいます。フリーランスならではの柔軟な働き方を実現しながら、高い収入を得ているのです。

フリーコンサルについて気になる方は以下の記事もご覧ください。

ポスト戦略コンサルの転職で成功するためのポイント

ファームのアルムナイで転職機会を探す

外資系の戦略コンサルティングファームでは、アルムナイと呼ばれるファーム出身者のネットワークが非常に活発です。ファームを退職すると、このアルムナイに参画することができます。最近ではオンラインの専用プラットフォームを通じて、気軽にコミュニケーションを取ることができるようになっています。

ファーム出身者には、著名なスタートアップの経営者や、今まさに創業にチャレンジしている人など、様々な業界で活躍している人材が数多くいます。アルムナイを通じて転職先を探すことで、一般には公開されていない求人情報や、ファーム出身者ならではの特別な機会を得られる可能性があります。

また、アルムナイ内での人脈を活用することで、転職先での活躍をイメージしやすくなります。同じバックグラウンドを持つ先輩たちがどのようなキャリアパスを歩んできたのか、具体的に知ることができるからです。

ポスト戦略コンサルの転職を考える際には、ファームのアルムナイも活用してみることをおすすめします。

優秀な転職エージェントやヘッドハンターを見つける

戦略ファーム出身者には、多様なキャリアの可能性が開かれています。しかし、魅力的な求人の多くは一般公開されておらず、非公開案件として一部のエージェントやヘッドハンターのみが取り扱っていたり、リファラルのみで採用が行われていたりします。

そのため、戦略コンサル出身者が次のキャリアでより良い機会をつかむためには、優秀なエージェントとの繋がりが不可欠です。 戦略ファーム出身者であれば、多くのエージェントやヘッドハンターからアプローチを受けるでしょう。しかし、その中から数人の候補を絞り込み、面談を行うことが重要です。面談を通じて、自分との相性や、エージェントとしてのサービスの質を見極めましょう。

ポスト戦略コンサルでおすすめの転職エージェント

【厳選】おすすめの転職エージェント